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目指すは「真のERP」- 人事システムを核に打ち出すWorkdayの戦略とは?

[2017/11/01 11:00]伊藤正子 ブックマーク ブックマーク

“ムーンショット”の達成に向けたデータ活用の推進

従来型のデータ活用では、人事システムや会計システムから抽出したデータをDWHに移し、分析システムで分析する……というのが一般的な流れだった。だが、ビジネスの展開スピードが早くなり、AIが分析を担い始めている今、AIの処理能力を最大限に生かすには、データにアクセスするまでの時間をいかに短くするかが鍵となる。

「次の時代を考えたときに、計画・実行・分析の仕組みがバラバラに存在しているようでは、AIの活用が進みません。これらを単一のプラットフォーム上で実現している点が、Workdayの最大の強みでもあります」(宇田川氏)

Workdayの新たな分析ソリューションとして今回、Workday Risingで発表されたのが「Workdayプリズムアナリティクス」だ。これまでも、Workdayのプラットフォーム上でWorkday HCMやWorkdayファイナンシャルマネジメントなどのデータを統合・分析することは可能だったが、それに加えてプリズムアナリティクスでは、外部システムのデータを取り込み、連結・分析することができるようになった。

これにより、例えば社外で提供されている調査・統計データを取り込んでベンチマークとして使ったり、小売業ならばPOSシステムと連携して販売員の売上と人事考課との関係を分析したりといったことが可能となる。外部データとの連携にあたっては、データを分析するアナリスト自身がデータの統合やクレンジングなどを行えるデータ準備ツールが用意される。

宇田川氏は「プリズムアナリティクスの最大の特長は、強力なデータガバナンス機能を備えることです」と力を込める。人事や財務にかかわる機密データをビジネスに積極的に活用していく上では、「誰にどのデータの閲覧権限を与えるか」というポリシー管理が必須となる。そして、ポリシーのよりどころとなる各人の役職や責任範囲は、全て人事システム、すなわちWorkday HCMに記録されているわけだ。

「(HCMが持つデータの)セキュリティモデルをそのまま使えるため、データの共有範囲を間違えるということが起こり得ません。これが、Workdayが人事システムを中心に据えて開発を進めていることのメリットであり、完全なデータガバナンスを保証できます」(宇田川氏)

同氏によれば、来春リリースされるバージョン30では、プリズムアナリティクスで特に重要な指標となるデータを自動的に発見してくれるデータディスカバリー機能も提供される予定だという。

もう1つ、Risingで発表されたのが「Workdayベンチマーキング」だ。これは、自社のパフォーマンスを同業他社のデータと比較して相対的に把握できるというもの。Workdayの顧客企業がベンチマークへの参加を表明し、どのカテゴリーに寄与するか選択すると、その企業の該当データはプライバシーが担保された状態で集計の上、ベンチマークのデータセットに統合される。自社のデータを提供する代わりに、同様にして集められたベンチマークデータを利用できる仕組みだ。別途料金がかかることはない。

ベンチマーキングは、オプトイン(参加を表明)することで利用開始となる

ベンチマークのカテゴリーは「人材」「企業」「Workday活用」の3つに大別される

「Workdayベンチマーキングは、データをサービスとして提供するDaaS(Data as a Service)の第1弾という位置づけです。既にサービスは開始しており、約100社がオプトインしています。今後は、各国政府が発表する統計情報や天候の情報など、ビジネスに活用できるさまざまなリファレンスも提供していく予定です」(宇田川氏)

匿名化されるとは言え、データを提供することにためらいを覚える企業もあるだろう。宇田川氏は、「確かにそうした企業もあるでしょうが、Workdayベンチマーキングはそもそも、ユーザーコミュニティからの要望を受けてサービス化されたものです」とユーザーの声から生まれたサービスであることを強調。今後、ベンチマーク活用のベストプラクティスが蓄積されていけば、将来的に新たなサービスが生まれる可能性もあると見解を示した。

説明会では、このほかにも、来年中にはWorkdayファイナンシャルの日本語化が完了する見込みであることや、PaaSとして「Workday Cloud Platform」を提供していく計画が紹介された。

宇田川氏によれば、同社の共同創設者兼CEO アニール・ブースリ氏は常々「目指すのはムーンショット」だと語るという。ムーンショットとは、月面着陸を目指したアポロ計画のように「実現は困難だが、世の中を変えるような革新的なプロジェクト」の代名詞としてシリコンバレーで使われている言葉だ。

ムーンショットになぞらえたWorkdayの歩み。Workday Rising 2017の基調講演でブースリ氏が紹介したスライドだという

「人事システムに始まり、ファイナンシャル、プランニングと打ち出してきた道のりこそ、Workdayが示す真の意味でのERPを実現するためのムーンショットであり、プリズムアナリティクスとDaaSの提供によって、それがいよいよ最終段階に到達した感があります」(宇田川氏)

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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