湘南エリアを中心とする神奈川県内で、直営代理店として「ハワイウォーター」の販売・宅配を行っている神奈川電設。

同社では顧客数が着実に増える一方で、高い頻度で求められるイレギュラー対応、そして担当者の退職に伴うAccessを用いた顧客管理への行き詰まり、といった課題を抱えていた。

そこで解決策に選ばれたのが、世界規模で数多くの実績を誇るデータベースソフトウェア「FileMaker」だ。本記事では、FileMakerの導入に至った背景やメリット、具体的な効果などを紹介しよう。

大自然が育んだ純度99.9%の超軟水「ハワイウォーター」

ハワイウォーターのサーバー。ハワイと湘南の海をイメージした手作りのカバーが被せてある

神奈川県茅ヶ崎市を拠点として、太陽光発電、テレビ受信、LAN、インターネット、電話工事、家電機器などの販売・施工を手掛ける神奈川電設。同社では2012年より、湘南エリアを中心とする神奈川県内で、直営代理店として「ハワイウォーター」の販売・宅配を行っている。

神奈川電設 ecotto事業部 事業所長の大森竜朗氏は「弊社はもともとBtoB向けの大規模な電設工事を専門で請け負っていましたが、近年では太陽光パネルをはじめとしたBtoC向けの案件も増加しています。しかし、BtoC向けの場合は特に、工事が終わるとお客様との関係が疎遠になってしまいがちなのが課題でした。そこで、BtoCのお客様との関係性を、より長期的かつ深いものにできないかと考え、新事業としてスタートしたのが『ハワイウォーター』の販売・宅配です」と語る。

このハワイウォーターは、25年もの長い歳月をかけてハワイの大自然に磨き上げられた地下水で、その成分はミネラルウォーターとは違い純度99.9%の純水。日本人に好まれる超軟水のため、普段の飲料水としてはもちろん、コーヒーやお茶、料理などにも幅広く活用できる。

神奈川電設 ecotto事業部 事業所長の大森竜朗氏

顧客数の増加に加えてイレギュラー対応がネックに

こうして同社では、住まい全般をサポートする湘南のショールーム「ecotto」を拠点として、ハワイウォーターの販売・宅配業務をスタート。順調に契約数を伸ばしていたが、ここである問題が発生したという。

神奈川電設 ecotto事業部 ecottoショールーム アドバイザーの吉良紀彦氏は「ハワイウォーターの販売・宅配事業を開始した当初は、Excelで顧客管理を行っていました。そして半年後にAccessへと移行したのですが、契約数の増加に加えて当時の担当者が退職してしまったこともあり、Accessによる管理が難しくなってしまったのです」と語る。

神奈川電設 ecotto事業部 ecottoショールーム アドバイザーの吉良紀彦氏

ハワイウォーターの宅配は、単純に水のボトルを運べばよいというわけではない。「配送時は車をここに停めてほしい」「インターホンを押さないでほしい」「ボトルは敷地の裏手に置いておくので回収してほしい」など、顧客ごとに細かい要望があるのだ。基本的には、ウォーターサーバーを設置した担当者が配達へ向かうが、スケジュールによっては別の担当者が配達することもある。

神奈川電設 ecotto事業部 ecottoショールーム アドバイザーの松井弾氏は「契約者数が1000件以上になると記憶するのが難しいことから、こうした細かい情報を共有するため、印刷した地図にお客様ごとのご要望を手書きでメモするようにしています。しかし、配送前に大量の書類から配達先の地図を見つけ出し、当日の配送ルート順に並び変える作業が必要なので、かなり大変でしたね」と振り返る。

神奈川電設 ecotto事業部 ecottoショールーム アドバイザーの松井弾氏

また、伝票管理に関しても大きな問題があった。同社が取り扱っているボトルは3ガロン(11.36l)と5ガロン(18.9l)の2種類があり、契約によって毎回の配送本数 が決まっているが、「今回はあまり減ってないから1本少なくして」「気温が急に上がったから1本増やして」など、イレギュラー対応が多いのである。

加えて、同社ではecottoショールームで持ち帰りによる割引販売も行っており、「次の配達日は留守にしているので車で取りに来た」といったこともしばしば。こうしたイレギュラーな対応が増えると、どうしても伝票との齟齬が生まれやすくなってしまう。

そこで、注文状況/配送本数/請求データなどを多重チェックするのに多くの手間と時間を強いられていたのである。さらに、情報が可視化されていないことから、出発時間が迫るまで配達先と本数が分からない、配達後にようやく明確な在庫が把握できる、といった状況だった。