日本オラクルとアシストは5月29日、カブドットコム証券が、株式の新発注基盤システム「RAIDEN(ライデン)」のデータベース基盤をアップデートする前のテスト環境に「Oracle Database Cloud」を導入したと発表した。

カブドットコム証券では、株式市場の活性化に伴い、新規口座開設数や約定件数などが急増。東京証券取引所で「アローヘッド2」が導入されたことを契機に、2014年11月、RAIDENの稼働を開始した。

この新発注基盤構築に際し、急増が予測されるデータ量にも十分対応でき、可用性を高められると判断し、データベース基盤として「Oracle Database」を導入。現在、より高速・高性能な取引サービスを実現するためのシステムを安定稼働させる態勢を強化している。その一環として、データベースなどのソフトウェアの最新化やセキュリティパッチの適用など、適宜対策を講じる必要があった。

過去に別のシステムにパッチを適用した際は、実行計画の変化などを手作業で確認したため、全てのSQLを検証することができず、テストの網羅性が課題視された。また、工数も約1人月かかっており、データベース管理者の業務の大きな負荷になっていたという。

今回、RAIDENにパッチを適用するにあたり、RAIDEN構築当時から技術支援を提供しているアシストからの提案を受け、検証用環境として、本番環境のOracle Databaseと同等の機能をクラウドで提供するOracle Database Cloud、およびパッチ適用前後のSQL非互換や性能テストの正確性向上およびテスト自動化を行う「Oracle Real Application Testing」を採用。ステージング環境に本番環境のアプリケーションを全て再現し、テスト環境を構築するには多くの工数がかかるため、環境構築が簡単で、Oracle Real Application Testingのライセンスも含まれるOracle Database Cloudを採用するに至った。

導入により、本番適用前のテスト環境を迅速に構築し、約1万3,000件に及ぶSQLの非互換や性能テストにかかる工数を75パーセント削減、約40時間で完了したほか、本番環境のほぼ全てのSQLをテストでき、テストの網羅性も大幅に向上したという。

同社は今後、Oracle Database CloudとOracle Real Application Testingの組み合わせを、パッチ適用前テストの社内標準にしていく方針。また、網羅性の高いテストが簡単かつ迅速に実施できるようになったことから、パッチ適用を計画的・定期的に実施し、適用の頻度も上げることで、システムのさらなる安定稼働を目指すとしている。