引越しをした経験がなかったり、少ない人は、引越し当日の流れはどうなるのか、引越しの準備をどうしたらいいのだろう、などと疑問や不安に感じているのではないでしょうか? 引越しはさまざまな人が関わり、面倒な作業といえますが、当日の流れを事前に把握し、しっかりと準備を済ませておけば、当日はスムーズに引越し作業が終えられます。
そこで本記事では引越しの際の押さえておくべき点を網羅的に解説しています。この記事を読んでいただければ、引越し当日の流れと、何から手をつければいいのかが分かるようになります。ぜひ本記事に最後まで目を通し、引越し準備の参考にしてください。
引越し作業前までに準備すること
引越し作業をスムーズに進めるためには、実際の作業を始める前にしっかりと準備をしておくことが重要です。事前に準備を行うことで、当日の作業が格段に楽になることでしょう。
ここでは、引越し作業を行う前に準備しておくべきポイントを3つ紹介します。普段忙しくくてまとまった時間をなかなか取れない方も、ぜひこの3つのポイントを押さえて余裕を持って引越し当日を迎えましょう。
- 荷造りを完了させる
- 近隣への挨拶
- 電力会社・ガス会社・水道局への連絡
荷造りを完了させる
時間がない方や荷造りが苦手な方の中には、引越し間近になってようやく荷造りに取り掛かる方もいるようですが、あまりおすすめできません。
荷造りは、引越し業者が来る前に完了させておくことが重要です。あまりに荷造りが進んでいない場合は、引越し自体が後日へ変更が必要になる可能性があるので気をつけましょう。
荷造り作業は、引越しが決まった当日から徐々に始めることをおすすめします。作業を行う際は、事前に荷物のリストを作り優先順位を決めて取り掛かると確認がしやすいでしょう。
近隣への挨拶
引越し当日はトラックが家の前に停まり運搬作業が行われます。数名のスタッフが出入りし、場合によっては大きな音が近所に響き渡ることもあるでしょう。
何らかのトラブルに発展しないように、先に一言断っておくことが大切です。引越しの日程が決まったら、事前に近所の人へ挨拶をしておくことをおすすめします。その際は作業の時間帯など、知っている限りの情報を伝えておけば相手も安心するでしょう。
電力会社・ガス会社・水道局への連絡
引越しの日程が決まったら、できるだけ早く現在契約している電力会社やガス会社、水道局に引越しする旨を連絡しておきましょう。
連絡する時期は、可能であれば引越しの2~3週間前に行うことをおすすめします。引越し直前は荷造りなどで忙しく、電話やメールなどの事務作業まで手が回りにくい状況に陥ります。特に2~4月の繁忙期は、ガス開栓が希望日でできない可能性も出てきます。どんなに遅くとも10日~1週間前には連絡しましょう。
多くの電気、ガス、水道における引越し手続きは、電話またはネットから行うことが可能です。事前にホームページや問い合わせ窓口で確認し、もっとも効率的な方法で進めておくと良いでしょう。
旧居の引越し当日の流れ
引越し日当日は、今まで住んでいた旧居の退去作業と、これから住み始める新居の入居作業のふたつが行われます。いずれの作業も同じ日に行われることから、全ての作業が完了するのに丸1日かかることが予想されます。
引越し作業をできるだけ効率的に進めるためにも、引越し当日の流れを事前に把握しておくことが大切です。旧居における引越し当日の作業の流れは、以下の通りです。
- 引越し代金を業者へ支払う
- 搬出作業に立ち会う
- ガスの閉栓に立ち会う
- 旧居の清掃とごみの処分をする
- 鍵の返却など退去手続きを行う
ここでは、それぞれステップごとの具体的な中身について解説していきます。
STEP1:引越し代金を業者へ支払う
国土交通省が設けた標準引越運送約款の第19条第1項に、引越し代金は荷送人から荷物を受け取る際に収受するとの規定があります。これは、引越し代金は前払いであることを意味しており、引越しを依頼する際は事前に代金を用意する必要があります。
支払いは現金が原則ですが、近年はクレジットカードや電子マネーに対応している業者もあります。どのような支払い方法があるのか事前に確認し、スムーズに支払えるよう準備しておきましょう。
STEP2:搬出作業に立ち会う
できるだけ荷物を家から搬出する際に現場にいて、作業員からの質問に答えられるようにしておきましょう。
具体的には、ゴミは捨てて良いか、どの荷物から運び出してよいか、荷物の上にものを置いても良いかなどと、作業員から指示を仰がれます。それに対して的確に指示を出すことが必要です。
