「ハイブリッドクラウド研究会 第3回勉強会」レポート

【連載】

徹底研究! ハイブリッドクラウド

【第13回】「ハイブリッドクラウド研究会 第3回勉強会」レポート

[2019/04/11 08:00]津久井 智浩 ブックマーク ブックマーク

クラウド

今回は、3月7日(金)に開催された「ハイブリッドクラウド研究会 第3回勉強会」の模様をダイジェストでお伝えします。

各社各様のクラウド活用事例

まず最初に登壇したのは、みずほフィナンシャルグループ みずほ銀行 黒須義一氏です。同氏からは「<みずほ>におけるクラウド利活用 導入から活用へ」と題し、みずほグループにおけるクラウド活用状況についてお話いただきました。

●セッションのポイント

・みずほでは「Cloud Center of Excellence」という活動を通して部門を超えたクラウド活用を推進している
・みずほではAWSを採用しているが、最初のステップはIaaSを使えるようになることから始まった
・クラウド導入に際しては、AWSが提供するFISC対応チェックリストと自社の金融セキュリティ要件を1つ1つ照合していくという地道な取り組みを行ってきた
・金融機関/ベンダー双方ともに、先例や慣習によって固定化されたマインドが支配しているが、昨今はそうしたマインドを解放して利用者目線に立った取り組みが求められている
・みずほ銀行では、社員同士を有機的に繋ぐ活動として「ERG(Employee Resource Group)」に取り組んでいる。「コクリエ(CoCreA)」といったテクノロジーを活用して組織を変える「Co - Creation」をミッションとするコミュニティ活動なども行っており、400人以上のメンバーが参加している

利用者と管理者がお互いの意見に耳を傾け、協調して取り組んでいくことこそが組織を成長させるポイントであることに改めて気づかされました。利用者側/ベンダー側のどちらの立場の方にとっても非常に参考となるセッションでした。

続いて、ギットハブ・ジャパンからEnterprise Sales Representative 出木谷佳彦氏が登壇。「ハイブリッド・クラウド時代の開発基盤:GitHub概要と導入事例」と題し、GitHubの社内事例が紹介されました。

●セッションのポイント

・ギットハブ・ジャパンでは、開発者だけでなく、総務部などバックオフィス社員も含めてGitHubを活用
・MicrosoftのEA(Enterprise Agreement)契約でGitHub Enterpriseライセンスを購入可能

開発者が利用するものというイメージが強いGitHubですが、さまざまなシーンで情報共有基盤として活用できるソリューションであることがわかるセッションとなりました。

「あらためてAzure Stack概要と今後のロードマップ」と題し、Azure Stackの現状と今後について解説したのは日本マイクロソフト パートナー技術統括本部 ソリューション開発技術本部 パートナー ソリューション プロフェッショナル 福原毅氏です。

●セッションのポイント

・Azure Stackは、プライベートクラウド基盤としてハイブリッドクラウドを担うことをあらためて説明
・Azure Stackの概要からKubernetes対応など、Azureでニーズの高いソリューションへの対応も紹介
・Azureと同様にAzure Stackの環境においてもエコシステムが形成されつつある
・Windows Server 2008サポート終了の受け皿として、Azure/Azure Stackが非常に有効なソリューションであり、パートナーソリューションも充実してきている

メーカー視点でのAzure Stack基礎から最新ロードマップまでの解説に加え、Azure Stackを取り巻くパートナーソリューションもご紹介いただきました。AzureとAzure Stackによるハイブリッドクラウド全体のエコシステムが加速していることを実感させられるセッションとなりました。

各社が描くハイブリッドクラウドの将来像

また今回、勉強会初の試みとして実施されたのが、HCC研究会幹事企業がライトニングトーク形式で語る「Azure Stackで描く将来ビジョン」です。今回はアバナード、インターネットイニシアティブ(IIJ)、日本ビジネスシステムズ(JBS)、レノボエンタープライズソリューションズから、各社が描くハイブリッドクラウドの将来像が語られました。

アバナード シニアディレクター 西原順二氏

パブリッククラウドの日本リージョンができてから8年が経ち、エンタープライズでも本格活用されてきた。当時は考えられなかった基幹系への採用も進んでいる。ただし、まだ多くの意見として重要データ、個人情報などをクラウドで扱うことに慎重であるのも事実である。

Azureとほぼ同じ使い勝手であるAzure Stackは、そのような場面にマッチすると考えている。利用することで、クラウドの利便性と手元にデータがあることの安心感の両方を享受できる。Azure Stackを一度使えばクラウドの良さがさらに理解されるようになり、ますます用途が広がるのではないかと期待している。

