ECサイトや企業サイトなどで採用が増えてきたチャットツール。まだまだ日本市場に馴染むに至っていない印象が強いが、先進企業の導入効果は果たしてどの程度なのか。

パイプドビッツ主催のユーザー/パートナー向けカンファレンス「スパイラル ビジネスコネクターズフォーラム(SBCF) 2017 +Plus ~情報に自由を~」において、チャットプラスのCEO、西田 省人氏が『AI×チャットボット×MA 成功の法則と連携の可能性』と題する講演の中で、問合せチャットツールの導入効果を詳細に語ったのでご紹介しよう。

チャットプラス CEOの西田 省人氏

伸長が期待されるチャットツール市場

チャットプラスは純国産のチャットツール「チャットプラス」を展開するベンチャー企業だ。

CEOの西田氏は日本IBMでDBアドミニストレーターや金融機関向け営業職を担当後、2016年8月に同社を設立。2017年にサービスを正式リリースすると瞬く間にユーザーを増やした。

チャットプラスは、コンタクトセンターなどでチャットで顧客対応を行うためのツールだ。チャットによる問い合わせ対応は、電話やメール、FAXなどに変わる新しいチャネルとして採用するケースを目にするようになった。企業のWebサイトを閲覧しているときに「お困りごとはありますか」などとポップアップで声掛けしてくれるのがチャットツールだ。

「アメリカではすでに上場企業の半数以上が、大手サイトの80%以上が、チャットツールを導入しています。導入効果は大きく3つあります。問い合わせが増える、満足度が上がる、コストが下がる、の3つです。調査によると、日本での導入率はまだ0.4%にとどまっていますが、これから急速に導入が進むとみられています」

米国では大手サイトの80%がチャットを導入済み

なぜチャットの導入が進むのか。西田氏は、満足度、問い合わせ数、コストという3つの視点から、その理由を解説していった。

ユーザーにとってはお金も時間もかからない

まず、コンタクトセンターの満足度については、さまざま調査結果を見ると現在約60%という状況だ。

一方、チャットプラスの利用者へのアンケートでは顧客満足度は91%に達する。実際、それまでコンタクトセンターに不満を抱いていたケースでも、チャットプラス導入後に満足度が大幅に上ったケースがほとんどだという。

「チャットは電話よりも、時間・場所にしばられないという特徴があります。電話では1対1での対応が求められるため、待たされたり、拘束されたりします。通話している間は電話料金もかかります。

これに対しチャットは、1対Nでの対応ができるので、対応もスムーズで待たされませんし、インターネット常時接続環境ならユーザーがお金をとられることもありません。メールと比べても、話をしているように気軽に対応できるのがメリットです」

ユーザー1人に複数人で対応できるチャットは、ユーザーが待たされないなどの特徴がある

30秒離脱前にキャッチアップせよ

2つめの問い合わせ数については、Webからの離脱を防ぐことができることが大きく関係している。

一般にWebサービスはページ遷移後、30秒で90%が離脱すると言われる。FAQなどのサポートを見ても、細かい文字をよく読む前に離脱している可能性が高い。

一方、チャットは困ってFAQをあれこれ探していると、およそ15秒で話しかけてくる。これにより、離脱を防ぐ効果が期待できる。

Webアクセスの90%が30秒で離脱。その前にキャッチアップする

「チャットでは『ログインできません』『忘れました』など、短文で質問に応えることができます。かしこまった挨拶も不要で気軽に話せるので、問い合わせしやすくなります。

また、FAQなどのよくある質問をチャットの中にボタン化して表示しておくという工夫もあります。ボタンをクリックするだけで回答が得られるので、問い合わせしやすくなります」