日本最大級のゴルフポータルサイトがクラウド移行から学んだこと

[2020/03/19 10:00]周藤瞳美 ブックマーク ブックマーク

「ビッグバン」と「じわじわ移行」はどちらがよいか?

続いて白尾氏は、一度にクラウド移行を完了させる「ビッグバン」と、徐々に移行作業を進めていく「じわじわ移行」について語った。GDOでは、さまざまなリスクを検討した結果、「ビッグバン」を選択したという。

ビッグバンの場合、移行中にトラブルが発生して切り戻すリスクが高い。そのため、ゴルフ場予約、ECサイト、メディアとサービスごとに移行時期をずらす「じわじわ移行」も検討したと言うが、「サービス間で関連のあるデータもあったので、じわじわ移行の場合には、いずれかのサービスだけがクラウドで、ほかはオンプレミスで稼働しているというテストを実施しなければならなかった。障害リスクは小さくなるものの、何通りかの組み合わせでテストを行うコストが掛かってしまう」と白尾氏が説明するように、主にコスト面が大きな理由となって選択には至らなかった。

ただし、サーバの移行は一気に行ったが、溜まっているデータの移行は事前に実施したという。移行当日はデータを差分のみ移行することによって、システム停止の時間を短縮するという狙いがあった。

テストでバーストしたコスト

テストのコストを考慮してビッグバン移行に決めたものの、実は結果的にテストで大きなコストが発生してしまったという。オンプレミスでテストを行う際には、限られたサーバを使い回すことになるが、クラウドでテストを実施するとなると、複数台のインスタンスにコピーして同時並行で複数種のテストを行うことが可能となる。これが裏目に出てしまったのだ。

白尾氏は「停止忘れや削除忘れが多数発生し、コストがかさんでしまった。テストの予算を大幅に超過してしまい経営者からお叱りを受けてしまった」と振り返り、「これからクラウド移行をする方は、テストで発生し得るコストについて理解しておいたほうがよい」と聴講者にアドバイスした。

移行後にやるべきこと

クラウド移行後に行うべきこととして白尾氏は、通常料金に比べて大幅な割引価格が適用されるリザーブドインスタンス(RI)への切り替えを挙げた。また、「ベンダーの整理も必要」(白尾氏)だという。

「特に、マネージド・サービス・プロバイダー(MSP)の選定は重要です。パブリッククラウドベンダーと直接取引することも可能ですが、我々も含め、ユーザー企業には必ずしも尖ったエンジニアがいるわけではないので、MSPに助けてもらうシーンは多いと思います。MSPは、さまざまな企業を見ていて知見も持っているので、うまく付き合えるところを選定できると良いでしょう」(白尾氏)

* * *

クラウド移行を果たしたGDOは現在、次のステップとしてマルチクラウド化に向けて取り組んでいる。取り組みを進める上で重要なこととして、白尾氏は「AWSに限定せずに、適材適所で各パブリッククラウドベンダーのサービスをつまみ食いできるような設計にすること」だと見解を示した。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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