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もはや会計だけではない - freeeが目指す「クラウドERP」の世界

[2016/06/01 15:00]徳原大 ブックマーク ブックマーク

3つのメリットは

  • マルチデバイス対応
  • 個別パッケージソフトからERPへの乗り換えによってデータ移行作業がなくなる
  • freee活用事業者同士の場合、請求書手入力を排除可能

となる。

マルチデバイス対応はクラウドサービスならではの強みであり、ERPによるメリットも、パッケージソフトの時代とは異なり、データ運用を自社のオンプレミス環境で必ずしも回す必要がなくなったという要素が大きい。

一方で、freee利用企業同士の請求書手入力の作業簡略化は、同社ならではの取り組みといった重要な要素だ。すでに60万事業者が同社サービスを利用しており、SOHO/SMB領域におけるクラウド会計シェアでは44%(2015年12月 デジタルインファクト調査)と圧倒的なシェアを持つ。

もちろん、パッケージソフト利用者層もまだまだ多いため、この結果をもってfreeeが大多数の小規模事業者に知られているというわけではないが、同社の青写真としては「freeeが主となって、各種会計データの標準APIを公開し、さまざまなサービスで連携できる」といったものがあることだろう。クラウドERPへの進出は、該当領域においても主だったプレイヤーがおらず、クラウドで安価に、そして使いやすいソリューションを提供することで、ブルーオーシャンを切り拓こうという姿勢が見て取れる。

ただ、こうした新分野のソリューションはユーザーが使い勝手を理解しづらい側面がある。特に中堅規模となれば、大規模企業と同様にシステム部門が存在し、場合によってはユーザーサポートも必要とすることだろう。そこでfreeeは、電話サポート体制をビジネスプラン向けに初めて用意し、Webサポートを含めた包括的なユーザーの支援体制を構築するようだ。

これだけの環境を構築しつつ、同社は50名規模の企業で年間費用を40万円程度に設定し、既存の中堅企業向けパッケージ製品にかかるコストの1/4まで抑えた。坂本氏は「アルバイトを雇うより安く、業務効率化とコスト低廉化を達成できる」と話すが、多くの中堅企業のニーズがこのクラウドERPで満たせるようであれば、業務効率化以上の可能性が生まれる。

価格は3,980円(税別)の固定費+1ユーザーあたり300円(税込)となる。50名利用の年間費用はおよそ40万円程度

それは、「ビッグデータの活用」だ。同社はすでに、金融機関との取り組みで金融機関専用アカウントの提供を開始している。このアカウントでは、freeeを利用する事業者が希望すれば、特定金融機関と会計情報のデータ共有が行える。つまり、財務データを金融機関が簡単に閲覧できることで融資スキームが素早く進むだけでなく、A銀行で審査が下りない場合、B銀行へ照会するといったケースも想定している。

freeeの金融機関との取り組み

こうしたデータの蓄積を銀行が単純に閲覧するだけでなく、「資金繰りシミュレーター」や「財務状態のビジュアライゼーション」といった機能にも活かす。これらは、さまざまな企業のデータを蓄積しているfreeeが、自社に近い事業成績の推移を提示してくれるといった機能で、「資金が○年○月に○○円必要になる」などのシミュレーションを行ってくれる。また、財務指標においてもfreeeが独自に設定し、企業が無理なく経営できるよう、クラウドサービスとして全面的にバックアップする姿勢を見せている。

「多くの事業者が利用しているから、さまざまなデータが蓄積している。経営を楽にし、意思決定のサポートをfreeeとして行っていきたい」(坂本氏)

こうした夢が多く語られたfreeeの説明会だったが、もちろんこれらのサービス提供はこれから。まずはクラウドERPという分野の定着が鍵だが、ブルーオーシャンといえば聞こえは良いものの、直接的な競合が少ない環境では、認知が広がらない可能性もある。freee 代表取締役社長の佐々木 大輔氏が「CRM連携ソリューションの運用サポートを行っている代理店などと組み、ビジネスプランの拡販を進めたい」と話すように、パートナー戦略などの多角的な環境作りが必要となるだろう。

ビッグデータの活用は一つの目標

IPOを目指す企業や上場企業も含めた顧客の獲得を目指すという

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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