2月19日~20日に行われた「ガートナー カスタマー・エクスペリエンス サミット 2018」において、ガートナー リサーチ リサーチ ディレクター タッド・トラヴィス氏は、「営業支援システムの第3の波と、アルゴリズムが導くB2B営業テクノロジの未来」と題した講演を行った。本稿では、ここで言う「アルゴリズム」が、顧客や見込み客とのやり取りのなかでどんなインパクトをもたらすかを、講演内容に基づき解説する。

営業テクノロジーに押し寄せる「第3の波」

B2B企業の営業プロセスを支援するシステムは、第1の「クライアントサーバ型のシステム」、第2の「Web 2.0とAPIベースのシステム」の時代を経て、今は第3の波である「予測的アナリティクスと人工知能を使ったアルゴリズムによる営業支援システム」の実現に向けた時代が到来しているとトラヴィス氏は話す。

ガートナー リサーチ リサーチ ディレクター タッド・トラヴィス氏

一元化されたデータベースを基に、パイプライン管理や完全なWebインタフェースを持つシステムからのデータアクセスなどが実現され、さまざまなプロセスの標準化が進んだ。しかし、古いテクノロジーには独自の”制約の種”が埋め込まれている。

「もっと効果的に営業を支援し、ビジネスインパクトの創出に貢献できるよう、アルゴリズムが生まれました」(トラヴィス氏)

「営業プロセスを変革するアルゴリズム」とは、アナリティクスのことを指す。ガートナーでは、アナリティクスの機能を「記述的アナリティクス」「診断的アナリティクス」「予測的アナリティクス」「診断的アナリティクス」の4つに分類している。

ガートナーが提唱する4つのアナリティクス/出典:ガートナー(2018年2月)

アナリティクスに関するテクノロジーは、過去に起きたこととその理由を診断する基本的なものから、近い将来何が起こるかを予測し、何をすべきかを診断することができるところまで進化している。だが、企業の現状はどうか。トラヴィス氏は、「ほとんどの企業は、まだ基本的な分析ができる段階に留まり、予測的アナリティクスに進むところまで至っていない」と指摘する。

その理由をトラヴィス氏は、テクノロジーが人間の知識に基づく推論を活かせるまでに至っていないからだとした。テクノロジーは発展しても、購入に向けて顧客を説得するには大変な努力を要する。優秀な営業担当者であれば、情報収集やどうすれば成約につながる説得ができるかといった推論は得意だろう。顧客を理解するためのインサイトの活用もうまい。だが、その知識や経験は属人的なものだ。それに対してアルゴリズムは、組織全体の水準の底上げにつながると期待されている。