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数億円調達! ルート最適化を1年でビジネスにした名大発ベンチャーの原点

[2018/06/04 08:00]星原康一 ブックマーク ブックマーク

日本郵便では1人50分間の効率化

――すでに導入実績はありますか?

宅配はもちろん、弁当や酒類の配送、設備メンテナンスなどのサービスを提供する企業で検証・導入を進めています。特に車両1台で10個所以上回るようなケースでは有効ですね。

最もわかりやすい事例は日本郵便さんですね。

日本郵便さんでは現在、自動車で配達する「ゆうパック」の配送ルート最適化に関して、埼玉県草加市と愛知県名古屋市の一部で実証実験を進めていただいています。草加郵便局での実証実験の際に計ったところ、新人配達員の方で1回あたり50分、ベテラン配達員の方で1回あたり6分の効率化を実現できました。

ゆうパック配達の現在の運用では、配達先住所を見ながら配送ルートを紙の地図に手で描き込んでいるそうです。この作業に新人配達員で44分程度、ベテラン配達員で14分程度かかります。これが6分にまで短縮できるのがまず大きな違いです。

また、移動時間に関しても、新人配達員の場合、車の停車位置などがわからず、周囲をウロウロするケースが多く、平均57分かかっていました。当社のシステムを利用すると最適ルートを算出できるため、45分にまで縮めることができました。

ただし、ベテラン配達員の場合は、隣合うマンションの中間に車両を停めて両方に配達するといった効率化ノウハウを持っており、最適化ルートに従うと、移動時間が2分伸びる(34分が36分に)という結果になりました。でも、このあたりはデータが増えて学習していけば吸収できるでしょう。

やはりベテランの経験を超えるのは難しいですが、不慣れな配達員をベテランに近づけることはできます。少なからず導入効果は見込めるでしょう。

――サービスの質を高めるには、さまざまな種類のデータが必要になりそうですが、現段階で提携している企業はありますか?

走行データを保有している企業、例えば損害保険の企業や、レンタカー、タクシー会社などと提携し、データを連携するべく、模索中です。

そうなってくるとルート最適化は不可欠でしょう。条件はますます複雑になりそうですが、当社の得意分野ですので、今後はよりお役立ていただけけるはずです。

7月にSaaSリリース、さらに海外展開で開発加速へ

――今後の予定などがあれば教えてください。

今年の7月には「Loogia」という名称のSaaSを公開予定です。配送先と配送条件を入力すると、最適なルートを地図上に表示します。

当初はタブレット端末やPCのWebブラウザでのみ利用可能ですが、将来的にはスマートフォンのWebブラウザや専用アプリにも対応していきます。また、APIも公開予定ですので、近いうちに、各社のサービスに組み込んでいただけるようになります。

価格体系は検討中ですが、ヘビーユーザー、ライトユーザーともに割高にならないかたちにしたいです。

7月リリース予定のLoogia(画面は開発中のため、ぼかしを入れている)

さらに2年以内には海外展開したいという考えもあります。海外と言っても、想定しているのは、欧米ではなく、東南アジアですね。

――なぜ東南アジアなんですか?

当社のサービスは、複雑な条件下でより大きな効果を発揮するので、米国のように区画整備された地域ではなく、小道や斜めの道が多くて、かつ人口が密集している地域の方が向いています。そう考えると、東南アジアが向いています。

それに新興国の方が、フィードバックを早くもらえそうですよね。プログラムの変更を終えたら、すぐに使って結果を教えてほしいというのがエンジニアの心情です。開発者のモチベーションも上がるのではないでしょうか。

開発-運用のサイクルを早く回せれば、サービスの質を早く向上できるかもしれません。その結果を日本に戻せば、利用企業もハッピーですよね。

今はまだ、最適化システムの基盤を作っただけで、当社の中ではまだ「Step 0」という位置づけです。実配送データの収集/解析を進めて、ベテラン配送員レベルのAIに育て上げた暁に、ようやく誇れるようなサービスになるだろうと考えています。

そのためにも早く海外展開したいですね。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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