「Open × Collaboration」をテーマに7月20日~21日に開催された「OpenStack Days Tokyo」。基調講演ではOpenStack FoundationのCOOであるMark Collier氏と、Cloud Foundry FoundationのHead of MarketingであるDevin Davis氏が登壇し「OpenStackが第2フェーズに入り、OSSコミュニティとのさらなるコラボレーションが重要になってきた」とOpenstackの現状を訴えた。

エクイニクス・ジャパンの長谷川章博氏

日本発祥で2013年に始まったOpenStack Daysも5年目を迎え、来場者2000人、セッション数も80本超という日本最大級のOSSイベントに成長した。OpenStack Foundationが認めている唯一のローカルイベントとして世界18カ国で開催されており、開催国はさらに広がりを見せている。

開幕の挨拶に立ったエクイニクス・ジャパンの長谷川章博氏は、ユーザーアンケートによる利用実態について「OpenStackを2016年に導入済み・導入意欲があるという回答が全体の約7割になりました。2017年もその傾向は変わりませんが、導入済みと導入予定がそのうちの3割を占めています。検討を経て、成熟期に入ったという見方ができます」と解説。

これはグローバルで年2回実施しているユーザーサーベイからも明らかだ。ユーザーの出身国の割合は39%を占めて1位につける米国から、中国(6%)、ドイツ(5%)、インド(5%)と続いて、日本は5位(4%)につけている。日本のユーザー層はOpenStack Daysが始まった2013年と比較しても、かなり広がってきているのが現状だ。

ユーザーサーベイにおける回答者の出身国

注目したいのは、企業がなぜOpenStackを導入するのかという点だろう。オープンソースとしてのコストメリットを期待する声が高いと判断しがちだが、実際には、最も多い回答は「ビジネスの変化に対する即応性」であり、2016年、2017年の調査でいずれも約29%超を占めている。「コスト削減」は2位で割合は約16%、これは「標準化」の約16%とほぼ同じ割合だ。そのほか、「競争力の確保」(約13%)、「ロックインの回避」(約12%)などへの期待が高い。

また、技術的な魅力について聞くと、最も多かった回答は「オープン性(オープンソース)」で約49%にも上る。そこに「APIの標準化」が25%、「最新技術の取り組み速度」が17%と続いているという状況だ。

OpenStackに感じる技術的な魅力

Cloud Foundry Foundation Head of MarketingのDevin Davis氏

長谷川氏は、こうした利用動向について「OpenStackに求められているのはアジリティとオープンさ」と指摘。そのうえで、OpenStack上で動作しているさまざまなOSSブロジェクトの状況に触れながら、「DevOpsやCI/CDといった開発環境の効率化、サービスデリバリーの自動化などで欠かせない要素になっています。また、コンテナ、コンテナのオーケストレーション、ネットワーク機能の仮想化、IoT、オープンなハードウェア開発などでもOSSは存在感を放っています。IaaSとしてのOpenStackはこれらOpenStack上のさまざまなプロジェクトやコミュニティとコラボレーションしていくことが必要です」と訴えた。

例年OpenStack Foundationの代表者が務めてきたキーノートに、今回はDevin Davis氏が加わったのも「オープン × コラボレーション」を象徴するものと言えるだろう。