ライフステージの変化や相続などで不動産を手に入れて、家を売却することになったけれど、まず何からしたらいいのか…とお困りではありませんか?
本記事では家を売る際に気を付けてほしい注意点を順を追ってケース別に解説し、家をなるべく高く売却できるコツについても詳しく解説しています。家を売却する前に知っておきたい知識を正しく身に付けて、後悔のない家の売却をするための参考になさってください。
家を売る際の注意点 売る前の場合
家を売却することに決めたら、不動産業者に査定を依頼する前にしておかなくてはならないことがいくつかあります。手間になることも多いですが、きちんと準備をおこなっておくことで、よりスムーズな取引を期待できます。
査定前に相場を調べておく
家を売る際は、不動産業者に査定を依頼して売却額を決定します。査定がおこなわれる前に、売却しようとする家にだいたいどのくらいの価値があるのか、自分で売却相場を調べておく必要があります。事前に売却相場を知っておくことで、売却による収入や費用がどのくらいになるか計算できるため、物件買い替えの資金繰りがしやすいことや、査定額と調べた相場額を照らし合わせることで不動産業者を選びやすいことなど、数々のメリットを享受できます。
事前に売却相場を調べるなら、レインズマーケットインフォメーションや土地総合情報システムなどの公的なサイトで過去の取引を確認したり、不動産会社のサイトで売り出されている価格を確認するなどの方法が利用できます。
相続登記を確認しておく
両親などが亡くなったときに相続した不動産を売却するような場合、相続登記が正しくおこなわれているか確認しておく必要があります。相続登記は義務付けられていないため、遺産分割協議によって不動産を相続しても、その際に不動産登記をおこなっていない可能性があります。手続きをおこなっていないと、不動産の名義は亡くなった方のままになっており、そのままでは売却することができません。相続した不動産を売却する際は、まず相続登記を確認しましょう。
相続登記は司法書士に依頼することもできますが、自分で申請することもできます。自分で相続登記する場合の大きな流れは以下の通りです。
- 法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、所有者を確認する
- 戸籍や住民票、評価証明書を集めて相続人を確定する
- 相続登記申請書類を作成する
- 相続登記を申請する
住み替えなら売却と購入どちらが先かしっかり検討
今の住居を売却して新しい家を購入して住み替えるつもりなら、売却と購入のタイミングを見極め、どちらを先におこなうかしっかり検討することが大切です。どちらを先にしなくてはいけないというルールがあるわけではありませんが、それぞれメリット・デメリットを理解して売却と購入のどちらを優先して活動するか決めましょう。
売却を先におこなう場合は、売却が成立した家からは引き渡し日までに退去しなくてはなりません。そのため、購入する家が見つからないリスクに注意する必要があります。引き渡し日までに新しい家が見つかっていなければ一時的に賃貸物件を仮住まいとして契約しなければならないため、余計な費用がかかってしまうデメリットが生じます。メリットとしては、売却を先におこなうほうが資金繰りがしやすいことや、価格交渉により時間をかけることができることが挙げられます。
一方購入を先におこなう場合は、事前に購入資金を確保しておかなくてはならないというデメリットがあります。売却金を購入資金に充てることができないことに加えて、ローンが残っている場合にはダブルローンを組むことになるため、資金的な余裕がなければ先に購入活動をおこなうことは難しいでしょう。メリットとしては、新居探しに時間がかけられることや、借り住まいの心配をしなくていいこと、売却する際の内覧が空き家状態でできることなどが挙げられます。
家計の状況や、売却の価格交渉と新居探しのどちらに時間をかけたいのかを検討して、どちらを優先するかを決定しましょう。
住宅ローン残高を確認する
不動産を売却する際、住宅ローンの残債は全額一括返済することになります。多くの場合は不動産の売却金額で支払いを行うため、売却価格を決める際にも住宅ローンの残債は大きな基準となります。査定を依頼する前に正確な住宅ローン残高を把握しておきましょう。
住宅ローンの残高を確認するには、借入先の金融機関に問い合わせをする必要があります。金融機関によってWebサイトで問い合わせできるところや、郵送で証明書を発行してもらうことができるところなどさまざまなので、借入先の金融機関のホームページなどで残高確認の方法を確認しましょう。不動産業者に提出しなければならないことも多いため、残高証明書を書面で持っていたほうが安心です。
戸建の場合は修繕履歴の確認を
売りたい物件が戸建の場合は、シロアリなどの害虫予防や、外壁塗装などの維持修繕をおこなった履歴である修繕履歴の有無は重要なアピールポイントになります。維持修繕は戸建の状態を維持するために定期的におこなう必要があり、しっかりと修繕がおこなわれた物件はメンテナンスがおこなわれ、管理体制が良いと見なされ、高く評価してもらえます。いつ、どのような修繕をおこなったのか、しっかり記録しておくといいでしょう。
