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ツルハグループが展開する"顧客第一主義"のリテールDX

[2021/09/02 09:00]小池 晃臣 ブックマーク ブックマーク

7月14日に開催されたセミナー「TECH+ EXPO 2021 Summer for データ活用 イノベーションを創る」の特別講演に、ツルハホールディングス 経営戦略本部長 兼 情報システム本部長の小橋 義浩氏が登壇。「ツルハグループが考えるリテールDX」と題して、営業系の数字を伸ばすためにはDX(デジタル・トランスフォーメーション)をどのように活用していく必要があるのかといった側面にスポットを当てた講演が行われた。

ツルハホールディングス 経営戦略本部長 兼 情報システム本部長 小橋 義浩氏

“イケイケドンドン”の時代からIT活用の時代へ

ツルハホールディングスは、ツルハドラッグ、くすりの福太郎、B&Dなど、さまざまなブランドのドラッグストアを全国40の都道府県に展開しており、現在グループ2415店舗、タイにも22店舗を構える(2021年6月15日現在)。

そんな同社においてなぜDXが必要になったのかについて、小橋氏は次のように話す。

「正直なところ、10年ほど前まではDXがどうこうといった感覚はなかった。地域の方々にお求めやすい価格でチラシを配れば喜んでもらえるので、出せば売れるという”イケイケドンドン”の時代が続いたからだ。それが当グループに限らず、ドラッグストア業界の20年前から10年ほど前までの一般的な状況だったのではないか。そうした時代には、人力が中心であり、ITで先進的なことをやるよりも、とにかく気合と根性がモノをいうという世界だった。とにかく人による接客が中心であり、『ITは利益を生まない』というイメージが強く、どちらかというと経費削減の側面で語られることが多かったのだ。しかしながら、現在ではあちこちにドラッグストアが出店しており、しかも商品も価格もほとんど同じという時代になった。このままでは差別化ができないし、高齢化が進み若い人は新聞を取らないためチラシも届かない、DMを出しても半分ぐらいは戻ってくる状況になっている。

そこで何か手を打たなければと考えていたとき、アマゾンのように莫大な投資のもとITを活用して人々の困りごとを解決するような企業が一気に現れて、たちまち我々を凌駕するようになったのだ。このまま何もしなければ生き残れないのではという危機感が募っていき、ITの力をどのように使って業績を上げていけばいいのか、真剣に考えるようになったのである」

壁となった「過去の成功体験」とは

一般的にレジの会計時には、高齢者の後ろに並ぶと待つ時間が長くなりがちだと耳にする。しかし小橋氏は、そんな”常識”を覆す、ある衝撃的な光景を目にする。高齢者の顧客が、レジでスマートウォッチを用いて一瞬で決済を終えてしまったのである。

「社内で”DXだ”といっても、主要顧客である高齢者の方々はついていけないのではないかと言われがちだったが、そんなのはもはやステレオタイプだったのだ。高齢者だろうと若者だろうと、進んでいる人は進んでいる、それを目の当たりにした体験だった」

このような経緯から、小橋氏は2年ほど前、当時の社長にDXを推進すべきであると進言をおこなった。ただしその際は、なるべく専門用語を控え、相手の得意な事柄にたとえて、DXの必要性や効果についてイメージしてもらいやすくしたという。

「我々IT部門の悪いところは、つい専門用語を使いがちなところだろう。DXは経営者の理解がないと進まないので、まず相手に理解してもらえるように伝えることが何よりも大事ではないかと考える」

こうして経営者の理解を得て、いざ全社的にDXに取り組もうとなった時に、最も苦労したのが会社における”過去の成功体験との戦い”だったという。そこで小橋氏は、IT部門が正しいとは限らないのに、”皆はわかっていない”といったスタンスをとるのはよくないと考え、”こういうアプローチもあるのでは”と提案するスタンスを大事にするようにした。

「DXは部門横断的にやらないと成功しないが、それぞれ部門ごとに考えるDXがある。そうした部分最適をいかに全体最適へ調和させていくかといったバランス感覚が大事だった。2019年初頭にDXをやろうと声を上げてから、全体が動き出したのは2年後、それぐらい社内理解を得るには時間がかかった」

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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