空室対策アイデアを7つ紹介!施策ごとのコスト・リスク・難易度を比較

マンション・アパート経営

賃貸経営を始めるときに空室リスクを考慮して利回りを計算していても、実際に空室が出るようになると、具体的な対策が思いつかないという人も多いのではないでしょうか。大規模なリフォームや家賃の値下げをすれば入居者を獲得しやすくなるのは事実ですが、長期的に見ると損失を生みがちです。

また、上記2つの対策以外にも物件の状況によっては「やらない方がよい」対策があります。本記事では、空室対策のポイントから、効果的なアイデア、おすすめできない対策まで詳しく解説します。

とくに、効果的なアイデアはコスト・リスク・難易度・効果・必要期間の比較一覧にまとめているので、ぜひ参考にしてください。

空室対策のポイント

空室対策を進める際は、以下のポイントを意識しておきましょう。

  • 入居者目線で考える
  • 周辺物件との差別化・不動産会社の印象アップ
  • キャッシュフローと天秤にかける
  • 時期に合わせた対策

空室対策に限らず、ビジネスにおいてはWho・What・How・Whyの4つの要素が重視されます。言い換えると、顧客・提供価値・収益構造・プロセスです。上記4点はその4要素に関係しています。では、それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。

入居者目線で考える

「空室対策」と考えると、どうしても経営者目線になってしまいがちです。しかし、最も重要なことは「入居者目線」の対策といえます。次の2点を重視しましょう。

  • お得感があること
  • 長く住みたくなる住環境

次のポイント「周辺物件との差別化」とも類似していますが、お得感は物件を選ぶ入居候補者へ好印象を残すために重要なことです。単に家賃が安ければよいというわけではありません。「この設備、清潔感でこの家賃はお得だ」と思わせることを指します。

次に大切なことは、せっかく獲得した入居者を短期間で手放さないことです。定期的な清掃と整備、親身に対応できる管理体制、良心的な更新料など持続的なお得感の提供を目指しましょう。そうすれば、入居者にとって引っ越すメリットが少なくなり、長期で入居しやすくなるはずです。

また、長期入居者が多いほど、新たな入居者を獲得するための広告費やクリーニング費用といった支出を減らすことにも繋がります。入居者目線になることは経営者目線でもメリットが多いので、忘れないようにしたいポイントです。

周辺物件との差別化・不動産会社の印象アップ

入居者目線の対策が最重要ではありますが、一方で周辺物件との差別化も欠かせないポイントです。たとえば、自分が所有する賃貸物件が築15年なら、近隣にできた新築物件と美しさで競うことは難しいでしょう。外観の美化にコストをかけるべきではないと判断できます。

自分の物件ならではの魅力を発掘し、その強化や改善を考えるのが得策です。

物件の魅力を相手に伝えるという点では、入居候補者だけでなく不動産会社に対しても重視する必要があります。不動産会社が「良い物件」だと思えば、広告作成や内見案内時にしっかりアピールしてくれるからです。

なお、この項目を重視すべきもう1つの理由を、後半の「継続的な空室対策を計画すべき理由」で解説します。

キャッシュフローと天秤にかける

キャッシュフローは、入ってくるお金と出ていくお金の流れのことです。家賃収入の金額を空室対策に投じる費用が上回る場合は注意しましょう。

これまでの利益のストックから支出できれば問題ありませんが、不動産投資とは別の収入から補填したり、ローンを抱えたりすると、キャッシュフローが複雑化する上に高リスクです。不動産投資の利益分の中で講じられる対策の選択をおすすめします。

時期に合わせた対策

「いつ空室ができるのか」も重視したいポイントです。たとえば、年度が切り替わる3月は入居者が出ていきやすいものの、4月には埋まる可能性が大いにあります。このタイミングで大規模なリフォーム工事を行ってしまうと、内見希望に対応できず4月の入居希望者を逃すかもしれません。

一般的な繁忙期は1~3月がピークで、その期間に引っ越しできなかった人が4~6月にも動きます。7~8月が閑散期です。9~10月は会社によっては人事異動のシーズンなので、第2の繁忙期と呼ばれます。なお、11月~12月は閑散期ではあるものの、繁忙期に向けて不動産会社が準備を始めるシーズンです。

リフォームや設備の入れ替え工事など、長期的に内見に対応できなくなるような対策は、7~8月の閑散期を目安に行いましょう。

対策一覧

本記事で取り上げる、効果的な6つの対策を、コスト・リスク・難易度・効果・必要期間の比較表でまとめました。具体的な内容を見る前の参考にしてください。

対策 コスト リスク 難易度 効果 必要期間
共有部分の清掃
室内クリーニングの強化
管理会社・不動産会社の見直し
無料インターネットの提供
プチリフォーム・設備の追加
大規模リフォーム・リノベーション

空室対策に効果的な6つのアイデア

空室を埋めるための効果的な対策は以下の通りです。

  • 共有部分の清掃
  • 室内クリーニングの強化
  • 管理会社・不動産会社の見直し
  • 無料インターネットの提供
  • プチリフォーム・設備の追加
  • 大規模リフォーム・リノベーション

