前回は、NAS(Network attached storage)を構築するためのソフトウェアアプライアンス「FreeNAS」でファイルサーバを構築する方法を紹介した。FreeNASは、FreeBSDベースのNASソリューションであり、オープンソースでNASソリューションをセットアップしようとした場合、最初候補に挙がるものだ。今回は、これをiSCSI(Internet Small Computer System Interface)ターゲットとして機能させるための設定方法について説明しよう。

FreeNAS側のiSCSIターゲット設定

FreeNASをiSCSIターゲットとして動作させるために必要な設定は、「ボリュームの追加」「ポータルの追加」「イニシエータ設定の追加」「ターゲットの追加」「エクステントの追加」「ターゲット/エクステントの関連づけ」「iSCSIサービスの有効化」である。アクセスを制御する場合は、これに「アカウント設定」を加えることになるが、ここでは簡単かつすぐに試せる方法を紹介しておく。

まず、メニューから「Create zvol」を選んでボリュームを追加する。これがイニシエータに与えるボリューム(ストレージ)ということになる。

イニシエータに提供するボリュームの作成

指定した名前でボリューム(ここでは「netdisk001」)が作成されていることを確認

「ポータルの追加」「イニシエータ設定の追加」「ターゲットの追加」「エクステントの追加」「ターゲット/エクステントの関連づけ」を行う。

ポータルを追加

イニシエータ設定

ターゲット追加

エクステント追加

ターゲットとエクステントの関連づけ

iSCSIサービスを有効化

ここまで終えたら、サービスからiSCSIを有効化する。iSCSIサービスが有効になっていないと、いくら設定してもアクセスできないので注意されたい。FreeNASの設定は、これで完了だ。

Windows 7からターゲットを利用

iSCSIターゲットを利用するイニシエータは何でも良いのだが、ここではビジネスで利用されている割合が多く、かつシェアが最も高いとされているWindows 7から利用する方法を紹介する。基本的には、コントロールパネルから「iSCSIイニシエータのセットアップ」を選択してマウントを行い、次に「コンピュータの管理」でディスクをフォーマットして利用するという流れになる。設定の流れをまとめると、以下のようになる。

まず、コントロールパネルから「管理ツール」→「iSCSIイニシエーターのセットアップ」を選択。サービスが有効になっていない場合は、サービスの開始を促すダイアログが表示されるので、「はい」ボタンをクリックする。

「はい」ボタンをクリックしてサービスを有効にする

次に、「iSCSIイニシエーターのプロパティ」ダイアログで「探索」タブを開き、IPアドレスとポート番号を入力して「OK」ボタンをクリック。「ターゲット」タブに移動し、検出されたターゲットにFreeNASの設定が反映されていることを確認したら、「接続」ボタンをクリックして、ターゲットをマウントする。

IPアドレスとポート番号を入力する

検出されたターゲットを確認する

「接続」ボタンをクリックして、ターゲットをマウントする

「コンピュータの管理」から「ディスクの管理」を選択し、新しくディスクが表示されていることを確認したら、初期化とフォーマットを実施する。

「ディスクの管理」で新しいディスクを確認する

ディスクの初期化とフォーマットを実施する

ここでは、新しく「ボリュームE:」として認識された

最後に、エクスプローラで用意されたボリュームができることを確認してみよう。

「ボリュームE:」を利用できるようになった

OSが変わると、OSに応じてマウントして利用する方法も変わる。ただし、基本的な流れはどれも大体似たような感じだ。

いろいろできるFreeNAS

iSCSIの管理をする段階になっているということは、すでにかなりこのあたりの技術に詳しくなっているころだと思う。こんな感じでストレージの構築に利用できるディストリビューションもあるということを押さえておいていただきたい。FreeNASを使う場合の利点は、コンシューマ向けに販売されているデバイスよりも、大容量で柔軟なストレージシステムを構築できることや、NetAppのようなストレージ製品と比較すると、桁違いに安く上がることなどが挙げられる。

なお、FreeNASにはスナップショットの機能もある(これはFreeNASと言うより、ZFSの機能なのだが)ので、計画的なバックアップの実施も可能だ。使い方がわかるほどに便利になってくるディストリビューションなので、ぜひ一度使ってみてほしい。