今回は、11月27日に開催されたハイブリッドクラウド研究会初となる勉強会の様子をお伝えしたいと思います。

ハイブリッドクラウド研究会では、11月5日~7日に開催された「Microsoft Tech Summit 2018」において、ハイブリッドクラウドガイドラインを公開しました。それを踏まえた第1回の勉強会は、より多くの皆様に研究会の取り組みやガイドライン活用のメリットを感じてもらうことを一番の目的に定めた勉強会でした。

第1回勉強会には、関係者を含めて60名以上が参加した

勉強会当日のセッション資料はハイブリッドクラウド研究会のサイトにおいて公開されているのでそちらもご覧いただきたいのですが、年末も押し迫り、本連載の読者の多くは多忙な日々をお過ごしのことでしょう。

そんな多忙な方にも、短い時間で勉強会の様子を感じていただきたいと思い、今回は各セッションの核となる部分について、ポイントを絞って紹介していきます。

ハイブリッドクラウド研究会の趣旨説明とこれまでの取り組み

まず、日本ビジネスシステムズ 胡田昌彦氏からハイブリッドクラウド研究会の設立趣旨とこれまでの経緯が紹介されました。セッションのポイントは次の通りです。

●研究会のゴール:研究会を構成する幹事企業メンバーが業種、立場を超えて活発な議論を重ねた結果、ハイブリッドクラウドを啓蒙するためのガイドライン策定を研究会のゴールに掲げた
●今後の予定:11月のガイドライン第1版を公開したほか、コミュニティ主導の勉強会や各種外部イベント、メディアへの露出など、今後も積極的に活動していく

日本ビジネスシステムズ 胡田昌彦氏

ハイブリッドクラウドの期待と現実

スピーカーとしてレノボエンタープライズソリューションズ 米津直樹氏が登壇。ハイブリッドクラウド活用で重要なのは、パブリッククラウドの持つ俊敏性や拡張性といったメリットを享受しつつ、プライベートクラウドと併用することだとし、加えて次のようなポイントについて説明しました。

●ハイブリッドクラウド普及の鍵:グローバルにおけるイノベーターやアーリーアダプターの知見、ユースケースを紐解くこと
●ハイブリッドクラウドガイドラインとは何か:先進的な知見やユースケース、そして研究会メンバーが議論を積み重ねた結果が集約されたものであること

米津氏は、「ガイドラインを活用して最新のユースケースと知見に触れると共に、皆さんからのフィードバックを得て、ガイドラインをさらに良いものに進化させていきたい」と意気込みを語りました。

レノボエンタープライズソリューションズ 米津直樹氏

マイクロソフトのハイブリッドクラウド最新動向

登壇した日本マイクロソフト 高添修氏は、マイクロソフトは単にクラウドファーストではなく、「インテリジェントなクラウド」「インテリジェントエッジ」の世界を描いていることを説明。同社のハイブリッドクラウド最新動向について、例を挙げながら解説しました。ポイントは、次の2点です。

●ハイブリッドクラウドのトレンドについて:Azure Stackに代表されるようなハイブリッドクラウドの潮流は、Azureだけでなくクラウド各社も追随し始めている(AWS Snowball Edge、Google IoT Edge、Alibaba Apsara Stackなど)
●活用状況について:Identity、データベース、IoT、AIというさまざまな分野でAzureを核としたハイブリッドクラウド最新事例が生まれている

高添氏は、「クラウドは個別最適の集合体であり、それを有機的に繋げて全体最適化していくことがハイブリッドクラウドの強みとなる。日本のIT全体の底上げに取り組んでいきたい」と語り、セッションをまとめました。

日本マイクロソフト 高添修氏

クラウドをハイブリッドに使うためのAzureとAzure Stackの技術と取り組み紹介

登壇したのは、三井情報(MKI) 青木賢太郎氏と高橋勝氏。両氏は、デジタルトランスフォーメーションセンターに所属し、さまざまな業種のお客様と共にデジタルトランスフォーメーションを推進、PoC(Proof of Concept)を通して付加価値を提供しています。講演では、MKIが手掛けた次のようなユースケースが紹介されました。