各対策について理解を深め、所有する物件の状況とキャッシュフローに最適な対策を選びましょう。

共有部分の清掃

今住んでいる人を手放さないためには、エントランス・ゴミ捨て場・廊下などの共有部分を、常日頃から清掃することが大切です。箒で落ち葉やホコリを取り払ったり、階段の手すりや集合ポストの上、エントランスのドアを拭くなど、費用がほとんどかからない対策だけでも十分に効果があります。

また、常日頃から清掃をしていれば外観の美しさを保てます。広告や賃貸物件のポータルサイトに掲載する外観写真の印象がアップするため、新たな入居者の獲得にも有効です。

室内クリーニングの強化

念入りに掃除すべき室内の場所と気になる汚れは、次の通りです。

室内の場所 気になる汚れ
風呂場
  • 鏡や蛇口の水垢
  • タイルの目地やパッキンに繁殖したカビ
  • 石鹸カス
台所
  • コンロ・換気扇の油汚れ、臭い
  • シンクの水垢・カビ
トイレ
  • 便座の汚れ・色素沈着(ライトの色によって見た目が変わるため注意)
  • 便器の裏のホコリ・汚れ
  • 壁・床の汚れ、臭い
洗面台
  • 鏡や蛇口の水垢
  • 周辺の壁に繁殖したカビ
  • ホコリ
玄関
  • 靴箱の汚れ、臭い
  • 土間、框(かまち)の汚れ、シミ

入居者にクリーニング費用を負担してもらうことが一般的であるため、多くの経営者はクリーニング業者に依頼しているでしょう。しかし、クリーニング業者によって得意な汚れと苦手な汚れがあります。

クリーニングが行われた後はしっかり自分の目で見て確認し、必要に応じて別の業者に依頼し直すことをおすすめします。

管理会社・不動産会社の見直し

管理会社や不動産会社を変えるというのも対策の1つです。賃貸経営を始めた当初から懇意にしている場合、情が先行して見直しタイミングを逃している可能性があります。管理会社も不動産会社もその道のプロではありますが、所有している物件に最適なプランを持っているかといえば、実はそうとは限りません。

一口に賃貸物件といっても、オフィス向け・店舗向け・ファミリー向け・単身者向けなどさまざまあり、管理会社・不動産会社にも得意不得意があるからです。また、依頼している清掃業務が十分でない、相談しても返答が遅いといった不満があるなら見直し時といえます。

全国各地に支店がある、インターネットを活用した広告に強いなど広範囲に入居希望者を募れる会社や、外国人入居希望者の仲介が得意な会社など選択肢は豊富です。見積もりの取り寄せを含めて各社と商談してみましょう。

無料インターネットの提供

無料インターネットの提供は、入居後すぐにインターネットを利用したい人に対して、強いアピールポイントになります。近隣に大手企業の支社があり単身赴任の入居者が多い場合や、大学生の入居者が多い場合は、引っ越してすぐに不自由なく生活できるかが重視されやすいため、より入居者を獲得しやすくなるでしょう。

光回線を導入する場合は工事が必要になりますが、コンセントに挿すだけでインターネットに接続できる据え置き型のWi-Fiルーターも選択肢です。利用料金を負担することになりますが、家賃に乗せれば回収できます。

ただし、無料インターネットの導入はメリットばかりではありません。リモートワークの促進で通信速度と安定性を重視する人が増えているため、契約する回線やプロバイダによっては、そのニーズを満たせない恐れがあります。入居者ニーズの分析と事業者選びは重視しましょう。

プチリフォーム・設備の追加

投資コストはやや高めですが、短期間で講じられる対策がプチリフォームと設備の追加です。具体的には次のような選択肢があります。

  • クロス(壁紙)、畳の張り替え
  • エアコンの最新化
  • キッチン・浴槽設備の入れ替え
  • モニター付きインターフォンの設置
  • 宅配ボックスの設置

見た目の美しさをアップさせるだけでなく、セキュリティの強化や快適性の向上など、住む人のことを考えたプチリフォームがおすすめです。コストも異なるため、無理せずできることから導入してみましょう。

大規模リフォーム・リノベーション

これまでご紹介してきたアイデアの中では最も大きなコストを要するため、一概におすすめとは言えない対策です。大規模リフォームまたはリノベーションを選択すべき状況かどうか、次の判断基準に照らして考えてみましょう。

  • 清掃やプチリフォームではカバーできない劣化がある
  • 生活動線が悪く、短期間で引っ越す入居者が多い

つまり、大規模リフォーム・リノベーション以外に物件の魅力を回復することができない、ほかのアピールポイントを打ち消すほどの欠点があるという場合に限った対策といえます。ただし、高コストな工事を実行した後も入居者を獲得できないリスクがあるので、本当にそれ以外の選択肢がないのかどうかは分析が必要です。

また、大規模なリフォームやリノベーションをすると建物の資産価値が向上するため、固定資産税が増額される可能性があります。この点もキャッシュフローの計算に組み込んで検討しましょう。

