トップデータサイエンティスト2人が語る! 日本のAI/機械学習の将来展望

[2018/12/04 08:00]冨永裕子 ブックマーク ブックマーク

データ分析

「AIの民主化」に必要なコト

シバタ氏:AIの民主化を実現するためには何が必要になりますか。

渋谷氏:分析をやってみることです。やってみると次の課題が見えてきます。どの企業も感じていると思いますが、モデリングの前の課題設定や前処理が大きなボトルネックです。ここはツールでは解決できません。もっと言うと、クレンジングしたきれいなデータがあった場合、次に問題になるのが「本当にこの分析で正しいのかどうか」です。

ユーザーはどんな理屈で答えを出したかがブラックボックスになることを不安に感じます。AIの民主化が進むに連れて、”分析を監査する人”が必要になるでしょう。ある会社では「分析コーディネーター」と呼んでいました。ビジネス課題を解決する際の手法が適切か否かを助言できる人がいないと、ツールを入れても使われなくなることが心配です。

シバタ氏:一口に自動化と言っても、解釈は自動化できないということですね。

DataRobot Japan チーフデータサイエンティスト シバタアキラ氏

河本氏:事業会社では、AIは業務課題を解決するための道具に過ぎません。人間のように機械は融通がきかない。課題を解決しようとすると、何が原因で何が結果かを整理できないとその道具を使うことができないのです。

AIを使った問題解決では、アルゴリズムを使える人間よりも、AIを使って問題を設定できる人間が必要になります。そんな人材が増えてきたときが、AIがExcelのような存在になるときであり、初めて民主化が実現するときです。

シバタ氏:どうやって組織を作り、人材を育てればいいのですか。

河本氏:方法論の教育よりも、現場に使わせることのほうがもっと難しいのです。苦労して現場を変えて成果を出したという達成感を得るまでのプロセスが人を成長させます。AIという道具を使って、社会貢献するための能力を身に付けてほしいし、米国の大学ではそんな教育を徹底していると聞いています。私がまねをするわけではないですが、大事なことだと思いますね。

シバタ氏:分析ニーズの大きい事業会社は、どうすれば民主化を実現する組織ができるのでしょうか。

河本氏:やり方は百社百様になるでしょう。ただ、うまくいっているところといないところを比べると、「あの人が言うなら仕方ない」と思わせるような人が必ず1人はいます。その人が「変えよう」と言い出すと組織が動き出すのです。

その意味ではデータサイエンティストを増やしても、ビジネスモデル変革やイノベーションには至らない。分析コーディネーターよりも、経営に近い人が「やろう」と言うと組織が動くと思います。

渋谷氏:最初は現場が動かないといけないと思います。河本さんの言う3つの力のうち、「課題を解く力」だけが弱い現場であれば、比較的容易に達成できるでしょう。最終的には経営が動かざるを得ませんが、現場がある程度民主化しないと組織は動かないと実感しています。

現場だけでなく、経営者にも求められる意識改革

シバタ氏:最後に日本を強くしていくために、データサイエンティストとしてやりたいことを聞かせてください。

渋谷氏:ガートナーが提唱する市民データサイエンティストを増やしたいですね。Excelを使うのと同じように分析ができる人を増やしたいと思います。自分自身は楽しく分析をやっていますが、仲間を増やしていきたいです。

河本氏:日本の強みは現場力です。(自著のなかで)「課題を見つけること、解くこと、現場に使わせることの3ステップができる人が日本のデータサイエンティスト」と言ったら、ある米国人に「解く力だけでいいのではないか?」という意見をもらいました。

でも、日本人の強みは現場力で、自分の仕事はここだけと区切らないところ。そして、データサイエンスは一気通貫でやることに突破口があると思います。それができる仕組みをDataRobotは用意してくれています。

心配なのは現場よりもむしろ経営層ですね。現場でできることは目先の業務改革に過ぎませんが、(IoT×AIの活用を進めている)コマツのように大きな変革を実現する判断ができるのは経営者自身になります。これからは経営者教育にも携わっていきたいと思います。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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