家を売るのにかかる費用を計算しておく
家を売却するには仲介手数料をはじめとしてさまざまな費用がかかります。いくらかかるか分かっていないと、実際に売却してみたら費用が思った以上にかかって手元にほとんどお金が残らなかったなどということになりかねません。事前に費用がいくらくらいになるか計算しておき、十分な資金を用意しておくと安心です。
不動産売却にかかる主な費用は以下の通りです。
ほとんどの場合必要になる経費 | 必要になる可能性のある経費 |
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仲介手数料
不動産業者の仲介による売却の場合、売却活動をおこなった不動産業者に対して成功報酬として支払うのが仲介手数料です。売却額の3%くらいが相場とされています。売却額によって法律で上限が決められており、査定額が分かれば計算でだいたいの仲介手数料を計算することができます。また、別途消費税がかかるため注意が必要です。
売却額 | 仲介手数料上限 |
200万円以上 | 売却額の5% |
200万円超400万円以下 | 売却額の4% |
400万円超 | 売却額の3% |
印紙税
売却が決まって買主と契約書を交わす際に貼り付ける収入印紙にかかってくる金額です。印紙税は取引金額によって決定し、令和4年3月31日までに作成されるものに関しては軽減措置がとられることとされています。
取引金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
1,000万円以上 | 1万円 | 5,000円 |
5,000万円以上 | 2万円 | 1万円 |
1億円以上 | 6万円 | 3万円 |
不動産抹消登記費用・司法書士への手数料
不動産を売却する際、住宅ローンを組んだ際に返済ができない場合に備えて土地や建物を担保とする権利である抵当権を抹消する手続きをとらなくてはいけません。その手続きを不動産抹消登記と言います。その費用は一般的に3,000~4,000円、もし司法書士に申請を依頼した場合は15,000~20,000円程度と言われています。
測量費用(境界確定費用)
土地付き戸建て物件を売却する場合には正確な土地の面積を測量する必要があります。特に相続した古い土地などは古い測量技術で測られていることがあり、正確な土地面積が記録されていない場合があります。測量は現場で確認できる土地境界線をもとに測量する現況測量と、隣接する土地の境界点を所有者の同意を得て確定し測量する確定測量があります。現況測量の場合の費用は10~20万円、確定測量の場合の費用は形や広さによって変化し、35~80万円と言われています。業者によって費用が異なるため、複数社に見積もりを依頼すると良いでしょう。
リフォーム費用
売却前にリフォームをおこなっておくなら、その費用も考えておかなくてなりません。リフォーム費用は広さや場所にもよって異なりますが、一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の平成30年度の調査によると、リフォーム予算は戸建で269万円、マンションで261万円でした。リフォーム業者によって、パック料金や定額料金制を取っているところなど料金形態はさまざまなので、リフォームを考えているなら複数社で見積もりを依頼することをおすすめします。しかし、最近では中古の住宅を購入し、自分たちで好きにリフォームをおこなって住もうと考えている人も多いため、リフォームを済ませたきれいな状態でなければ売れないというわけではないようです。
ハウスクリーニング費用
退去時にかかるハウスクリーニングの費用が請求される可能性があります。ハウスクリーニング費用の相場は以下の通りです。
間取り | 料金 |
ワンルーム・1K | 15,000~30,000円 |
1DK,1LDK | 30,000~40,000円 |
2DK,2LDK | 30,000~70,000円 |
3DK,3LDK | 50,000~85,000円 |
部屋が広いほど値段は上がりやすく、ひどい汚れが付きやすい水回りは別料金がかかる可能性もあります。また、壁に大きな穴をあけてしまった場合や、タバコのヤニ汚れなどが付いている場合は壁材の取り替えやクロスの張り替えなどの費用が請求される可能性があります。
引っ越し代
住み替えの場合引っ越し費用も忘れずに用意しておかなくてはなりません。引っ越し費用は日程によって大きく異なります。繁忙期の2~4月は高く、通常期の5~1月は比較的安く依頼できます。月の中でも月初めは比較的安く、月終わりは割増料金がかかる場合が多いです。また、荷物が多いと運ぶトラックの大きさや台数が変わるため、単身よりも家族での引っ越しのほうが料金が高くなります。また、引っ越し先との距離が長いと別途料金がかかることもあるので、注意が必要です。
