ガートナー ジャパンは6月10日~12日、「ガートナー データ & アナリティクス サミット 2019」を開催した。その最終日には、メルカリ Data Analyst 石田祥英氏が登壇。事実(ファクト)に基づいた意思決定を重視する同社において、どのようにデータ分析を実践しているかについて語った。

目的志向のデータ分析が”メルカリ流”

石田氏によれば、メルカリにおけるデータ分析はプロダクト改善を飛躍的に強化するためのものである。社内に貯まっているデータを前に「このデータを何かに活用できないか」と出口を探して分析を行おうとする企業は多い。だがメルカリでは違う。データではなく目的が最初にあり、データを使って解を探すのが”メルカリ流”だ。

メルカリ Data Analyst 石田祥英氏

メルカリでは「成長のためにリソースをどこに割り当てるべきか」「どんな機能を追加開発するべきか」「どんなセグメントにクーポンを配信するべきか」など、戦略的な意思決定から現場の意思決定に至るまで、全て目的を達成するためにデータを使うことを重視する。アナリストチームがプロダクトの改善を提案するときは、「問題の構造を理解する」「チームレベルの解決策=戦略を導く」「解決する問題を見極める」「解決策の筋の良さを見極める」の順に進めていくという。

石田氏は具体的な進め方について、実際の事例を基に紹介していった。取り上げたのは、購入継続率の向上のため、出品時の画面で購入から発送までの日数に「1~2日」を選ぶことを促す施策を決めるまでのプロセスである。

「出品時の画面で購入から発送までの日数に『1~2日』を選ぶことを促す施策」の事例

メルカリユーザーは、出品時に、購入から発送までの目安の日数を「1~2日で発送」「2~3日で発送」「4~7日で発送」の3つの中から1つ選んで設定できる。このうち「1~2日で発送」を選ぶと、他の選択肢を選んだ場合と比べ平均で40時間早く売れることがデータ分析から判明した。

結論から言えば、メルカリは「1~2日で発送」を設定して出品するユーザーを増やすための施策を実施したのだが、その施策を決定するまでには周到な検証が重ねられたという。