RPAツールの適用の勘所

【連載】

RPA入門 - ツールで学ぶ活用シーン

【第4回】RPAツールの適用の勘所

[2018/01/26 08:00]正野 勇嗣 ブックマーク ブックマーク

開発ソフトウェア

2017年10月、百五銀行でRPAの試行導入が発表されました。システムからデータを取得しExcelへ転記する「格付自己査定業務」の一部などが対象とされ、年間1283時間削減が見込まれています。

RPAは今、働き方変革の一つとして注目されています。具体的には、以下のような、Windowsアプリケーションを使う広範な業務で適用可能です。

  • Webブラウザ(システム)
  • Excel
  • Outlook
  • ペイント
  • テキストエディタ
  • OCR

大量データの取り扱いや繰り返し作業を得意とし、例えばデータの入力・加工・抽出といったこれまでバッチシステムによって成し遂げていた業務が自動化されます。

図1 : バッチシステムによる大量データ処理の流れ

今回はRPAを構成する2つの要素を交え、RPAの導入イメージを掴んでいただきます。またツール面だけでなく、管理面を含めて組織としてどう取り組んでいくべきかについて紹介します。

RPAにおける2つの要素 : 「操作」と「フロー」

RPAツールを用いたロボットの構築作業は、実は「操作」と「フロー」の2つの要素のみです。誤解を恐れずにいえば、これらの2つの要素を理解することで、RPAツールを適用できるようになります。

  • 操作 : ExcelやWebブラウザなどの操作を自動化
  • フロー : 「操作」の繰り返しや条件分岐などを制御

前者についてはExcelやWebブラウザなどWindowsの操作を記録して実行します。Excelマクロの記録をイメージするとわかりやすいでしょう。

後者については、同じ操作を100回繰り返したり、条件に当てはまる場合のみ実行したりするなどのフローの制御を行います。プログラミングをかじったことがある方であれば、forループによる繰り返しやif文による分岐をイメージするとわかりやすいでしょう。フローチャートを書く要領で作業できますので、プログラミング知識がない方でも安心です。

参考までにWorkFusionで利用可能な「操作」と「フロー」を下表および下図に示します。これらの組合せでさまざまな作業が自動化できます。

表:WorkFusionで利用可能なアクションライブラリ

分類 アクションライブラリ 説明
操作 : ExcelやWebブラウザなどの
PC操作を自動化する
Application アプリケーション処理
Excel Excel操作
Clipboard クリップボード操作
Terminal コマンド処理
S3 クラウド連携
Files and Folders ファイル・フォルダ処理
Mouse マウス操作
Keyboard キーボード操作
Web Webブラウザ操作
Text テキスト入力
OCR OCR入力
フロー : 上記「操作」の繰り返しや
条件分岐を制御する
Error Handling エラー発生時の処理
Wait Wait処理
Execution Control 実行制御
Conditions 判定処理
Loops ループ処理
Sequences シーケンス
Variables 変数

RPAによって変わる「管理」とは

通常の企業では、管理職が置かれ、さまざまな業務の方向性や、個別の進捗などが「管理」されています。RPAにより業務自動化が進むにつれ、ロボット(仮想労働者)の数およびロボットが稼働するPCも増えてきます。

ただ、各担当者や各部署にお任せ状態になると、ロボットの変更履歴やバージョンなどが一切管理されないといった事態に陥ります。「野良ロボット」とも呼ばれ、各々のPCに個別機能が実装されたロボットにより、既存システムに思いもよらない悪影響を及ぼす可能性があります。

そういった状況を打破するアプローチの一つが、RPAツールの管理機能の活用です。2017年9月にWinActorの管理ロボ機能が提供開始されたのをはじめ、UiPathのOrchestrator、Automation AnywhereのControl Roomなど各RPAツールが管理機能を提供し、「集中管理」を実現しています。製品によっては、ロボットの並行実行や結果の管理も可能です。開発者の方であればHinemosJobArranger for Zabbixなどのジョブ管理ツールによるジョブネットの管理をイメージするとわかりやすいでしょう。

RPAの真の活用のためには

RPAツールを入れればそれだけで解決というわけではありません。

RPAに関する業務の自動化の方針を定め、細かい機能の実装を標準化するいわば「ロボット統括部」のようなRPA組織の設置も重要視されてきています。同時に、こういったスキルを兼ね備えたプロセスアナリストのニーズが高まってくることでしょう。

自社のリソースだけでなく、コンサルティング企業を活用する動きが進んできています。2018年1月4日に「日経優秀製品・サービス賞2017」の日経産業新聞賞 でアビームコンサルティングの「業務効率化コンサルサービス『RPA業務改革サービス』」が最優秀賞に選ばれました。優秀賞にNintendo Switchやハイブリッド車などが選ばれるなどIT業界の枠を超えて注目されている領域です。

2018年1月11日、つくば市はベンダーと提携して「RPAを活用した定型的で膨大な業務プロセスの自動化」に関する共同研究を行うと発表しました。注目すべきは、共同研究の結果が公表される点で、こういったノウハウが世の中に流通することで、RPAがより幅広い業界・領域にて活用されていくでしょう。

*  *  *

今回は、RPAにおける2つの要素である「操作」と「フロー」を紹介し、Excelなどの「操作」を「フロー」により繰り返し実行するイメージを掴んでいただきました。

RPAを真に活用していくためには、単に自動化するだけでなく、「管理」に対する考え方を掴み、勘所を押さえた上で、組織的に取り組んでいく必要があるでしょう。

著者紹介


正野 勇嗣 (SHONO Yuji ) - NTTデータ シニアスペシャリスト

2011年頃まで開発自動化技術のR&Dに従事。その後、開発プロジェクト支援やトラブルシューティング等に主戦場を移す。「ソースコード自動生成」に加えて、JenkinsやMaven等の「ビルド自動化」、JsTestDriverやSelenium等の「テスト自動化」を扱うようになり、多様化する開発自動化技術動向に興味。

最近は第四の自動化であるInfrastructure as Code等の「基盤自動化」の魅力に惹かれている。開発自動化技術に関する雑誌・記事執筆も行う。2児のパパ。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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