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Slack共同創業者/CTOが見る、after・withコロナの働き方

[2021/04/12 13:00]岩井 健太 ブックマーク ブックマーク

ユーザーの同期/非同期状態にもコミット

昨年末には、米Salesforce.comがSlackの買収を発表しましたが、どのようにお考えですか?

ヘンダーソン氏:現状では、まだ買収は完了していませんが、設立から独立した組織として12年が経過した段階で、大企業の一部になるということに関しては非常にワクワクしています。大きな変化に迎えるにあたり、少し不安はありますが今後は状況を静観していく方針です。

ただ、われわれとしてはこのまま走り続け、次々とプロダクト出していきたいため、従来通りであると考えてもらっても差し支えはありません。プロダクトを構築することに集中し、ユーザー体験も向上させていきます。

外部の人とつながれる機能として「Slack コネクト」を発表した一方で、コミュニケーションが密になりすぎて煩雑になる恐れもあるのではないかと感じています。また、Eメールに関する考え方を教えてください。

ヘンダーソン氏:開発においてSlack コネクトは重要です。もともとSlackは内部でのコミュニケーションを円滑にするために開発しましたが、働き方が複雑になるとともに組織をまたがって働くこともあるからです。実際、利用もかなり増えています。

コミュニケーションが密になりすぎることに関しては、もちろん同期的な形で使われていますが、非同期的に使うことも可能です。特に昨年は、このことについて重要な年でした。

いつ連絡して大丈夫なのか?また、この時に集中したいので邪魔をしないで欲しいなど、ユーザー自身通知やステータスを変更することでコントロールできます。

また、Eメールの量は減少していますが、なくすことは難しいでしょう。社内でEメールは送らず、定期的に会う人とはSlack コネクト使うことが増加しています。私自身はセールスフォースの人とのやり取りはEメールではなく、Slack コネクトを使っています。

Slackがパンデミック下で目指すべき姿とは

今年のSlackについて教えてください。

ヘンダーソン氏:大きな年になるでしょう。ツール=バーチャルヘッドクォーター(仮想の本社)ということで、従来の物理的なヘッドクォーターを代替するものになるのではないかと考えています。これにより、分散した環境の中で働く人たちにとって効率的に作業ができるようにしていきたいですね。

昨年10月の年次イベント「Slack Frontiers 2020」で発表した「非同期ビデオ通話」と「音声通話」がその役割を担うでしょう。

非同期ビデオ通話は、例えば定例会議が毎日同じ時間に設定されている場合、その時間帯での出席が難しいときに、あらかじめ録画しておいたビデオ通話で必要な情報や進捗状況を伝えるというものです。わかりやすく言うと、インスタグラムのストーリーのような機能です。

また、音声通話についてですが、例えばチャンネル内で話している内容を聞いたり、自分も参加したり、発言したりするなど、仕事を効率的に行うことができます。一例として、オフィスでは隣同士で話し合いながら仕事を進めるときがありますが、そのような共同作業をする際に、あたかも話しながら仕事に取り組めます。

従来から音声通話の機能はあり、同じ技術を新機能も用いていますが、アプローチ方法やインタフェース、感覚的なところなどが異なります。例えば、4人がミーティングしている場合、スケジュールされていない状態であっても会話に参加することが可能です。

社内で利用中ですが、現状ではオフィスで仕事をする状態ではないため、カジュアルかつ偶発的な状態であっても会話に参加しています。会議のためにスケジュールを組むのではなく、常にどこかの会話に参加/不参加できるような形にするものです。

開発の方向性についてはいかがでしょう?

ヘンダーソン氏:われわれは多くの時間を費やして分散型の組織における働き方において、何か新しいツールはないかと模索を続けています。オフィスにいることができなくなってしまった現在、従来はオフィスで発生していたかもしれない会話などを新機能で実現できます。

分散された環境における仕事の効率化には、これまでも取り組んできましたがパンデミックやロックダウンを経て、そのモメンタムが加速しましたね。

今年は、いろいろな機能を開発していきます。やはり、組織ではパンデミックの状況が変わったとしても通常の状態に戻ることは難しく、分散型の働き方について考えていく必要があると感じています。

ヘンダーソン氏

今後も新機能開発に意欲的に取り組んでいくと話すヘンダーソン氏

多くの人たちは働く場所、時間に加え、オフィスに行くのか否かについて柔軟性を持って選択することになるでしょう。

そのため、新機能やツールは従来以上に重要になることから、みなさんがパンデミック前よりも効率的に働けるように考えていきたいですし、新型コロナウイルスの状況が改善することを願っています。そして、多くの人がワクチンを接種してオフィスに戻れればと考えています。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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