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盛り上がるHR Tech市場、2019年には何が起きるか? - カオナビ 柳橋仁機氏

[2019/01/17 08:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

HR Techにも進むAI活用 - 2019年の動向は?

――今年以降のHR Techの動きとして、ほかに注目されているものはありますか?

柳橋氏:AIの導入は進むでしょうね。人材データプラットフォーム構想もその布石の1つでもあります。

――布石と言うと?

柳橋氏:AIを活用するために絶対に必要なのは、莫大な量のデータです。プロ棋士を負かしたAlphaGo(アルファ碁)が話題になりましたが、あれも過去の対局の膨大な打ち手データを分析して、より高度になっていったものです。逆に言えば、データがなければAIは何もできません。

では人事はどうかと言うと、今はまだ企業内にデータがない状態です。あるとすれば勤怠データくらいですが、それもフォーマットが整っていません。しかし、形式が整ったデータがなければ、AIは何もできないんです。実験的な試みは今年くらいから出てくると思いますが、例えばAIを本格的に活用した離職予想、といったことができるのはまだ先の話でしょう。人材データプラットフォーム構想は、こうした現状を打破し、AIを活用するための土台作りにもなるものなんです。

――すでにAI活用をうたった製品やサービスも出てきています。

柳橋氏:まだ、それほど大きなロジックはないと思います。ただ、採用シーンで膨大な書類選考をAIに任せる手法は機能していますね。それは”同じフォーマットのエントリーシート”というデータがあるからです。そういうデータの処理は、AIにぴったりですから。ディープラーニングの使い方としてわかりやすいですよね。

――AIの登場によって、人事の仕事はどう変わっていくのでしょうか。

柳橋氏:AIとはつまり、文句を言わない作業員なんです。人間が1万人の書類選考をやる場合、1週間徹夜すればできるとしても、やりたくないですよね。でも、AIは難なくできるんです。人間にできないことをやれるわけではありません。AIと言うと、ターミネーターとかマトリックスみたいなものを想像される方がいますが、あれはSF映画の功罪ですよね。実際は作業効率が上がっていくだけなんです。

AIによって効率化されても、人間の仕事は失われません。むしろ、人間がより人間的な仕事に集中できるようになるんです。昔あったアナログコンピューターでは、計算するときにいちいち配線を変えてスイッチを押す必要があり、そのための「配線士」という職業がありました。そこに電卓が登場したことで、配線士という職はなくなりましたが、その人たちは新しく生まれたデジタルコンピュータを操作する職へと移ったのです。人事業界もそうやって変化し、新しい仕事や付加価値が生まれるでしょう。

――御社ではAIをどのように製品に導入されていくのでしょう。

柳橋氏:コンディションチェックにAIを活用していくことはできるのではないか、と考えています。社員アンケートの回答をAIが分析して、状態を読み取るのです。ただし、アンケートの答え方には個人差があるので、ポジティブな回答をしていたのに突然退職してしまう人もいれば、ネガティブな回答をしているのに実際はそうでもないことってありますよね。そうした回答の個人差をAIが理解して分析し、離職予想などにつなげていきたいと考えています。

――いずれ本人すら気づいていない体調や心理状況がわかるようになりそうですね。

柳橋氏:AIはずっとABテストをしているようなもので、「この状態はまずい」と判断すればアラートを出しますし、でも実はそれが普通の状態だったなら「この状態は大丈夫」だと学びます。そうやってデータを蓄積することで、どんどん精度が高まっていく。これを永遠に続けられるのがAIの強みなのです。

――そのほか、カオナビとして考えていることがあれば教えてください。

柳橋氏:現在はお客さまが首都圏に集中しているので、今後は全国規模に広げていきたいですね。おかげさまで顧客企業は1000社を越えましたが、日本には100人以上の従業員がいる企業が5~6万社ほどあります。だとしたら、我々のシェアはまだ半分どころか数%なんです。もっともっと地方へ普及させていきたいですね。

――地方に広めるための施策は?

柳橋氏:マスマーケティングが大事ですね。インターネットだと首都圏にしか届かないんです。もちろん地方でもWebサイトは見られますし、露出もしているのですが、見た後ですぐに購買行動に転換しないのです。首都圏と違って地方では、インターネットで見ていいなと思っても、「一度実物を見てこようか」となりがちなんですね。だからこそ、マスマーケティングや営業所などが必要だと考えています。

* * *

2018年はHR Techが急速に普及し、多くのプレーヤーが参入した年だった。2019年はそうしたプレーヤーの淘汰が始まるというのが柳橋氏の見立てだ。機能面では、AIの本格活用に向けたデータ整備などの”仕込み”が進むだろう

2019年もHR Tech業界にとってにぎやかな1年になりそうだ。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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