開発が進むWSLとInsider Preview

WSL (Windows Subsystem for Linux)はWindows 10に導入された比較的新しい機能であり、多くのユーザーはこの機能の改善や、さらなる機能追加などを求めている。Windows 10でシームレスにLinuxのアプリケーションやプラットフォームが利用できるようにするため、Microsoftも互換性を維持しつつ、ユーザーの要望に応えるための取り組みを続けている。

こうした最新の開発成果物は、Windows 10 Insider Preview版で試すことができる。Insider Previewにはそれ以外にも多くの新しい機能やアプリケーションの追加などが実施されるため、利便性を追い求めると使い続けたくなるのだが、Insider Previewはあくまでも開発版であることを忘れてはならない。メインの作業環境をInsider Previewにしていると、あるアップデートでいきなり問題になる可能性がある。

Windows 10 Insider Preview Build 18219と18234の事例

Microsoftは2018年8月16日(米国時間)、「Announcing Windows 10 Insider Preview Build 18219 - Windows Experience BlogWindows Experience Blog」を公開した。このInsider Preview版には既知の問題として、次の事柄が掲載されている。

Announcing Windows 10 Insider Preview Build 18219 - Windows Experience BlogWindows Experience Blog

  • If you encounter hangs running WSL in 18219, a system reboot will correct the issue. If you’re an active user of WSL you may want to pause flighting and skip this build. We’re working on a fix. (18219で動作しているWSLがハングする場合、システムを再起動することでハングを解消することができます。もしあなたがWSLをアクティブに使っているユーザーなら、一時的に利用を停止してこのビルドの使用はスキップしてください。我々は問題の修正に取り組んでいます)


2018年8月16日(米国時間)に公開されたこのInsider PreviewではWSLの動作に問題が報告されており、利用中にハングが発生する可能性があるとされている。この問題はしばらく続き、約3週後にリリースされた「Announcing Windows 10 Insider Preview Build 18234 - Windows Experience BlogWindows Experience Blog」において、次のように問題の解決が報告された。

Announcing Windows 10 Insider Preview Build 18234 - Windows Experience BlogWindows Experience Blog

  • We fixed an issue resulting in hangs when using WSL in the previous flight. (以前の開発版に存在していたWSL利用時にハングが発生する問題を修正)


WSLはこの3週間ほど、ハングしやすい環境になってしまっていたわけだ。ルーチンワークとしてWindows 10 Insider Previewをアップデートして利用している場合、WSLに問題があるというアナウンスに目を通す前にアップデートを適用するだろう。だとすると、問題が発生してから状況に気がつき、アナウンスを読んで問題を知る……といった流れになることが多いのではないだろうか。Insider Preview版を使うということは、こういう事態が起こりうることも意味する。順調に機能しているときは良いのだが、問題が発生するととても困ったことになるのだ。

Insider Previewの利用は主要環境とは別環境で

こうした事態を回避するために、あらかじめWindows 10 Insider Preview版を使って今後のアップデートで取り込まれる機能を事前に入手しておくとか、試用しておくというのは悪くない方法だ。事前に情報を知ることで、今後の作業計画も立てやすくなる。

ただし、今回紹介したように問題が発生することもある。そのため、Insider Previewを使うときはメインの環境をInsider Previewに置き換えるのではなく、別途Insider Preview用の環境を用意したり、仮想環境にInsider Previewをセットアップしたりといったやり方で利用すると良いだろう。