搬出作業を手伝うのではなく、即座に指示を出せる状態で立ち会うことが大切です。そうすることによって、円滑に搬出作業を進めることができるでしょう。
また、小さな子供やペットがいる場合は作業の邪魔にならないよう、事前に安全な場所へ移動させておくことをおすすめします。
STEP3:ガスの閉栓に立ち会う
ガスの閉栓には立ち合いが必要な場合があるため注意が必要です。事前に契約しているガス会社に確認し、立ち合いが必要がどうか確認しましょう。
もし立ち合いができない場合は、管理会社やオーナーに速やかに連絡し、代わりに立ち会ってもらうよう依頼すると良いでしょう。
STEP4:旧居の清掃とごみの処分をする
旧居の清掃は、入居の際に支払った敷金を取り戻すための大切なポイントになります。家の中を入念に掃除して退去する必要がありますが、特に念入りに掃除を行い、きれいにしておくべき場所がいくつかあるので紹介します。
- 冷蔵庫や洗濯機下(サビやカビなど)
- 台所の油汚れ
- 水回り全般(水垢やカビ)
- 壁紙や天井のヤニ
これらの箇所は汚れが残りやすいことから、管理会社やオーナーが特に着目するところです。しっかりと清掃してきれいにすることで、敷金の返金の可能性が高まるでしょう。
引越しを行う際に出たごみは、きちんと処分することが大切です。ごみの具体的な処分方法として、以下の方法があげられます。
- 引越し先へもっていく
- ごみ処理センターへ直接持っていく
- 近所の人へお願いする
ごみの量がそれほど多くなければ、コンパクトにまとめて引越し先へ持っていくことをおすすめします。しかし予想以上に量が多く、大きなごみもある場合は、近くにごみ処理センターに持ち込んで処分すると良いでしょう。
その他、近所にお願いできる知り合いなどがいればごみの処分をお願いするなど、臨機応変に対応することをおすすめします。
敷金とは?
敷金とは、借主が家賃の支払いや部屋を損傷させた場合の修理費などの担保として、賃貸借契約時に貸主に預けるお金のことです。2020年施行の改正民法で明確化され、賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたときに、貸主は返還する義務があります。
契約時に敷金を預けた場合は、その敷金からクリーニング費を差し引かれるケースが多いですが、契約書でどのように約束されていたかをよく確認しておきましょう。敷金ゼロの場合であっても、借主側が退去時にクリーニング費を支払うように契約書に取り決められていることが多いので注意が必要です。
鍵の返却など退去手続きを行う
荷物の搬出や室内の清掃が終わったら、管理会社またはオーナーに連絡して来てもらい、退去手続きを行います。部屋の内部を確認してもらい、特に問題がなければ鍵を返却して退去手続きは終了します。
新居の引越し当日の流れ
旧居を後にしたら、いよいよ新居での引越し作業に移ります。引越し当日の新居における引越し作業の一般的な流れを紹介します。
- 近隣への挨拶
- 搬入作業に立ち会う
- ガスを開栓する
- 荷解きを行う
ここからは、それぞれの作業の具体的な中身について詳しく解説していきます。
STEP1:近隣への挨拶
新居へ荷物を搬入する際は、引越し業者のトラックの出入りや養生作業、荷物の搬入などで近所の方に迷惑をかける可能性があります。今後の近所付き合いも考慮して、作業前に一言挨拶をしておけば、作業もスムーズに行うことができるでしょう。
何軒先まで挨拶するべきか悩ましいところですが、挨拶の目安として向かい側3軒と両隣2軒に行うのがおすすめです。
STEP2:搬入作業に立ち会う
新居への搬入の際は、実際の作業に立ち会うことが大切です。できるだけスムーズに搬入作業を行うために、事前に家具や家電の配置場所を決めて、搬入時に指示できるよう準備しておくことをおすすめします。
STEP3:ガスを開栓する
新居におけるガスは、そのままでは使用することはできません。入居当日にガスが利用できるようにガス会社に事前に連絡をして、作業員立ち合いのもとで開栓作業を行います。
なお、電気や水道は基本的には作業員の立ち合いは必要なく、入居後すぐに利用できます。
STEP4:荷解きを行う
荷物の搬入が終わったら、早速荷解きを行いましょう。料理道具や皿、洗面道具など、日常的に使用するものから荷解きを行うことをおすすめします。
家具や家電など、荷解きが大変なものは後回しになりがちです。引越し業者のオプションで荷解きを用意している業者もあります。業者に確認して利用すると作業時間を短縮できます。
基本的に荷解きはいつまでにやるという縛りはありません。しかし、段ボールの回収を回収業者へ依頼した場合は、回収日までに荷解きを終えて、段ボールを整理しておきましょう。
