クラウド時代のアプリケーション基盤はどう選ぶ? サービス選定「7つの切り口」

[2017/04/24 17:55]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

要件を絞り込め! 押さえるべきポイントとは?

飯島氏によれば、上述の6つのメリットを、次の7つの切り口に当てはめることで、選ぶべきサービスが見えてくるという。

  1. プロバイダー管理vs.ユーザー管理
  2. 開発言語/フレームワーク
  3. 高制御性vs.高生産性
  4. クラウド性
  5. アーキテクチャ要件
  6. 機能性
  7. 経済面の目標

「プロバイダー管理vs.ユーザー管理」とは、インフラ面での管理を自分でやるのか、やらないのかという管理の問題だ。aPaaSでは保守運用やシステム基盤の管理はプロバイダーが行うが、プライベートaPaaSでは自社IT部門で行うといった違いがある。

プロバイダー管理vs.ユーザー管理/出典:ガートナー(2017年3月)

「開発言語/フレームワーク」についても留意しなければならない。プロフェッショナルなデベロッパーを対象にするなら、3GL(第3世代プログラミング言語)をサポートしているクラウドを選ぶべきだが、簡単な業務はユーザーに任せるという場合は、4GL(第4世代プログラミング言語)で作れるコードジェネレーターなどを含むPaaSを選んだほうが生産性を向上できるだろう。

「PaaSを選ぶとき、『どの言語をサポートしているのか』とよく聞かれますが、その前にプロフェッショナルとユーザーのどちらが使うのかを明確にしなければなりません。最適なアプリケーションのために最適な言語を選ぶというよりは、今持っているアプリケーションのスキルセットによって、開発環境が絞り込まれるのです」(飯島氏)

必要なのは3GLか4GLか、あるいは両方なのか。さらにそれを誰が使うのか。スピード命で開発したいのか、複雑なアプリケーションを開発したいのか。そうしたことを明確にした上でaPaaSを選ぶべきだという。

3GLと4GLの関係性に似ているのが、高制御性と高生産性の対立要素だ。複雑な基幹系のシステムなどを作る場合、インフラ、特にミドルウェアの設定を自分たちで細かくチューニングしたいというケースがある。その場合、インフラの透明性(制御性)が必要になるが、そうなると生産性は落ちていく。飯島氏によると「透明性も生産性も高いサービスは存在しない」という。

高制御性vs.高生産性/出典:ガートナー(2017年3月)

「クラウド性」についても考える必要がある。これは、弾力性や高可用性、アクセシビリティ、モニタリング、リソース競合、サブテナントといったクラウドならではの特性だが、このうち自社に必要なものと不要なものをしっかり判断しなければならない。例えば、アクセシビリティは必要だが、弾力性はそれほど必要ではない場合も多いという。

また、「アーキテクチャ要件」を明らかにすることも重要だ。アーキテクチャが何なのかでアプリの稼働環境は変わる。その要素をベンダーがサポートしているのかを明確にする必要がある。「開発はできるが、実行は狭い範囲でしかできない」といったケースも見受けられるという。

さらに、「機能性」を明確にすることも、aPaaSを絞り込むためのポイントとなる。開発するアプリケーションの構成要素、例えばモバイルに特化したり、音声やボットを使ったりといった部分がきちんとサポートされているかどうか、チェックが必要だ。

「最近はマルチファンクションのPaaSが出てきています。複数の機能要件が必要になる場合は、その機能セットが1つのaPaaSに入っているかを確認し、入っていないなら複数のPaaSを選んで組み合わせを考えるべきです」(飯島氏)

こうしたポイントを押さえた上で「経済面での目標」を考える。前述したaPaaSのメリットを優先順位付けし、サービスを選ぶわけだが、結局どれくらいコストがかかり、どれくらいリターンがあるのかということだ。これらはaPaaSの選定前に確立し、ベンダーとの交渉に活用するのが望ましい。

飯島氏は最後に、本セッションの内容を以下のようにまとめた。

  • aPaaSを選択する際は、実現したいメリットを明確にする
  • 実現したいメリットを7つの切り口から吟味し、適切なaPaaSを選択する
  • アプリケーション特性に応じて、複数のaPaaSを選定する必要性を認識する
  • aPaaSの選定について、定期的(1年程度)に見直す

アプリケーションプラットフォームとしてのクラウドには、さまざまなメリットがある。一方で、飯島氏が言うように全てのニーズを100%満たせるサービスは存在しないのが現状だ。自社の要件をしっかりと絞り込むことで最適なaPaaSを選択したい。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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