RPAの課題と今後

【連載】

RPA入門 - ツールで学ぶ活用シーン

【第7回】RPAの課題と今後

[2018/05/11 08:00]正野 勇嗣 ブックマーク ブックマーク

開発ソフトウェア

連載目次

分散か集中か

RPAツールはデスクトップ型とサーバ型に分かれます。

デスクトップ型であれば、RPAの実行中は該当PCの操作は行えません。各PCにて記録された実行内容が分散管理されており、バージョン管理や監視の仕組みを別途構築する必要があります。

UiPath Orchestratorはデスクトップ型の例の一つですが、RPAの実行管理を行うツールで実行ログを可視化するなど、さまざまな機能を具備しています。

一方でサーバ型は、導入コストが比較的高く、サーバ側の構築作業・集中管理の仕組みが必要となってくるため、導入や運用が容易とは言い切れません。管理のみならず、利用推進の観点で、個別の部署のみでの導入には限界があります。

電通においては、「ロボット人事部」と呼ばれる、RPAの稼働状況の把握などを行う部署を設けるなど、文字通り組織全体としてRPAの利用を推進する事例も出てきています。

RPAのツールとしての進化

2017年3月16日にリクルートテクノロジーズが、A3RTと呼ばれるAIのAPIの無料公開を発表しました 。デジタルビジネスを実現する要素として近年注目を浴びているAIを、APIを通じて即座に使える環境が整いつつあります。

2017年9月6日にはRPAテクノロジーズが「BizRobo Smart Connect」サービスを発表しました 。これまでRPAが苦手としていた、大量データの読み込みや、AIやSNSとの連携を実現できます。

AIにより実現できるもの

ルールベースのRPA 1.0は、人間がエクセルデータなどを用意し、その内容をRPAに実行させるケースが多く見られました。

RPA 2.0としてAI導入が進んでくると、そういったExcelデータの作成をAIが行い、RPAが実行した結果を人間が判断して利用するという、逆方向の処理が行え、さらなる工数の削減等が見込めるようになる可能性があります。

もっとも、上記はあくまで一例でしかありません。RPAはあくまでツールでしかなく、業務の中でどこにコストがかかっていて、どういう改善を行うべきか、という業務プロセス改善が前提として考えられるべきです。現在のRPA 1.0はルールベースのAIと記録した作業内容を基に自動実行するという、既存の技術の組み合わせを中心に導入が進んできています。

システム化の限界とRPA

これまでの業務システムは、開発に時間がかかり業務の効率化などの恩恵を受けられるまでに時間がかかっていました。アジャイル開発の登場により、動くソフトウェアが即座に提供するスタイルが浸透しはじめ、これまでより小さな機能単位でシステムが開発され、繰り返し機能改善を行うスタイルも見られるようになってきました。

RPAは、ROIの観点などから、システム化対象が難しかった箇所にメスを入れるだけでなく、開発主体をソフトウェアベンダーなどからユーザ自身に変える力を持っています。

労働のあり方を変える

2018年3月1日、安倍総理は働き方改革法案の国会答弁の中で生産性向上の方法の一つとして「ロボット」という表現を使いました。生産性や品質の向上など、さまざまな切り口でメリットが謳われるRPAですが、最近ニュースなどでもよく見かける「働き方改革」の文脈で語られることも多くなってきました。

RPAを使うと、働き方改革の基本となる労働時間の削減が数千時間に及ぶといったレベルの事例も出てきています。

別の切り口で労働力の不足を補う手段としては、業務のアウトソーシング(BPO)があります。派遣やオフショアが一般的な選択肢ですが、この領域の一部をRPAがすでに担いはじめています。RPAロボットと一緒に派遣されたり、RPAロボット構築のための派遣が増加したりするなど、新しい職種を生み出しているとも言えます。

連載を振り返って

近年注目を浴び続けるデジタルビジネス。構成要素技術として、これまでのSMACS(Social/Mobile/bigdata Analytics/Cloud/Security)に加え、昨年からはAI/IoTも合わせて語られることも多くなってきました。AIのスピンオフとして位置づけていますが、RPAが注目を浴びて来ており、各メディアで取り上げられることも急速に増えて来ました。

RPAはBiz-RoboやWinActorといった技術を用いた事例も増えてきている一方で、AIや深層学習・機械学習に比べて知名度が低く、SilkTestやSeleniumのようなソフトウェア開発自動技術との違いやTensorFlowなどのAI技術との違いがわからないといった方も多いのが実情です。

Seleniumのようなソフトウェア開発自動化技術に比べて、RPAはプログラミング知識がほぼ必要なく、半日程度あればマスターできます。エンジニアではなくビジネスの現場にいる方が簡単に業務を自動化でき、これまでのSIerなどに委託したシステム開発に頼った業務の効率化の考え方を根底から変える可能性を秘めています。

以上、7回にわたり解説してきましたが、本連載は今回が最後です。ここで紹介した内容が、皆さまのRPAへの一歩を踏み出す一助となれば幸いです。

著者紹介


正野 勇嗣 (SHONO Yuji ) - NTTデータ 課長

2011年頃まで開発自動化技術のR&Dに従事。その後、開発プロジェクト支援やトラブルシューティング等に主戦場を移す。「ソースコード自動生成」に加えて、JenkinsやMaven等の「ビルド自動化」、JsTestDriverやSelenium等の「テスト自動化」を扱うようになり、多様化する開発自動化技術動向に興味。

最近は第四の自動化であるInfrastructure as Code等の「基盤自動化」の魅力に惹かれている。開発自動化技術に関する雑誌・記事執筆も行う。2児のパパ。

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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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