引越し当日に必要なもの
引越し作業はやるべきことが多く、場合によっては大事なことを忘れている可能性があるので注意が必要です。余裕を持って引越しを行うために、当日に必要なものを事前にピックアップしてメモしておくことをおすすめします。
ここからは、引越し作業当日に必要なものを、旧居での引越しと新居での引越しに分けて紹介していきます。
旧居での引越し作業で必要なもの
旧居で行う引越し作業に必要なものとして、以下のものがあげられます。
- 清掃道具(雑巾、ほうき、ちりとり、掃除機、床洗剤、ゴミ袋など)
- 梱包資材(段ボール、ガムテープ、カッター、ハサミ、養生シート、養生テープなど)
掃除道具は部屋のタイプによっても異なります。フローリングがメインの部屋であればフローリング専用の洗剤があると良いでしょう。畳間やカーペット仕様であれば、専用の粘着クリーナーがあると細かな箇所の掃除にも活用できます。
新居での引越し作業で必要なもの
新居での引越し作業に必要なものとして、以下のものがあげられます。
- 照明機材(電球、蛍光灯など)
- カーテン
- 清掃道具(雑巾、ほうき、ちりとり、ゴミ袋など)
- トイレットペーパー
特に夕方から夜間に引越し作業を行う際は、照明機材は必須です。そのほか新居ですぐに利用するものは、梱包する際に段ボールに「すぐ使うもの」と記載しておけば、すぐに探し出せるのでおすすめです。
引越し作業で起こりやすいトラブルと予防策について
引越し業者に依頼して引越し作業を行う際は、何らかのトラブルが発生する可能性があるので事前の対策や配慮が必要です。
ここでは、引越し作業時に起こりやすいトラブルと、トラブルが発生しないために行うべき予防策について具体的に紹介していきます。
引越し当日に荷造りが完了しなかった
予想以上に荷物が多く予定通り荷造りが進まない、あるいはなかなか荷造りの時間が取れずに引越し当日までに荷造りが完了しないなどのケースが考えられます。もし引越し当日までに全ての荷造が終わらなかった場合、引越し業者への依頼をキャンセルして、自分で車を手配して運ばなければならなくなります。
引越し業者の中には荷造りに関するオプションがあり、引越し当日に有料で梱包を手伝ってもらえるかもしれません。
いずれにしても引越し当日までに間に合わなければ、別途オプション利用料金やキャンセル代、レンタカー代などお金がかかります。無駄な出費を避けるためにも、引越し当日までに荷造りが終わるよう計画を立てて作業を進めることが大切です。
引越し当日に業者が来ない
引越し当日、引越し業者が時間通りに来ない場合があります。その理由として、以下のケースが可能性としてあげられます。
- 道に迷っている
- 日時を間違えている
- 前の引越し作業が長引いている
引越し業者が時間通りに来ない場合、まずは自分が申し込んだプランを確認し、再度約束した時間をチェックしましょう。
引越し業者が約束の時間に遅れる際は、事前に電話連絡が入るのが通常です。しかし約束の時間間近になっても引越し業者からの連絡がない場合は、何らかの事故に巻き込まれている可能性もあります。こちら側から引越し業者に連絡して、状況を確認しましょう。
引越し業者が提示した見積もりと代金が違う
業者から提示された引越し作業代金と、見積もり金額が違うといったトラブルが発生する可能性があります。もし提示された見積もり代金が認識と違った場合は、まずは契約内容を確認して何らかの別途料金が発生していないか業者に確認しましょう。
発生しやすい追加料金として、以下の例があげられます。
- 梱包作業の手伝い
- 当初の予定よりも荷物が増加
- エレベーターが使用不可
- 大型トラックが進入できない
業者によって追加料金発生の有無や発生した場合の具体的な金額などは異なります。追加料金が発生した場合はしっかりと業者と話し合い、納得の上支払いましょう。
引越し業者が荷物を破損させた
引越し作業を行う際に、荷物や家具に傷がつく場合や破損する場合があります。通常は引越し業者が自ら申告して然るべき対応をしてくれますが、特に申告がなく後日見つかる場合もあるので注意が必要です。
後日家具や家電の破損が見つかったら、即座に引越し業者へ詳細を伝えましょう。その際の対応は引越し業者によって異なりますが、多くの業者では破損箇所を確認し、修理や相当分の現金対応をしてくれます。
しかし残念ながら業者の中には上記のような対応をしてくれないところもあります。また引越しから時間が経つほど、引越し業者の対応も鈍くなることも考えられるでしょう。
