大容量データをセキュアに高速転送する「IBM Aspera」の新たな展開とは?

[2018/06/12 07:00]エースラッシュ ブックマーク ブックマーク

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5月23日・24日に、秋葉原UDXにて「After NAB Show」が開催された。本稿では日本アイ・ビー・エム IBMクラウド事業部 纓坂進氏が登壇した「『IBM Aspera』最新情報」についてレポートする。

日本アイ・ビー・エム IBMクラウド事業部 纓坂進氏

スピーディかつセキュアにファイルやデータを転送する「Aspera」

2013年には映像制作などで革新的な貢献をしたということでエミー賞を受賞し、NBAではVideo Edgeの「2018 NAB Best of Show Award」も受賞した「Aspera」。

「『Aspera』というと映像制作のソリューションと思われがちですが、色々なお客様にご採用いただいています」と纓坂氏が語るように、高速かつセキュアなファイル送信はどのような分野でも必要となってきている。

「Aspera」がもっとも選ばれる理由は、特許技術「FASP(Fast Adaptive and Secure Protocol)」により超高速ファイル転送を実現したパフォーマンスにある。

「FTPはTCPという方式で転送していますが、『Aspera』ではUDPで転送しています。しかしUDPという技術だけでは越えられない課題があるのです」と説明する纓坂氏。

TCPは送信/受信側のデータセグメントの応答を確認していくため確実に送れる一方、送信・受信の距離が伸びれば伸びるほど、回線が遅くなればなるほど時間がかかってしまい、速度にも限界がある。UDPは確認応答を行わずにデータ転送を行うが、信頼性やフロー制御が不安定という課題も抱えている。

そのため「Aspera」では、UDPのもつ弱点をFASPというプロトコルが補完。具体的には欠損したパケットのみを再送し、高速かつ確実に相手へ送信していく。

「もう1つは、FASPは回線がある分だけ使うこともできますが、本来の他の業務で使っている回線が使えなくなってしまいます。FASPはどの帯域を確保して使うかというのを設定・制御できるので他の通信に影響を与えないため、ファイル転送に非常に役立ちます」と纓坂氏が解説。

ここで実際に米国西海岸に置かれたテストファイルをダウンロードするデモを実施し、FTPと「Aspera」の速度差を実感することができた。

UDPのもつ弱点を補い、確実な送信と帯域制御を可能とする

「Aspera」を使ったダウンロードは解説中に終了したが、FTPはほとんど進まなかった

「Aspera」の利用者は通信・メディアだけでなく、製造業やライフサイエンスといった分野にまで広がりを見せている。

「例えば通信・メディアは、海外で取材した映像をネットワークを使って編集に回すとか、YouTubeやドローンでの撮影など映像データの利用が爆発的に増えてます。こうしたデータをサーバに集める、映像を解析するなどのケースで力を発揮します」と纓坂氏は語る。

2020年までに急激にデータが増加するという予測に伴うビジネスパートナーとのデータ共有をはじめ、ハイパフォーマンス・アクセスが必要なデータの活用やクラウド利用を視野に入れるなど、大規模なファイルを高速・安全に転送する必要性が出てきているのだ。

そこで「Aspera」では、柔軟なライセンス形態を用意。纓坂氏は「今はクラウドの時代で、先のビジネスが見えない中でもトライアルしていかなくてはなりません。初期投資の費用が難しいユーザーも増えていますが、データの転送量に応じた価格で課金できるモデルも提供しています」と説明する。

初期投資を抑えたい、世界各国の拠点とデータを交換したい、固定資産を持たず柔軟に拡張していきたいといったニーズに応える仕組みを提供している。

さまざまなライセンス形態でユーザーのニーズに応えていく

NAB SHOW 2018で発表となった2つのソリューション

続いて纓坂氏は、NAB SHOW 2018での主な出展内容を紹介。まずは「『Aspera on Cloud』はクラウドおよびオンプレミスのストレージ、ようは皆さんの会社のローカルにあるデータセンターにあるデータも対象に、直接大容量のファイルを送受信して共有できる最新のSaaSソリューションです」と解説する。

「Aspera on Cloud」の特徴

「Aspera Files」と「Aspera Transfer Service」を1つのSaaS オファリングとして統合し、直感的に使えるようUIを刷新。ユーザー登録や正常に稼働しているかなど「Aspera Files」よりも管理機能を強化し、申し込み時に40カ所以上のデータセンターから選択できるようになっている。

構築や運用費は不要で、ファイルを送る際のパスワードや有効期限、ワークスペースへのアクセスも権限も設定可能。外部のストレージへの接続も用意で、簡単かつセキュアに利用できる。纓坂氏は実際の画面を用いながら操作についても説明し、モバイル用のアプリも提供していると付け加えた。

エディションは初期ストレージの容量が1TBまでの「Standard」、10TBまでの「Advanced」、25TBの「Enterprise」といった3タイプを用意。Advanced以上ではレポートやモニタリング機能、アベレージの速度やリアルタイム分析といった機能も利用できる。1カ月のトライアルも提供し、利用環境に合わせて選択可能だ。

3つのエディションやトライアルを用意し、多様な用途に対応していく

もう1つはライブ、もしくはライブに近いクオリティの映像をIPネットワークで配信可能とする「Aspera Streaming for Video」だ。

纓坂氏は「リアルタイム配信は専用回線などを使って当たり前に行えますが、それなりに費用もかかります。そうではなく、インターネットの回線を使うのがポイントです」と強調。

ここではサンパウロにSenderのモジュールを、東京のIBMデータセンターにReceiverを設置し、MPEGエンコーディングしたファイルをVLCで再生したデモで比較した。

東京・サンパウロのレイテンシーは約300msで、FASPStreamなしの場合はブロックノイズや遅延が発生したが、FASPStreamありの場合はテレビと変わらない放送を可能としていた。

インターネット回線でも専用回線などの配信と遜色のない、安定した映像が可能に

「例えば、製鉄所には色や音で設備がどんな問題を起こす可能性があるのか判断でき、予知保全ができるプロフェッショナルがいます。しかし人口がどんどん減ってスキルを持った人が社内からいなくなり、これまでのように現場に張り付いて点検するということができなくなってきました」と纓坂氏。

その場合、プロフェッショナルが本社から日本全国の工場の状態をリアルタイムの映像で把握するといった活用方法もあり、映像の世界だけのソリューションではないと強く訴える。

最後に纓坂氏は、改めて「Aspera」が「スピーディかつセキュアで、確実にファイルデータセットを転送するソリューションである」と訴えて講演を締めくくった。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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