IIJ ソリューション本部 エンタープライズソリューション部 クラウドソリューション開発課 今中裕介氏

Azure Stackは設置したらすぐ利用できるわけではなく、周辺含めて十分なネットワークの設計が必要となる。IIJの提供するSD-WANサービスにモジュールとして追加することで簡単にAzure Stackを利用できるようになる。その場合、新たにAzure Stackの運用業務が発生するため、サービスプロバイダーやSIerがその運用業務をマネージドサービスとして提供することが望ましい。

JBS 事業企画本部 パートナーアライアンス部(Microsoft MVP for Cloud and Datacenter Management) 胡田昌彦氏

お客様との会話のなかで「現在Office 365を利用しており、Azure AD Premiumを活用したい」という相談を多く受けるようになった。実際、オンプレミスのActive Directory、クラウドのAzure AD Premiumを活用した「ハイブリッドID」を軸とした”クラウドらしい”実装が進んでいる。

これがさらに進めば、「Azure+Azure Stack」の組み合わせが生む「全てAzure AD認証を利用することで統一しやすい」というメリットが発揮される。IDのクラウド化(Azure ADの活用)が先行し、後から基盤系が追従する流れで「Azure Stackを含むクラウド基盤」が普及すると予想している。

レノボエンタープライズソリューションズ 米津直樹氏

Lenovoが提供するAzure Stackのこれまでの歩みとして2017年07月12日の発表以来、継続的にUpdateをしており、ロードマップもある。公開可能なケーススタディもTaiwan Mobile、Calligo、Cloudeon、ITPSなど増えつつある。

競合他社もハイブリッドクラウド製品を投入し始めており、改めてAzure Stackの先見性が証明された。現在、レノボ版Azure StackはIoT商談が増えており、レノボではEdge ServerやIoT DeviceなどEnd to Endで全てのコンポーネントの提供を予定している。

PoC環境/Azure Stack統合環境のデモンストレーション

第1回、第2回の勉強会に引き続き、今回もIIJ 今中氏からHCCJPで用意しているPoC環境について、デモと共に紹介されました。

セッションでは、あらためてAzure StackのPoC環境が紹介され、3月末までとされている特別オファリング期間について継続の可能性が示唆されたほか、利用者側のAzureサブスクリプションとPoC環境のAzure Stackの環境を接続するデモを実施。併せて、Microsoft FormsによるPoC貸出申請手順も実演されました。

また、JBS 胡田氏は、Azure Stack統合環境の更新を行うデモを実施。環境の更新は慎重な対応が求められる作業ですが、Azure Stack統合環境ではシンプルな操作で安全な更新が可能なことが説明されたほか、更新ログをたどり、多くのプロセスが自動化されている様子が披露されました。

* * *

勉強会終了後の懇親会では、今回、学生の方にもご参加いただけました。学生の方の参加は、おそらく初だと思います。IT業界やクラウドの動向に強い関心を持っているため、今回の勉強会に参加してみたそうです。大学ではプログラミングも学んでおり、セッションでも登場したGitHubはソース管理に欠かせない存在となっているとのこと。新しいツールや技術が、若い世代にとってはあたりまえのような存在となっているのだなと実感しました。

今後、ハイブリッドクラウドも教育や経済、社会においてあたりまえの存在となっていくことでしょう。ハイブリッドクラウドのさらなる進化、新しい技術を取り上げていけるよう研究会としても積極的に情報発信していきます!

最後にご案内となりますが、4回目となる勉強会の日程も確定しました。

ゼロから分かるMicrosoftの最新のプラットフォーム戦略! 超初心者歓迎!
HCCJP(ハイブリッドクラウド研究会) 第4回勉強会

・開催日時:5月15日(水) 14:00~
・開催場所:日本マイクロソフト 品川オフィス

今回も新しい趣向を取り入れた内容となっておりますので、ぜひご期待ください!

著者紹介

株式会社ネットワールド
Microsoft ソリューション プリセールスエンジニア
津久井 智浩(つくい ともひろ)

ソリューションディストリビューターであるネットワールドの一員として、お客様に付加価値を提供するというミッションの下、Microsoft製品を中心にオンプレミスからクラウドまで幅広く提案~導入を担当。
趣味はバイク。昼散歩が日課。最近は自分よりもカミさんの働き方改革を何とかしたいと苦悩し、マインクラフトを通して子供と一緒にプログラミングを学びたいと願う40代。3児(2女、1男)の父。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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