Clouderaは11月8日、「Cloudera World Tokyo 2016」を東京都内にて開催した。有識者が次々と登壇した基調講演では、4人目の講演者としてインテル インダストリー事業本部 アジア地区 シニア金融アーキテクト、郡司茂樹氏が登場。同氏は「大変革の渦のなかで - デジタル化する金融業界と今後」と題し、Fintechなどに湧く金融業界を中心に、今起きている変化と企業が目指すべき姿について解説した。

近い将来「Uber」も勝者ではなくなる!?

講演の冒頭、郡司氏は「世界中のあらゆる業界で変革の渦が起きており、既存のビジネスに影響を与えている」と強調した。

破壊的な変革の代表例として挙げられるのが、UberやAirbnbのようなシェアエコノミーの台頭だ。こうした新しいビジネスモデルが、既存のビジネスを脅かしつつあるという不安も一部で広がっている。しかし郡司氏は、金融業界を例に変革の本質について次のように説明した。

「例えば今、金融の世界ではブロックチェーンの技術に注目が集まっています。ブロックチェーンが普及した世の中を想像してみると、タクシードライバーは、タクシーを必要としている人を直接見つけられるようになっているかもしれません。そうなると、Uberもまた勝者とは決して言えない状況となるでしょう」(郡司氏)

インテル インダストリー事業本部 アジア地区 シニア金融アーキテクト 郡司茂樹氏

つまり、誰が勝者になるのかわからないほどの大きな変化が次々と起きているというわけだ。

企業が急速な変化に対応するための「レシピ」

金融業界で注目すべきトレンドとしては、ブロックチェーンのような破壊的テクノロジーや、AIに代表される人工知能、ロボ・アドバイザーの普及などが挙げられる。このようにめまぐるしく変化する世界を前に、企業はどう対応すべきなのか──インテルが顧客に提示して対応する「レシピ」は、次の4つだ。

まず1つが「クラウド」であり、ビジネスの変化に対応できるスピードをオンデマンドなインフラにも持たせることで、機動力を高めつつ運用コストを削減する。

2つ目は「データ・ドリブン」で、信頼性の高いリアルタイムデータで最適化し、変革を促す。特に金融でニーズが高いのが、不正防止だ。データドリブンは、マネーロンダリングやクレジットカードの不正使用などを早期に発見して未然に事故を防ぐ上で効果を発揮する。また、顧客を深く理解するためのプラットフォームとしても有効である。

「今や、エンタープライズ・データハブを有し、(データを)さまざまなサービスに結び付けていかなければ、ビジネスに乗り遅れてしまう時代になっています」(郡司氏)

3つ目は「超スマート社会」であり、優れた新規サービスを提供することで売上向上が期待できる。超高齢社会が訪れようとしている日本では、必ずしもデジタルリテラシーが高くない層が増えることも予想される。そうなると、自動音声によるアシストのようなサービスのニーズが高まる可能性もあるだろう。

そして4つ目が「『つながる』ライフスタイル」によって顧客を獲得し、つなぎとめることである。例えば、保険会社が顧客の健康に関わるデータを収集することで、最適なプランを組むことができる。一方、顧客側もデータを提供することで割引や迅速な審査といったメリットを享受できるようになる、といった具合だ。