そのような場合でも毅然とした対応で臨むことが大切です。対策として、大切なものや高価な家具などは事前に写真を撮り、業者に提示しておくことをおすすめします。
引越し当日に体調を崩してしまった
万が一、引越し当日に体調を崩してしまい、引越しが困難になった場合、家族や友人など近しい人に代理で立ち会ってもらう必要があります。代理で立ち会ってくれる人が見つからない場合は、引越し自体をキャンセルする必要も出てきます。
一般的には、引越し予定日の3日前であればキャンセル料金は発生しません。ただし、再度予約する場合には、自分が希望する日の予約が取れず、かなり先の日程しか空いてなかったり、見積もり金額が変わったりするので注意が必要です。
なお、日通の引っ越しサービスのキャンセルポリシーは、以下の通りです。
(解約手数料又は延期手数料等)
第二十一条 当店が、解約手数料又は延期手数料を請求する場合は、その解約又は受取日の延期の原因が荷送人の責任によるものであって、解約又は受取日の延期の指図が見積書に記載した受取日の前々日、前日又は当日に行われたときに限ります。ただし、第三条第七項の規定による確認を行わなかった場合には、解約手数料又は延期手数料を請求しません。
前項の解約手数料又は延期手数料の額は、次の各号のとおりとします。
一 見積書に記載した受取日の前々日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積運賃等(料金にあっては、積込み、取卸し、搬出、搬入、荷造り及び開梱に要するものに限る。次号及び第三号において同じ。)の二十パーセント以内
二 見積書に記載した受取日の前日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積運賃等の三十パーセント以内
三 見積書に記載した受取日の当日に解約又は受取日の延期の指図をしたとき 見積運賃等の五十パーセント以内
他の業者でも同じようにキャンセルポリシーを決めているので、事前に確認しておきましょう。国土交通省の標準引越運送約款にも、解約手数料または延期手数料等についての規定が設けられています(第21条)。
【Q&A】引越し作業に関するよくある質問
ここでは、引越し作業に関するよくある質問を厳選して2つ紹介します。いずれの質問も現実の引越しに即した内容となっているので、今後引越しを行う予定がある方は以下の記事を参考にすることをおすすめします。
引越し業者への飲み物などの差し入れは必要?
引越し業者に対しては規定料金を支払って仕事の依頼をしていることから、基本的には引越し業者への差し入れや心づけは不要です。
引越し作業を頑張ってくれてたことに対し感謝の気持ちを伝えたいのであれば、持ち運びができるペットボトルの飲料水を差し入れすることをおすすめします。
夏場は冷たい水やお茶、冬場は温かいお茶やコーヒーといったように、その時々の状況に合わせて差し入れすると相手に喜ばれるでしょう。
新居へ引越し業者のトラックで一緒に移動できる?
旧居の引越し作業が終わって新居へ向かう際、引越し業者のトラックに乗せてもらって一緒に移動したほうが便利だと感じる人もいるかもしれません。
しかし、引越し業者のトラックに乗せてもらうことはできません。これは、万一事故が起こった場合の補償対象にならないためです。
事前に移動ルートを確認し、旧居から新居へどのような手段で移動するべきかしっかりと計画を立てておくことをおすすめします。新居で引越し業者を待たせることがないよう、時間通りに移動できる手段を選びましょう。
なお、赤帽引越しの軽トラックには新居まで乗せてもらえることがあります。これは赤帽の場合、作業員はドライバーが1人だけなので、依頼主も引越しの作業員としてカウントし、万一の場合も補償ができるようにしているためです。
まとめ
本記事では、引越し業者の当日の作業の流れや準備作業、引越しの際に用意しておくものや、発生しやすいトラブルとその対処法などを網羅的に解説しました。
人によっては引越しをした経験があまりなく、どのような流れで作業が進むのか分からない人もいるかしれません。引越し業者との対応に少なからず不安を感じている方もいることでしょう。
引越しはやるべき作業が多く時間も労力もかかることから、できる限りトラブルなくスムーズに作業を進めることが大切です。今後引越しを予定されている人は、ぜひ引越し当日の流れを事前にしっかりと把握し、効率的な引越しを実現しましょう。
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