【レポート】注目企業が本音で討論! 新興ストレージベンダー座談会 (3) 実ユーザーから聞いたIaaSの落とし穴、SDSの可能性
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話題のSDS、普及の可能性は?
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Nimble Storage シニアセールスエンジニア 川端真氏 |
──コストや運用管理の点で、SDS(ソフトウェア定義ストレージ)に注目が集まっているようです。実際のところはどうなのでしょうか。Nimbleさんは、「オブジェクトストレージの分野で規模が限られていれ場合のみ有効。規模が大きくなると運用の手間がかえってコスト高を招く」と回答いただきましたが。
Nimble 川端氏:規模が小さいうちはコストもかからず、コミュニティに頼ることができるのでアリだと思います。ただ、ストレージの数が増えてくると、管理が複雑になります。カーネルのセキュリティパッチ、バージョンアップ、どれをどうマイグレーションするかといった運用をたとえば1万台に対して行っていくのは現実的ではありません。
──QNAPさんは「ストレージではハードウェアとソフトウェアの結びつきは強い状況が続く。信頼性や物理スペース/容量比などを考えると、SDSの普及はまだ先」という意見です。
QNAP(テックウィンド) 野嵜氏:SDNなどとは業界のあり方が違うこともあります。ネットワーク業界のように特定のベンダーが寡占しているような状況では、SDNをめぐって、複数のベンダーが垣根を超えて結集するといった動きがあると思います。ストレージ業界は、そうした動きは起こりにくいと感じています。
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ピュア・ストレージ・ジャパン マーケティング部長 阿部恵史氏 |
ピュア・ストレージ 阿部氏:3~4年前のネットワーク業界は、SDNに関してAPIが整備されて始めたものの、実際には使いにくいという状況でした。実際にお客様に話を持って行っても、ソフトウェア定義の部分はそれほど重視していませんでした。特にキャリアさんなどは、「なんでもかんでも自動でやられると困る、用途によっては人手の介在余地を残したい」というニーズも根強いという印象があります。皆さんのお客様は、そのあたり、どういった反応ですか?
Nimble 川端氏:お客様の意見を聞いていると、面倒くさいことはやりたくないという声が大きいです。基本的に忙しいので、なるべくシンプルで手間のかからない方法がいい。要求が厳しくないのであれば、できるだけ簡単にやりたい。簡単にスケールできないものは流行らないというのが私の意見です。
──ほかにはどんな課題があるのでしょうか。
Violin Memory 青野氏:日本にはストレージ専門のエンジニアが少ないという事情もあります。大企業でも意外と少ない。そうするとSDSの面倒を誰が見るかという話になります。ストレージ自体を安く作ることができても、運用管理、メンテナンスでアプライアンス型よりもメリットが出ないなら普及は難しいかと。
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Violin Memory シニアテクニカルセールスマネージャー青野雅明氏 |
データの保全性も課題です。サーバやネットワークと違って、ストレージはお客様の大事なデータを保管しているので、万が一にでもデータをロストするような障害は許されません。SDSは本当に信頼できるものなのか、機能と価格のメリット以前に、ストレージで最も求められる「データの保全性」の課題をクリアする必要があると思います。
ピュア・ストレージ 阿部氏:データ保全に関しては、サッカーのキーパーのようなものだとよく言われます。フォワードは多少シュートミスしても、点を決めれば誉められる。対して、キーパーはどれほど好セーブを連発しても、一度でもミスして点をとられればひどく非難される。立場上、ミスが許されないわけです。
ストレージにおいては、そうした”キーパー特性”が絶対的に求められているうえ、その他の要求も以前とは比べものにならないほど厳しくなっています。今まで以上にデータの可用性を担保しながら、レイテンシーを下げ、データをすぐに出せというが市場の要求です。これに応えていかなければならない現在のベンダー/運用担当者は、相当過酷な状況に置かれていると言えます。
* * *
いかがだろうか? IaaSからの移行時に発生するコストの話などは、実際に使った方でないとわからない話だろう。
次回はいよいよ最終回。各社の事例と、ストレージ導入時の留意点についてご紹介していく。
シリーズ企画『新興ストレージベンダー座談会』
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