パイオニアが「スーパルート探索」で実施した大移植 - RED HAT FORUM TOKYO 2017

[2017/11/24 08:00]齋藤公二 ブックマーク ブックマーク

クラウド

OpenShift採用の理由

OpenShfit採用の理由について、日本情報通信の菱木氏は「単なる実行環境としてだけではなく、開発から運用における運用サイクルごとのニーズにあった機能の実装や可搬性を考慮していく必要がありました」と話す。

コンテナ環境を構築する製品やサービスの候補としては、OpenShiftのほかにも、「Amazon EC2 Container Service」「IBM Containers」「Docker Cloud」「Docker」を検討した。ただ、運用ライフサイクルでの機能やサポートなどを含めて製品を提供していたのはOpenShiftしかなく、「唯一の商用プラットフォームとして完成された各種機能とサポート力があったこと」を評価したという。

「OpenShiftはDockerとKubernetesをコアとして、開発やビルド、デプロイ、管理などの機能をPaaSで提供しています。また、スケジューラやユーザー管理、API、Registryなども提供しています。これによりDockerやKubernetes単体ではできないことを克服することができました。また、サポートもRed Hat同様の日本語でのサービスを受けることも魅力でした」(菱木氏)

OpenShiftのサポート範囲

さらに、24時間365日のサービス提供と運用コストを抑える工夫がしやすいことも評価した。OpenShiftは、OpenShift SDNでコンテナのすべてのネットワークを仮想的に制御できる。これにより、どのノードに何個のコンテナが動いているかなどを管理することや、クラスタを使って無停止でバージョンアップすることなどが簡単にできるようになるという。

また、構成もIBM Cloudのベアメタルサーバを使って、Dockerのマスターノード3台とインフラノード複数台を繋いで並列分散するというシンプルな構成にすることができた。コスト面でもソケット課金を選択することで、他のクラウドベンダーよりライセンスコストを52%削減したという。

OpenShift SDNがネットワーク構成をシンプルにする

Bluemixも可用性向上に大きく貢献

C++を移植することの課題は、Dockerコンテナを使って環境構築することで環境依存性の問題をクリアした。

また、柔軟なリソース配分については、OpenShiftのポット定義により、コンテナ実行環境ごとの詳細なリソース割り当てが可能になった。このほかにも、OpenShiftのオートスケールで全自動でリソース配分を行ったり、ブルーグリーンデプロイメントを使って、無停止運用、定時リリースを行ったりなど、さまざな課題を解決した。

開発スケジュールとしては、2015年夏からサーバグループが、2016年1月からナビアプリグループがそれぞれ試作開発に取り組んでスタート。それぞれの要件定義が済んだ2016年9月にインフラチームがOpenShfitの利用を決断し、2ヵ月の開発期間と2ヵ月の検証・チューニング期間を経て、2017年1月にリリースした。

つまり、実際には、1年かからずに既存の車載機システムをクラウド上のコンテナ環境に移行したことになる。

運用後は好意的な意見が多数

谷川氏は、実開発で感じたコンテナのメリットとして、開発者の間には「Apacheの設定なども含め複雑なコードセットをコンテナに詰め込めること」「開発担当を機能単位ごと、コンテナごとに割り振れること」「運用チームに開発物を環境ごと渡せること」などの声があったことを紹介した。

「各機能=コンテナごとにテストを行うことで、機能の品質が保証されるため、安心して次の開発フェーズに移行できました。また、ソースコードと設計図(DockerfileやOpenShift用のYAML)さえあれば動くものをその場で作り出せるため、運用チームへの納品も非常に楽でした」(谷川氏)

運用についても「コマンド1つで環境構築が可能なこと」「環境差異を気にせず、工程を自動化できること」「ネットワーク運用などの際にメンテナンスなしで設定ができること」といった声が多かったという。

谷川氏はまとめとして「短期間、低コスト、高品質にスーパールート探索を導入できました。サービス導入後も、継続的に更新版のリリースを行っていますが、不具合もなく、安定して運用ができています。コンテナ/OpenShiftによるメリットは多く、開発と運用の境目がなくなり、DevOps推進にもつながっています。今後はコンテナの採用をほかの案件にも拡大していきます」と話し、講演を締めくくった。

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