日本の製造業が世界で戦うために - 産官学対談から見えてきた強み、そして課題

[2017/03/13 18:40]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

IoT時代、日本の製造業が差別化できるポイントとは?

では、こうした状況を踏まえて、日本企業が世界で戦うにはどうしていくべきなのか。

「日本は技術を蓄積するために自前でやってしまおうという考え方が根付いており、そのためにスピードが遅くなってしまうこともある」と語るのは平林氏だ。

「欧米のシステムは『無人化して効率化しましょう』という考え方ですが、日本はそうではなく現場の改善力が特徴です。機械が勝手に学習するのではなく、まず現場の人に必要な情報を提供し、作業者の動きや知恵を機械に教えていく。このあたりが日本の製造業のIoTとして差別化になるんじゃないかと思います」(平林氏)

もう1つの課題は、現場と設計の連携だ。白石氏によると、米国は人工衛星の自動製造工場を西海岸に建造しようとしていて、従来なら1年ほどかかっていた人工衛星が3日で製造できるようになる可能性があるという。これは、設計から製造までを一気通貫で考えるからだ。

「ドイツに行ってインダストリー4.0の話をすると、製造の話だけをする人は1人もいません。全員が必ず設計の話もします。これはすごく脅威となることで、米国はミサイルの組み立てでも同じ考え方でやっています。このままいくと、人工衛星の分野で日本は圧倒的な差をつけられてしまいます」(白坂氏)

八子氏が、「こうした技術は防衛や宇宙開発から始まり、いずれは民間の一般製造業にまで下りてきます。そうなったとき、日本はさらに差をつけられてしまうのではないでしょうか。『官』として、そういった危機感はあるのでしょうか」と問うと、西垣氏は「製造業で最も大事なのはPLM(Product Lifecycle Management)だと思っているのですが、それが通じていないと感じています」とコメント。

ウフル 上級執行役員 IoTイノベーションセンター所長 八子知礼氏

「(日本企業は)生産ラインには目が行くのですが、その生産工程を作るまでにどれだけ設計に時間をかけたかには目を向けていません。設計から生産までのPLMにIoTツールを入れることでリードタイムが短くなり、市場に製品を出すまでの生産性や競争力に直結するという議論がなかったのです」(西垣氏)

これらは、日本の製造業に強い現場力があるからこそ遅れてしまった部分なのかもしれない。実際、本セッションで登壇者は何度も「日本の製造業は強い」ということを強調していた。

現時点ではそれがマイナスの側面を見せている部分はあるものの、長年かけて培われてきた日本の「現場力」は、IoT時代においても必ず他国と差別化できるポイントになるだろう。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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