レッドハットは10月6日、同社主催の技術カンファレンス「RED HAT FORUM 2016 Tokyo」に伴い来日していた米Red Hat 社長兼CEOのJames Whitehurst氏による記者発表会を開催。同社の業績や今後の方針について説明した。

58四半期連続成長 - サブスクリプションは過去5年で最高

米Red Hat 社長兼CEOのJames Whitehurst氏

Whitehurst氏はまず、同社の2017年度 第2四半期(6-8月)の業績に触れ、前年同期比で19%の売上増があったことを紹介。売上増は、実に58四半期連続になるという。サブスクリプションの伸びは過去5年間で最高、当初の売上予測の上限も上回る結果となったことを明かした。

大きな要因の1つとしては、Red Hat Enterprise LinuxなどのOSやインフラソフトウェアの契約企業に対して、アプリケーション開発や新興技術のソフトウェアをクロスセリングできたことが挙げられるという。

その背景について、Whitehurst氏は「エンタープライズの世界で破壊と再構築が始まっている」と説明。OpenStackの活用が進み、DevOpsを取り入れる企業が増えてくるなど、「新しい時代のソフトウェアが普及し始めていることが後押ししている」とし、同社が引き続き成長を期待できる環境にあることを強調した。

物理、仮想化、パブリック、クラウドで自由に実行

また、今後については、ITが従来のようなバックオフィス向けではなく、収益そのものに深く寄与するようになり、ますますの短期構築が求められるようになっている、というビジネス環境に触れたうえで、開発者やインフラ管理者の負担を減らすために「物理環境」「仮想化環境」「パブリッククラウド」「プライベートクラウド」の4つの世界で同じようにアプリケーションを走らせる必要があると解説。さらに次のように続けた。

「そのためには、AWSやAzureで単にLinuxが動かせるだけでは不十分。コンテナ技術などを有効に活用して、アプリケーションを自由に移管できるようにする必要がある。これは、ベンダーロックインからの開放をテーマに製品開発を続けてきたRed Hatの得意分野。ベアメタルレベルでも、仮想マシンレベルでも、OSレベルでも、コンテナレベルでも、システム担当者のニーズに対応できる環境を取り揃えている」

今後は、環境を問わず、アプリケーションが動作することが求められる

Red Hatの製品ポートフォリオ

米3Scale買収、Red Hatアカデミー開始

Whitehurst氏はRed Hatが目指す先について、「ゴールは標準化されたハイパフォーマンスでアジャイルなインフラ。イノベーション担当者にイノベーションに専念してもらえる環境を作ることが使命」と語り、引き続き技術開発に専念していく意向を示した。

そのほか発表会では、DockerやKubernetesなどのコンテナ関連ソフトウェアや、Jenkinsなどの開発自動化ツール、JBossほかのミドルウェアなどを搭載したPaaS基盤「Red Hat Openshift Container Platform」を強化していること、今年6月にAPI管理ソリューションの米3Scaleを買収したことなどにも言及。さらに、「RED HAT INNOVATION AWARD APAC」を旭鉄工とソフトバンクが受賞し、東京電子専門学校により学生向け技術者育成プログラム「Red Hatアカデミー」の国内提供が開始されたことなども明かされた。

Red Hat Openshift Container Platformの内容

Red Hatが提供するAPI管理ソリューション