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なぜ、LIXILは基幹システムにGoogle Cloudを採用したのか?

[2021/05/18 18:30]岩井 健太 ブックマーク ブックマーク

LIXILがGoogle Cloudを採用した決め手

LIXILは、2011年に国内の大手住宅設備機器メーカー5社が合併して誕生し、統合後には会計基準を国際会計基準(IFRS)に統一。従来、メインフレームで支えてきた基幹業務をオープン系システムであるSAP S/4 HANAに置き換える必要があり、そのプラットフォームとしてGoogle Cloudを選定した。

LIXIL 常務役員 Digital部門 システム開発運用統括部 リーダー 兼 コーポレート&共通基盤デジタル推進部 リーダーの岩﨑磨氏は「大きな課題としては積極的な海外関係会社買収に伴う部署・関係会社間のルールにズレ(会計基準など)があったほか、各事業を支える基幹システムの複雑化(メインフレーム)と事業スピード間にもズレがあった。そのため会計基準をIFRSに統一するとともに、これを契機に業績管理尺度の統一、オープン系のパッケージを可能な限りカスタマイズせずに軽く使うことを目的に、SAP S/4 HANAを中心とした基幹刷新プロジェクトを決断した」と振り返る。

LIXIL 常務役員 Digital部門 システム開発運用統括部 リーダー 兼 コーポレート&共通基盤デジタル推進部 リーダーの岩﨑磨氏

LIXIL 常務役員 Digital部門 システム開発運用統括部 リーダー 兼 コーポレート&共通基盤デジタル推進部 リーダーの岩﨑磨氏

基幹刷新プロジェクトの概要

基幹刷新プロジェクトの概要

また、刷新に向けて、インフラの選択に関してさまざまな議論を交わし、当初はプライベートクラウドの採用を念頭に置いていたが、リソースの柔軟性、災害対策、保守運用工数などの課題を抱えていたため、複数のSAP S/4 HANAのインフラ基盤にGoogle Cloudの利用を決断したという。

これにより、SAP on Google Cloudで基幹システムを大規模刷新し、クラウドのスケールメリットを活用しつつ、3つのSAPシステム、30以上のランドスケープ、120を超えるSAP関連サーバを構築。会計系のインスタンスは昨年11月から本番稼働しており、現在は安定運用されている。

岩崎氏はGoogle Cloud選択のポイントとして「まずは、IaaSとして強みがあることが挙げられる。また、マーケティング部門を中心にGoogle BigQueryを利用してデータを蓄積していたため、Google CloudとSAP S/4 HANAが連携することで従来は欲しいデータを得るために1日を要していたが、ものの数十秒で得られるようになっており、今後の成長を支える基盤としていく方針とした。さらに、コストに関しても納得のいくものだった」と説明する。

Google Cloud選択のポイント

Google Cloud選択のポイント

LIXILでは、Google Cloud導入時に内製のエンジニアが軸になり、Google Cloudのノウハウを学び、その後はスタンダードプラットフォームの議論を重ねたうえで、Googleのサポートチームと共同で設計し、実装に関しては外部サービスを活用した。同氏は「基本的な骨格は内製とGoogleのサポートチームと取り組み、補助的なものについては外部のコンサルティングサービスを活用しながら進めた」という。

横断型のデータプラットフォームも構築

加えて、基幹刷新プロジェクトと並行して同社ではGoogle BigQueryを活用し、セキュリティを担保した全社横断型データプラットフォーム「LIXIL Data Platform」(LDP)の構築にも取り組んでいる。同プラットフォームの構想として、SAPを含むSoR(System of Record)システムと、顧客接点を支える新しいSoE(System of Engagement)システムのデータをプラットフォームにエクスポートし、蓄積したデータからAI/MLモデルの構築やBIツールによる可視化・分析、ローコード・ノーコードによる現場向けのアプリケーション開発ツールの提供を目指す考えだ。

同氏は「LDPは、利益を高めるインサイトを従業員自らが作り出すためのデータ活用プラットフォームだ。情報システム部門が構築するのではなく、自分で使いやすいようにデータを活用すると同時に、速やかな意思決定をしながら変革していくことを基礎として位置付けている」と意気込みを語っていた。

「LIXIL Data Platform」(LDP)の概要

「LIXIL Data Platform」(LDP)の概要

一方で、岩崎氏はGoogleの自由でオープンな文化を取り入れることも進めている。

同氏は「今後、グローバルも含めて、新型コロナウイルスの感染拡大をはじめ、あらゆる変化に柔軟に対応するとともに迅速に動くためにも大きな文化的変革が必要となる。そこで、参考しているものがGoogleのProject Oxygen、10X Thinking、透明性やダイバーシティ、心理的安全性などだ。Googleの文化をLIXILに取り込んだ際に、どのようなことが起きるのか?という観点で当社の文化を新しく作る取り組みを進めていきたいと考えている」と述べていた。

Googleの文化を取り入れているという

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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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