数億円調達! ルート最適化を1年でビジネスにした名大発ベンチャーの原点

[2018/06/04 08:00]星原康一 ブックマーク ブックマーク

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配送ルート最適化のサービスを提供する、名古屋大学発のベンチャー企業「オプティマインド」が物流業界で注目を集めている。

同社は、日本郵便とサムライインキュベート共催のオープンイノベーションプログラム「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM」において105社の中から最優秀賞を獲得した企業。配送ルート最適化の精度で世界トップクラスを誇るほか、配送の際に生じる各種の制約に対してもベテラン作業員のように対処できる柔軟性を備えている。

オプティマインド 代表取締役の松下 健氏。名古屋大学大学院 博士課程に在籍中

配送ルート最適化に本格的に取り組みはじめてまだ1年足らず。にもかかわらず、すでに日本郵便ら、さまざまな企業で使われるまでに実用性を高めている。

ミニクラを運営する寺田倉庫らからの数億円の出資も決まっており、7月には「Loogia」という名称のSaaSの提供も予定している。

急速な成長の裏には、開発メンバーの高い技術力だけでなく、現場のニーズを的確に取り込む適応力がある。代表取締役を務める松下 健氏らが、実際に物流企業各社を回り、現場で必要とされる機能を模索。与えられた条件の背景を読み解くような柔軟性が大きな売りだ。

今回は、その松下 健氏に配送ルート最適化に挑んだ経緯や、短期間で経験した苦難の歴史を伺った。以下、博士課程の学生とは思えないビジョンと行動力に注目して、ご覧いただきたい。

物流業界にフォーカスしたわけ

――現在の立場を教えてください

名古屋大学大学院の博士課程後期2年として在籍しつつ、株式会社 オプティマインドの代表取締役社長を務めています。

オプティマインドは、正社員5人、技術顧問の柳浦 睦憲 教授、その他パート・アルバイトを含め、約10人程度で運営しております。7月からは中途採用で2人追加予定ですが、引き続き人手不足なので、新たに協力してくれる方も探しています。

――学生で起業していますが、何人で始めたのでしょうか?

3年前に中国籍の先輩と2人で起業しました。

ですが、1年後に、学生向けのビジネスコンテストの表彰式で隣の席になった現 弊社 取締役副社長 兼 COOの斉東 志一らがいて、話をしているうちに仲良くなり、彼らと合流してすぐに4人になりました。

その後、2人が抜け、私と斉東で今のオプティマインドの基盤を作っていきました。

――なぜ、配送ルート最適化に取り組み始めたのでしょうか?

私が所属する柳浦教授の研究室は『組合せ最適化問題』という分野に取り組んでいます。なかでも得意とするのが配送ルートの最適化ですので、最大の理由はそれですね。

ただし、創業1年目は、物流業界に限らず、さまざまな企業へ最適化技術を売り込みました。その中で一番ウケが悪かったのが物流業界でしたね。

物流企業を回ってわかったのは、人間味溢れる業界だということです。社長さんの後ろに迫力ある毛筆書画が飾ってある企業も多かったりして(笑)。

それだけに、ITを取り込める余地は大きいという感覚がありました。全業務をIT化するのは無理でしょうけど、現場を見る力さえあれば導入してもらえるのではないかと考えました。

また、業界を俯瞰して見ると、機械学習や統計をはじめとする先進ITを知り、かつ最適化を研究していて、物流の現場のことを徹底的に深く知りたいと熱望する人間は、きっと日本に10人もいないだろうと思いました。

そのことに気づいたら、物流業界を変えなきゃいけないという使命感が勝手に生まれてきて、「物流に、革命を。」という社是を掲げるまでになりました(笑)。

研究と実社会の乖離に直面

――そもそも最適化の研究室を選んだのはなぜでしょう?

私は名古屋大学の情報学研究科に所属しているのですが、大学1年生のときに催された教授達による研究室紹介で、柳浦教授の研究紹介に感銘を受けたのがきっかけですね。

一人だけジーパン、Tシャツ姿で登場してきて、「自分たちがやっている最適化の研究は、企業と共同研究などを進めていて、実際に導入されて世の中のためになっている」と説明してくださったんです。

高校時代に数III Cなどをよくわからないまま勉強してきた私にとって、「世の中のためになる」という言葉が衝撃的で、そのときから柳浦先生の研究室に入ることを決めました。

――3年越しの強い想いを抱えて、第一希望の研究室に配属されたのですね。

そうですね。ただし、研究室に入ると正直ショックを受けました。研究と実社会の間のギャップがものすごく大きかったんです。

というのも、修士課程の先輩達が各自の研究内容を発表する際、「この研究はこういうシーンで役に立ちます」と事例を挙げながら始めるのですが、その前提条件が実社会にそのまま適用できるものではなかったんです。明らかにおかしいまま研究に取り組んでいて(笑)。

私は、世の中のためになる応用がしたかっただけに、少し残念な気持ちになりました。せっかくの先進技術がまだまだ世の中の役に立っていないじゃないかって。

そこで気づいたのは、私が興味を持っているのは、いわゆる「研究」ではなく、「実社会」だということです。

社会で働く方々からはたびたび、「大学の研究は学術的で、実社会の役には立たない」という言葉をいただきますが、実際に大学の研究は現実との乖離がものすごく大きいんですよね。この乖離を埋めなきゃいけないという気持ちが、今のオプティマインドの活動につながっています。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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