ユースケース 説明
仮想マシンアプリケーション 分析予測シミュレーションとしてAzure、AzureStack双方に仮想マシンを配置したユースケース
クラウドアプリケーション 全天球写真共有アプリのユースケース。海外イベントなどで360°カメラを使って会場風景などをモバイルからアップロードし、VR(仮想現実)ビューで再現可能なサービス
Kubernetesアプリケーション グラフDB活用アプリとして、AKS(Azure Kubernetes Service)とAzure Stack Kubernetesクラスターのユースケース
ハイブリッドアプリケーション プロジェクタ連携アプリ「Azure App Services」とEventHubで構成されたメッセージサービスのユースケース
Azure とAzure Stackデモンストレーション AzureとAzure Stack双方で同一のスクリプトコードを追加の変更をすることなく実行

両氏は、「ハイブリッドクラウド導入を成功に導く鍵は、エンドユーザーの利用ポリシーに寄り添った提案、活用」だと語り、そうした活動にユーザーと一丸となって取り組んでいくことを強調しました。

三井情報(MKI) 青木賢太郎氏(左)と高橋勝氏(右)

ハイブリッドクラウドガイドライン解説

スピーカーとして再度、胡田氏が登壇。過日公開された、105ページにも上るハイブリッドクラウドガイドラインを読み解く方法を紹介したほか、ガイドラインが提唱する8つのクラウド導入スタイルに触れ、それぞれのスタイルの特徴を解説しました。

胡田氏は、全てのスタイルを網羅したスタイルマップによって、自組織の立ち位置や次のステージに踏み出すための指針としてガイドラインが有効であることを強調。「クラウド導入、使い方の最適解は組織により異なる。ガイドラインを読んだ皆さんからのフィードバックを得て、より良いものにアップデートしていきたい」と展望を語りました。

PoC環境紹介と参加方法

インターネットイニシアティブ(IIJ)今中裕介氏からは、ハイブリッドクラウド研究会で準備したAzure、Azure Stack検証環境の紹介と検証環境貸出スキームが紹介されました。

同環境は、幹事企業のHuawei、IIJ、JBSが協力して実現した本格的なものであり、研究会への参加と所定のフォームによる申請を提出すれば利用可能です。ただし、検証時には利用者側で用意するAzureサブスクリプション調達費用が必要となります。そのほか、検証環境利用方法は利用ガイドで提供されていることや、サポートは研究会のFacebookグループが対応することなどが説明されました。

インターネットイニシアティブ(IIJ)今中裕介氏

今中氏は、「Azure Stackはハードルが高く、自社での検証が難しいという方はぜひ、このPoC環境を活用してハイブリッドクラウド活用に踏み出すきっかけとしてほしい」と会場に呼びかけました。

Q&A

Q&Aに関しては、この勉強会を参加者とのインタラクティブなものにしたいという胡田氏の想いから、60分の時間を用意。参加者からのさまざまな質問に回答していくスタイルとなりました。

あらかじめ実施したWebアンケートで多くの質問が寄せられており、登壇者だけでなく幹事企業メンバーも含めた意見が飛び交う活発なものでした。具体的な質問内容は、冒頭でも紹介したハイブリッドクラウド研究会のサイトで公開しています。

勉強会を終えて

懇親会に参加してくださった方々からは「会社や業種を超えた研究会の取り組みが素晴らしい」「無料で100ページにも上るガイドライン作られるなんてすごいですね」「Tech Summitで研究会の活動を知って、すぐに勉強会に応募しました!」といったとてもポジティブなフィードバックをいただきました。

個人的には「マイナビ連載記事見てますよ! 」とおっしゃって下さった方、クラウドへの取り組みに関して同じような悩みを抱えている方、先進的な取り組みを積極的にされている方から多くの刺激をいただくことができました。

今回は第1回目となる勉強会でしたが、既に来年1月24日(木)に2回目の開催も決定しています。

これからクラウドを採用したい方、既にクラウドは利用しているがさらなる活用方法を見いだしたいという方はぜひ勉強会にご参加ください。

第2回勉強会の様子はまた、この連載でもお届けしたいと思います。

著者紹介

株式会社ネットワールド
Microsoft ソリューション プリセールスエンジニア
津久井 智浩(つくい ともひろ)

ソリューションディストリビューターであるネットワールドの一員として、お客様に付加価値を提供するというミッションの下、Microsoft製品を中心にオンプレミスからクラウドまで幅広く提案~導入を担当。
趣味はバイク。昼散歩が日課。最近は自分よりもカミさんの働き方改革を何とかしたいと苦悩し、マインクラフトを通して子供と一緒にプログラミングを学びたいと願う40代。3児(2女、1男)の父。