「NoOpsは、『No Uncomfortable Ops』を意味します。すなわち、システム運用保守に関する『嬉しくないもの』を取り除く活動です」
NoOps Japan 発起人でゼンアーキテクツ 代表取締役 ITアーキテクトの岡 大勝氏は、10月3日に開催したIT Search+スペシャルセミナー『NoOpsはじめの一歩 ~新世代の設計思想を知る~』においてNoOpsをこう説明した。
キーワードはResiliency、技術の進化で止めない運用が可能に
岡氏がNoOps実現のキーワードとして挙げたのは「Resiliency(回復性)」。すなわち、障害が発生してもすぐに回復して処理を継続できる環境である。
コンテナ技術などの普及により、障害が発生しても環境の再構築が秒単位で完了する時代を迎えた。例えば、Microsoft AzureのWeb App for Containersであれば、わずか14秒で再立ち上げできる。この高いResiliencyが、NoOpsを支える技術だという。
「アプリケーション側からすると、30秒が大きな目安です。30秒以内であれば、タイムアウトせずに処理を継続できることが多い。ユーザーからすると、『ちょっと遅延したかな』くらいの感覚で、障害が発生したことにすら気づかないでしょう」(岡氏)
ゼンアーキテクツ 代表取締役 ITアーキテクトの岡 大勝氏 |
これまでシステム設計は、堅牢性を重視した「Design for Robustness」から、故障することを前提とした「Design for Failure」へと移り変わったてきたが、今後は「Design for Resiliency」の下にステートレスなやりとりなどが求められるという。
「チームの観点では、Design for Resiliencyに加えて、SRE(Site Reliability Engineering : 信頼性エンジニアリング)、DevOpsの取り組みも必要です。この3つが出会う場所がNoOpsとなるわけです」(岡氏)
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そのほか、岡氏は、NoOpsのイノベーションの起点は「ユーザーの高い視座にある」とも。
「非機能要求にはぜひとも、OSやミドルウェアのメンテナンスをサービス無停止で行う、ハードウェアの交換ももちろんサービス無停止、といった文言を盛り込んでほしい」といったメッセージを残した。
同セミナーの講演スライドを、以下の資料紹介のリンク、あるいは記事末の「今すぐ資料をダウンロード」ボタン、「ダウンロードBOXに入れる」ボタンから入手できるので、ぜひご覧いただきたい。
講演資料の内容
講演資料は全60ページ。「NoOpsとは何か」からはじまり、「NoOpsの実装例」なども紹介しています。
バッチ処理の設計などは目から鱗が落ちるほど。システム開発、運用に関わる方はぜひ目を通しておきたい資料です。
<PDF内容>
- 2008年の代表的な先進テクノロジ
- 2018年の代表的な先進テクノロジ
- RobustnessからResiliencyへの価値観の転換
- 「高い回復性」を持つことによる可能性の広がり
- NoOpsの目指すもの
- Ops改善のジレンマ
- NoOpsシステムが備えるべき3つの能力
- NoOpsへ向かう最もシンプルなソリューション
- NoOpsの実装例
- アプリケーションにも回復力を持たせる必要がある
- 大量バッチ処理のスケーラブルNoOps実装サンプル
- NoOps時代の非機能要求
……など