今夏以降には、Windows 10でUbuntuが利用できる予定になっている。この取り組みの最大のポイントは、UbuntuのイメージをMicrosoftではなくCanonicalが提供している点にある。Microsoftは、あくまでもLinuxバイナリをWindowsカーネルで動作させる仕組みを提供するだけで、Ubuntuイメージ自体はCanonicalが提供する。つまり、MicrosoftとCanonicalが、それぞれのエコシステムを発揮できる仕組みになっているわけだ。

本連載では、CentOSの利用を想定して説明してきたが、Windows 10でUbuntuが動作するということになると、今後はUbuntuも視野に入れる必要があるだろう。今回は、Ubuntu on Windowsで必要になるアプリケーションのインストール手順と、アプリケーションのアップデート方法について説明する。

ソフトウェアのインストール

Ubuntu on Windowsにおいて、デフォルトでインストールされるソフトウェアには限りがあり、必要なソフトウェアは随時自分でインストールしなければならない。ソフトウェアのインストール方法は、通常のUbuntu利用時と同様にapt-get(8)コマンドを使用して行う。例えば、「tree」というコマンドを新しくインストールするなら、「apt-get install tree」と指定して実行すればよい。

apt-get(8)コマンドを使ったアプリケーションのインストール

ここまで来ると、Windows上でネイティブに動作しているというよりも、ssh(8)コマンドでUbuntuサーバにログインしているか、もしくは仮想環境でUbuntuを動作させているような気分になってくる。しかし、中身はWindows上のファイルシステムに展開されているし、Windows Subsystem for Linuxを経由してWindowsカーネルで動作しているUbuntuだ。

ソフトウェアのアップデート

もう1つ知っておくべきは、ソフトウェアやライブラリをアップデートする方法だ。ただし、これも通常のUbuntuと同じようにapt-get(8)コマンドを使えばよい。まず、次のように「apt-get update」を実行してメタデータをアップデートする。

「apt-get update」を実行してメタデータをアップデートする

次に、「apt-get upgrade」を実行すると、ソフトウェアやライブラリがアップグレードされる。

「apt-get upgrade」を実行すると、ソフトウェアやライブラリをアップグレードできる

出力されるメッセージからは、まだ多少荒削りな印象を受けるが、これから夏のリリースに向けてブラッシュアップされていくのではないかと思う。

ソフトウェアのインストールとアップデートができれば、そのままLinux環境として使えるはずだ。Windowsとの連携に関しては、今後の実装を具合を見ていろいろ試していくことになるが、思った以上に強力なLinuxプラットフォームとして利用できるようになりそうだ。

今回のおさらい

今回のおさらいは、次のとおりだ。

  • Ubuntu on Windowsのソフトウェアインストールは「apt-get install」で行う
  • Ubuntu on Windowsのソフトウェアアップデートは「apt-get update」、「apt-get upgrade」で行う
  • Ubuntu on WindowsとUbuntuは、ユーザーから見るとあまり違いがわからない

Ubuntu on Windowsは今のところ、Windows 10への提供が予定されているだけだ。だが、もしこの機能がWindows 7にもバックポートされるようなことになればどうだろう。減少傾向にあるとはいえ、世界最大規模のシェアを持つデスクトップOSがそのままUbuntuのプラットフォームになるという、これまで考えられなかった状況がやってくることになる。当分、MicrosoftとCanonicalの取り組みから目が離せない。