Microsoft サトヤ・ナデラCEOが日本に伝えたかったこと

[2016/05/27 08:00]徳原大 ブックマーク ブックマーク

当然、パーソナルアシスタントであれ、単なるメッセージBotであれ、そのバックエンドにはクラウドデータセンターが必要になる。企業においても、オンプレミスサーバーとの連携、CRMとの連携といった簡便ではないアーキテクチャ、システム構築が必要になる。そうした環境だからこそ、クラウドやモバイルも含めた統合ソリューションに大きな強みを持つ”マイクロソフトの出番”になるわけだ。

「(今のIT環境は)すべてのエクスペリエンスがモバイルに移り変わり、コンピューティングは『より良いユーザー体験を実現できるか』に変わっている。クラウドをコントロールしつつ、アプリケーションはさらに分散化された世界で、ユビキタスにインテリジェンスが提供されなくてはならない。IoT時代のエッジのデータ量が増大し、パワーを必要とする中で、AzureやAzureStackによるハイパースケールは大きな強みを持つ。また、柔軟性をもたせたオープン化を図り、OSSとの連携によってすべてのフレームワークを提供できるようになった。生産的なツールチェーンだけでなく、継続的な開発環境を提供していきたい」(ナデラ氏)

同社のクラウドプラットフォームは多様性を持って顧客をサポートする

ナデラ氏は、ソフトウェア・サービスの変革が進む現代において、IT企業のみならず、多くの業種・業態が「デジタルカンパニーに変化する」と指摘。その一つが、日本のトヨタだという。

「車がほかの車と通信し、都市インフラとも通信する大きな変化の時代に差し掛かっている。車は単なる機械産業的な製品ではなく、デジタル製品へと進化しようとしている。トヨタの展望、野心は、自動車産業自体を変えようとしている」(ナデラ氏)

トヨタや日本発ベンチャーである「USERDIVE」を同社のクラウド活用事例としてナデラ氏が紹介

IoT時代の到来や、先に触れたカンバセーション技術など、既存産業においても、さまざまなコラボレーションの可能性が存在する。こうした時代は「Webが90年代に飛躍したことを想起するのではないか」とナデラ氏もその可能性を大きく感じているようだ。

最後に触れた「Mixed Reality」もその技術のうちの1つであり、同社の「Hololens」はマイクロソフト復権の1つのテクノロジーとして注目されている。Google Glassなどで話題となったARや、ソニーのPlayStation VRやFacebook傘下のOculusで話題のVRの一歩先、両者のいいとこ取りを狙ったMixed Realityは、ナデラ氏が「アナログの世界とデジタル世界を初めて融合できる」と鼻息荒く語る技術だ。

「アナログとデジタルが融合すれば、ソフトウェア開発者に限界はなくなる。このプラットフォームにはとてもワクワクしている。すべての業界に関係する上、新しい世界を実現できる。多くの企業が開発しており、日本ではJALが取り組みを進めている」(ナデラ氏)

Mixed Realityの「Microsoft Hololens」

JALがHololensに対応したソフトウェアをMSと共同で開発した

AR技術についても会場でデモンストレーションが行われた

新しい時代に突き進むマイクロソフト

カンバセーションやMixed Realityといった「ちょっと先の未来」に焦点を合わせていたナデラ氏だが、決して既存製品を蔑ろにしていたわけではない。Office 365やAzure製品は依然としてモメンタムを持続しており、エンタープライズ企業における採用は枚挙に暇がない。(関連記事:Azureには、AWSとSalesforceにないものがある - 米Microsoft日本人VPが語るMSの”強み”)数年前のマイクロソフトが袋小路に入っていたような状況ではなく、新しい世界のビジョンを持ち、新領域への投資を厭わないという姿勢は、基調講演のナデラ氏以外の登壇者からも見て取れた。

AzureやOffice 365は依然として好調を維持

もちろん、そうした世界観が必ずしも正解に繋がるわけではない上、Windowsプラットフォームが、モバイル領域においてAndroidやiOSの後塵を拝している状況も変わらない。ただ、安定したエンタープライズ顧客との関係性と、同社自身が取り組むBotなどの新技術は、マイクロソフト自身のさらなる成長だけでなく、他産業への波及効果が大いに見込めるはず。

ナデラ氏が講演の中で「(IoT関連技術による)四度目の産業革命が起きようとしている中で、日本の経済環境、予測を大きく変えられる、活性化できるチャンスがある。そうした変革を手伝うのが私たちのミッション」と話したように、アナログの世界とデジタル世界の両面で世界トップクラスのポテンシャルを持つ日本企業こそ、こうしたビッグウェーブに乗ることが、今後の成長の鍵となるのではないだろうか。

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