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ファーストリテイリングとNTTデータのGoogle Cloud活用策とは

[2021/05/27 13:00]岩井 健太 ブックマーク ブックマーク

「有明プロジェクト」にGoogle Cloudを活用するファーストリテイリングの事例

ファーストリテイリングは、顧客のデータ分析や需要予測の改善にGoogle CloudのAIと機械学習のソリューションを活用しており、同社 グループ執行役員 田中大氏が説明した。

ファーストリテイリング グループ執行役員 田中大氏

ファーストリテイリング グループ執行役員 田中大氏

同氏は同社の全社改革である「有明プロジェクト」の全体統括を担当している。同プロジェクトは、従来の製造小売業から「情報製造小売業」への変革をテーマとしており、小売で消費者と接点を持ちながらも商品開発、生産管理、物流まで手がけることを目標としている。つまり、消費者から工場までをダイレクトに情報でつなぐことで、消費者が本当に欲しいものだけを作るというものだという。

田中氏は、有明プロジェクトについて「これまでは『作ったものを売る』というビジネスだったが『売れるものを常に作り続ける』というビジネスへのシフトを目指している。常に、消費者視点の服を作り続けるための改革として”情報製造小売業”という新しいビジネスの実現を目標に、全社で改革に取り組んでいる。現状では30か国に3500店舗に加え、Eコマースを展開していることから、生活・気候・トレンドなどで常に売れる/売れないものが変化する。従来のビジネスでは売れるものは不足し、売れないものは余剰になってしまっていたため、消費者が本当に求めているものを確実に提供していきたいと考えており、新しい業態のあり方に挑戦している」と力を込める。

「有明プロジェクト」の概要

「有明プロジェクト」の概要

同プロジェクトのもと、これまでカスタマーセンターにおいてGoogle CloudのContact Center AIを導入し、顧客対応に活用している。

また、Vision API Product Searchにより、着こなし発見アプリ「StyleHint」を提供。Vision API Product Searchは、機械学習を適用してユーザーの画像内の商品と小売業者の商品セット内の画像を比較し、視覚的および意味的に類似した結果をランク付きリストとして返すことを可能としている。

着こなし発見アプリ「StyleHint」ではVision API Product Searchを活用している

着こなし発見アプリ「StyleHint」ではVision API Product Searchを活用している

同アプリは、世界中の多様なスタイルの写真・動画から着たいものを見つけて、商品を探すことができる。同氏は「最初は画像認識の精度は高くなかったが、Google Cloudのチームと共同で取り組んだ結果、現在では高い精度で服とスタイルを紐づけることが可能になっている」と胸を張る。

また、VOC(Voice of Customer)やVOS(Voice of Supplier)をもとに、Google Workspaceのスマートアナリティクス、AI&機械学習、データベースを活用して、新商品開発につなげている。

さらに、商品情報や実績情報、外部情報(天気など)をスマートアナリティクス、AI&機械学習を用いて需要予測をSCM(サプライチェーンマネジメント)に連動させることで、必要とされているものをリアルタイムに販売・生産計画に反映させることを検討しているという。

AIを活用した需要予測にも取り組んでいる

AIを活用した需要予測にも取り組んでいる

Anthosでハイブリッドクラウド環境を構築したNTTデータの事例

続いて、NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 デジタルペイメント開発室長の神保良弘氏が同社におけるGoogle Cloudの活用事例を紹介した。同氏は、1984年から同社がサービスを開始しているカード決済プラットフォーム「CAFIS」のDXを推進する部署において組織変革やサービス開発などに取り組んでいる。

NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 デジタルペイメント開発室長の神保良弘氏

NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 カード&ペイメント事業部 デジタルペイメント開発室長の神保良弘氏

CAFISは加盟店や金融機関に対して、ペイメントエコシステム全体を発展させるエンジンとして「Digital CAFIS」を目指し、現在では「Omni Platform」と「Digital Platform」の2つのプラットフォームを開発している。

「Digital CAFIS」は

「Digital CAFIS」は”ペイメントエコシステム全体を発展させるエンジン”を目指している

Omni Platformは、オープンAPIにより決済サービスが利用しやすい状態での提供や、顧客に新しいサービス創出の場を提供。一方、Digital Platformは企画開発、サービス提供、顧客、人材、事業管理など事業プロセスの提供・管理に加え、価値創造能力と変化対応能力を継続的に向上すること可能としている。

神保氏は「当社は2つのプラットフォームを”育てられるプラットフォーム”として定義している。そのため、Digital Platformは大規模アジャイル開発フレームワークのSAFe(Scaled Agile Framework)のプロセスにマッチする人材、パートナーとの協業方法など、従来とはまったく異なる形で開発した。また、Omni Platformは決済利用者と協業し、新しいビジネス・サービスを創出できるようなプラットフォームを提供することを目的としている」と話す。

「Digital CAFIS」では2つのプラットフォームを開発している

「Digital CAFIS」では2つのプラットフォームを開発している

そのうえで、同氏は「プラットフォームを作ることが目的ではなく、最終的にはビジネスコンピテンシーの獲得として、価値創造主体の商品開発力、デジタルを活用した安定的なサービス提供力、人材育成を図ることを目的にしており、オンプレミスとクラウド両方の環境で最新のアプリケーションをビルドして管理するハイブリッドクラウドソリューションであるAnthosを用いている」と説明する。

Omni Platformはシームレスな購買体験、データの集約とデータ活用の促進、多様なチャネル・決済手段を統合APIによりワンストップで提供することを目指したプラットフォームだ。そこで、Anthosを中心としたGoogle Cloudの製品群を採用して開発し、Google Kubernetes Engineとマイクロサービスアーキテクチャも活用している。

「Omni Platform」の概要

「Omni Platform」の概要

一方で、検討を進めるなかで将来的なインフラ開発にあたり「ビジネスアジリティ」「ミッションクリティカルシステムの安定運用(高可用性)」「内外セキュリティ脅威への対応(高セキュリティ)」といった課題があり、これら3つの課題を同時に解決するようなアーキテクチャの選定が重要だと考えたという。

そこで、ビジネスアジリティを確保するため、クラウドネイティブなアーキテクチャや、Google BigQueryを利用したデータ活用がポイントとなり、Google Cloudを採用した。

神保氏は「ミッションクリティカルシステムの安定運用に際しては、決済システムの停止を避けるためのオンプレミス環境での稼働継続など、マルチ/ハイブリッドクラウドの観点からアーキテクチャを選定する必要があった。Anthosの技術は汎用性が高く、クラウド、オンプレミス問わず動き、アプリケーションの管理も容易にできることから、採用した」と力を込める。

また、サイバー攻撃や情報漏えいなど多様な脅威に晒されるためゼロトラストの考え方にもとづくとともに、大量のログデータを機械学習を用いて処理することを可能とし、スモールスタートが可能なGoogle Chronicleの採用を検討している。

「Omni Platform」の概要

Google Cloudの選定製品と理由の概要

そして、最後に同氏は「当社はDigital CAFISで顧客の事業パートナーとして、さまざまな決済を中心としたサービスの開発に取り組んでおり、Googleの製品思想や今後の当社の方向性に寄り添ったサポートが採用の決め手になっている」と述べていた。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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