テクノロジーで進化する楽天、最大の武器は「データ」にあり

[2018/07/31 06:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

膨大なデータを武器に進化を続ける楽天のエコシステム

言うまでもなく、楽天グループは多種多様な領域に進出しており、約1億1000万人の会員データを抱えている。楽天技術研究所の強みは、この膨大なデータにアクセスできることだ。

データの重要性を見据えたサービスも展開している。

国内ではまだ知られていないが、楽天は「Viki」というビデオストリーミングサービスを世界160カ国で展開されており、特に中南米でブームになっているという。

Vikiにはユーザーが映像に字幕をつけることができ、実際に200以上の言語で字幕が投稿されている。ユーザー参加型で利便性を高めていく意味もあるが、それにより精度の高い翻訳データが集まるということも見逃せない。

こうした試みの集大成として、楽天が5月に開始したのが広告配信における新ビジネス「Alris」だ。

Alrisでは膨大なデータを他の技術と組み合わせ、クライアント企業のニーズに合った潜在顧客を高い精度で発見することができるというもの。データを集めてサービスの質を高め、再びそこからデータを取得してフィードバックする……それが楽天のエコシステムである。

アカデミアとの連携も進んでいる。森氏は「ユーザーが多様化しており、企業内でやれることには限界がある」と主張。より深く専門性のあるラボや大学との連携が必須であると述べる。

同時にアカデミア側にもメリットがある。楽天グループが有するさまざまなデータを無償で研究に役立てることができるのだ。

また、楽天モールのショップの協力を得て、実験的な取り組みにも挑戦しているという。

たとえばリモートでの接客の可能性だ。実際の店舗の接客をデジタルサイネージに置き換え、別の場所にいるスタッフがリモートで接客をする。将来、当たり前になるかもしれない新たなスタイルをすでに実践しているのだ。

森氏はすでに次の展開も視野に入れている。主戦場となるのは広告業界だ。

森氏は広告コンテンツが炎上しがちな現状に言及し、その理由について「想定外のところに広告が届いてしまっているのが原因の一つ」と分析。そのうえで、「今広告をやるなら企業価値を変えていかないといけない。そのためには最新技術の活用とは無縁でいられない」と提言する。

今後、世の中はリアルとネットの融合がさらに進み、境界は曖昧になって組み合わさっていくと森氏は見ている。

その世界で企業が新たな価値を提示し続けるには、「常に進化し続けることが大事」であり、その変化を仕掛けるのが楽天技術研究所なのだ。

この他にも講演ではビームスジャパンと取り組む新ビジネスや、無人船航行システムの開発など楽天の取り組みが数多く語られた。

AmazonがすでにECだけの企業ではなくなっているように、楽天も今や最先端のIT技術を有するグローバル企業として歩みを進めている。その事実を改めて再確認できた講演であった。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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