危機感を感じるか、否か。国内外におけるDevOpsへの意識差

[2018/05/28 08:00]齋藤公二 ブックマーク ブックマーク

開発ソフトウェア

DevOpsを成功に導く「7つのステップ」

とは言え実際、どのようにDevOpsを進めればよいのだろうか。阿部氏は、「定まったアプローチやステップはないが、最低限やるべきことはある」とし、DevOpsを成功に導く「7つのステップ」を紹介した。

まず最初のステップでは、ビジネスニーズを明らかにし、自社のDevOpsを定義する。ここでのポイントは、ビジネスメリットからDevOpsプロジェクトをスタートさせること。そして、メンバーの共感と支持を得られる「理念」を示して旗印を掲げることだという。

次に、最初のアプリケーションを選ぶ。選定にあたっては、例えば「変化が多い」「変化のスピードが速い」「可用性」といった特徴を見て、「ポリティクスの影響が小さいか」「明確に価値を示せるか」「リスクが許容できるか」などの要件から絞り込んでいく。ポイントは、利用者目線での価値・効果を前提に対象サービスを決定することで、DevOpsに向かないサービスに無理に適用しようとしないことだという。

続いて、最初のチームを組む。ポイントは「新たなチームとして結成すること」「4~5人からスタートし、多くても10人以下」「異なるスキルを持つメンバーを選定すること」。人選にあたっては、全てを外部に委託せず、スキルが偏ったチームにならないように留意し、正しい振る舞いとマインドを備えたメンバーを選ぶことが重要だ。

「あるべき(正しい)振る舞い」と「悪しき振る舞い」/出典:ガートナー(2018年4月)

チームを組んだら、目標と評価基準をつくる。目標設定のコツは、部門目標から独立したチームの目標を設定することと、ビジネス目標との整合性を確保することだ。メンバーで目標を共通に認識し、個人の前にチームの成功を意識づけることも重要となる。また、評価基準としては、ビジネスインパクトにひも付けられる指標を選び、望ましくない行動をとがめるのではなく、正しい行いを評価するような仕組みをつくる。

DevOpsの成否を測る5つの評価分野/出典:ガートナー(2018年4月)

ここまでできたら、最初に取り組むプロセス・ツールを決める。設計・開発、テスト、計画・要件定義、リリース、インフラ・アプリの構成、コンテナ管理、リリース準備、監視・管理などの分野でさまざまなツールがある。ポイントは、最も手作業が多いプロセスを自動化すること。わからなければ、とりかかりやすいところから始めることだ。

そして6つ目となるステップでは、ツールチェーン構築に取り組む。これは、開発からテスト、リリース、管理といったプロセスを、「継続的インテグレーション」「継続的デリバリ」「継続的デプロイメント」「運用」といったサイクルのなかに組み込むことを意味する。ここでのポイントは、ツールで実行できる作業を考えるのではなく、実行する必要がある作業に基づいてツールを配置すること。また、セキュリティなどもDevOpsに組み込み、DevSecOpsを想定する。その際にも、一度に全てをやろうとせず、DevOpsのプロセスと全体を理解してSecを組み込んでいく。

最後の7つ目は、DevOpsを広げるステップだ。ここでは「ビジネス価値からスタート」し、「健全な方向にプロジェクトを進め」、「うまくいったことは反復し、向上を目指し」「失敗したら原因を究明しやり直す」「経験済みメンバーと未経験のメンバーで、新規プロジェクトチームを結成する」といったサイクルを回し続ける。DevOpsを拡大する計画や方法をいきなり確立しようとせず、まず1サイクル回し、実践経験に基づき拡大を検討することがポイントとなる。

DevOpsにふさわしい人材になるには?

DevOpsでは、スキルやマインドセットが重要だ。では、どのようにそれらを獲得すればいいか。阿部氏は、DevOpsにふさわしい人材になるための5つのポイントとして「小さく始める」「早くたくさん失敗する」「学んだことを共有する」「学んだことを形にする」「”学びほぐす”を学ぶ」を挙げた。これらはすなわち、「創造的破壊者となるための学び方を会得すること」でもあるという。

阿部氏は最後に次のように呼びかけ、講演を締めくくった。

「グローバル企業はDevOpsの歩みを既に加速させていることを理解し、やるかやらないかではなく、まず始めることが大切です。その際には、DevOpsを進める7つのステップを参考に、自社としての最初のDevOpsプロジェクトを立ち上げてください。

他社のやることは参考程度にしかなりません。他社に追随するのではなく、自社のやり方を作り出す気構えを持つことか重要です。その上で、デジタルビジネスを担うにふさわしい人材となるためのスキルや知識の学び方を実践していきます。DevOpsの方針・施策に迷ったら、自分たちにとって、また何より顧客や利用者にとってより”健全”なほうを選択することが大切です」

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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