おすすめできない空室対策

効果的な空室対策のアイデアが見えたところで、次は効果が低い、あるいはリスクが高すぎる対策を見ていきましょう。

フリーレント・家賃の値下げ

敷金・礼金・初月~数か月間の家賃を免除するフリーレントや家賃の値下げは、最終手段です。入居希望者の増加は期待できますが、家賃滞納のリスクを抱える経済的に苦しい人が入居を希望しやすくなるため、長期的に見ると高リスクといえます。

また、空室だけを値下げすると、既存の入居者が持っていたはずの「お得感」が薄まり、引っ越してしまうかもしれません。既存の入居者の感情も大切にしましょう。

また、地域のなかで最安値の家賃に設定することもおすすめできません。値下げ競争が始まると、エリア全体の価値が低下し負のスパイラルに陥る恐れがあるからです。

入居条件の引き下げ・ペット・楽器可

入居条件の引き下げや許諾範囲の拡大には次のような例があります。

  • 収入基準・勤続年数の引き下げ
  • 保証機関の利用可
  • 同棲・ルームシェア可
  • 高齢者・生活保護受給者の受け入れ
  • 人柄・応対態度審査のハードルを下げる
  • 外国人の受け入れ
  • ペット可
  • 楽器可

収入や勤続年数の基準を低くしたり、保証機関の利用を可にすれば現在よりもターゲットの幅を広げることができますが、家賃滞納や短期間での引っ越しリスクが高まります。また、同棲やルームシェアを許可すると、2人の内1人が出ていってしまえば家賃滞納になりかねません。

後半の4点は、文化の違いや騒音、マナー違反などによって近隣トラブルになりがちな項目です。既存の入居者の心象を悪くすることもあるので、受け入れられる物件の作りやルールになっているかを検討しましょう。

モデルルーム化・家具付き物件

空室に観葉植物やカーテン、絵を飾るなどのモデルルーム化、家具を備え付けにするといった対策も選択肢の1つではあります。メリットは内見時に生活をイメージさせやすくなるという点ですが、諸刃の剣です。内見に来た人の趣味と合わなければ、選ばれない恐れがあります。

また、備え付けの家具が入居者の使用によって中古品になるという点もリスクです。長期間住んでくれれば問題ありませんが、短期間で引っ越されてしまうことも考えられます。その後の空室は、中古家具に抵抗がある人にとっては魅力になりません。

継続的な空室対策を計画すべき理由

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空室対策は1度限りで完了するものではありません。長く住んでもらうためにも、入居者の希望や時流に合わせた適切な対策を継続的に行うことが重要です。その理由を深堀していきます。

少子高齢化による空室率の上昇

人口増の傾向にあり、入居希望者数が賃貸物件の数(住宅ストック)を上回っていれば空室リスクはほとんどありません。しかし、少子高齢化社会の日本では住宅ストックが過剰になり、空室率がアップしています。「借り手市場」と呼ばれており、入居者ニーズに合わせた賃貸物件オーナーの努力が欠かせない状況です。

近隣の似たような物件であっても、モニター付きインターフォンの有無だけで魅力に差が生まれます。入居者ニーズ・近隣物件の情報・所有する物件のメリットとデメリットなどを総合的に分析しましょう。

安定した家賃収入を得るため

継続的な対策をするということは、物件の魅力をキープすることに等しく、既存の入居者にとっても住み続けたくなる要素になります。長期で住んでくれる人が多いほど安定収入を得られるため、場当たり的な対策に留めることなく、利益分からできる限りの対応を心がけましょう。

「アテ物件」にされるリスクがあるから

不動産業界の用語に「アテ」「ナカ」「キメ」という、物件をカテゴリ分けする言葉があります。「アテ」は「アテ馬」のことで、「回し物件」とも呼ばれます。

最初から希望条件と等しい物件を見ると「もっと良い物件があるのでは」と思うのが、部屋探しをしている人の一般的な心理です。そこで、契約を獲得したい不動産会社は、まず「住みたくならない家」を見せて物件選びのハードルを下げようとします。そのための物件が「アテ物件」です。

「ナカ」は決め手には欠けるものの、悪くはない物件を指します。そして「キメ」は希望条件に合致する物件や不動産会社がどうしても契約を決めたい物件です。アテ、ナカを挟むことで、より魅力的に映るキメ物件と契約するよう誘導します。

外観・内観の管理不行き届きや騒音問題を抱えているなどの、効果的な空室対策ができていない物件はアテ物件にされる恐れがあるため、継続的に対策しましょう。

まとめ

空室対策のアイデアは数多くありますが、物件の状態や近隣の状況、入居者ニーズなど複合的な要因によって最適解が異なります。「この対策をすれば絶対に大丈夫」というものはないため、さまざまな情報を入手・分析してから選択しましょう。

判断に迷うときは、専門家である管理会社や不動産会社に相談するのもおすすめです。懇意にしている業者だけでなく、複数業者に相談して見積を取り寄せることで、新たな解決策が見えてくることもあります。

家賃の値下げや入居条件の引き下げ、高額な投資が必要な対策は最終手段として、まずは小さなリスクでできることから始めましょう。

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