世帯数 | 繁忙期料金平均 | 通常期料金平均 |
単身 | 52,210円 | 44,358円 |
2人世帯 | 99,206円 | 75,151円 |
4人世帯 | 156,449円 | 116,447円 |
家を売る際の注意点 実際に売る場合
家を売却する準備が整ったら、不動産業者に査定を依頼して売却活動に移行します。実際に売却する際に気を付けておきたいポイントを以下にまとめました。
不動産業者は複数を比較して決める
査定依頼を出すなら、大手に限らず複数の不動産業者に査定を依頼しましょう。複数の業者に依頼することで、より正確な相場を把握することができます。また、不動産業者はそれぞれ得意としている地域や不動産の種類が異なるため、複数の不動産業者に査定を依頼することで、売却する物件を得意としている不動産を見つけることができます。複数の業者に依頼するなら、インターネットの一括査定サイトを利用すると便利です。
おすすめの一括査定サイトは「すまいステップ」

- 初めてで不安だから実績のあるエース級の担当者に出会いたい
- 厳選された優良不動産会社のみに査定を依頼したい
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その他の一括査定サイトや選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

査定方法
不動産業者は取引事例比較法という方法で査定額を出します。取引事例比較法は査定する物件と同じような条件の不動産の過去の取引を参照して査定額を出す方法です。その際にレインズというネットワークシステムを使用します。レインズは過去におこなわれた不動産取引のうち、成約された事例を不動産業者で情報交換するために設けられたシステムで、許可された不動産業者しか見ることができないようになっています。その中でも一部の情報はレインズマーケットインフォメーションというウェブサイトに公開されているので、事前に自分で相場を調べる際に参照することをおすすめします。
媒介契約についてよく理解する
査定額を比較して不動産業者を決めたら媒介契約を結びます。媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があります。
一般媒介契約は複数の不動産業者に仲介を頼むことができ、自分で買主を探すこともできます。専任媒介契約は1つの不動産業者にしか仲介を頼めないものの、自分で見付けた買主と交渉ができます。専属専任媒介契約も1つの不動産業者しか仲介依頼を頼めない部分は同じですが、業者が見付けた買主にしか売却できないという特徴があります。
成功報酬を収入としている不動産業者から見れば、一般媒介契約で他社と契約を結んでいるよりも、販売活動の報告義務が課せられるなどの条件もある専任媒介契約や専属専任媒介契約で自社のみと契約を結んでいるほうが積極的に活動する傾向にあります。
売り手にとって不利な情報も伝える
不動産業者に査定を依頼する際や購入希望者が内覧する際には、たとえ売主にとって不利な情報であったとしても物件の情報はきちんと説明しておく必要があります。
売主には物件の売却で破損や不具合などの瑕疵があった場合、買主に対して補償しなくてはならない瑕疵担保責任が課せられます。瑕疵を報告しないで売却し、後に判明してしまうと、損害賠償や契約解除を求められる可能性があり、大きな出費が発生するのに加えてトラブルに発展してしまうことになります。
また、きちんと説明をおこなうことで、不動産業者や購入希望者と信頼関係を築くことにもつながります。トラブルを避け、業者や買主とよりよい関係を結ぶためにも、売主にとって不利な情報であってもしっかりと報告するようにしましょう。
内覧のために予定をあけやすくしておく
一般的に購入希望者は、土日や祝日に内覧を希望することが多いです。不動産は売り出し期間が経てば経つほど売りづらくなる傾向があります。物件をなるべく早く売却したいなら、売り出し期間中は内覧に対応できるよう、週末の予定をあけておくとよりスムーズに売却をすすめることができます。
柔軟な価格交渉を心がける
不動産売却では、購入希望者が売り出し金額を見て価格交渉をおこなってくることも一般的です。そういった場合も想定して、最低この価格なら売却しても良いと思う下限価格を設定しておくと、価格交渉に応じる不動産業者も価格交渉をおこないやすくなります。そのため、売り出し価格を設定する際には、希望売却額から少し高めに設定しておくようにすると、精神的にも余裕を持って売却活動ができます。
家を高く売るコツ
家を売却する際、なるべく高く売れたら嬉しいものです。高く売却するためにおさえておきたいポイントをまとめました。ポイントをおさえて高額売却を目指しましょう。
内覧のときは部屋を広く明るく見せる工夫を
購入希望者は間取りや立地などの条件に加えて、内覧のときの印象で購入するか否かを決定します。購入よりも売却を先におこなう場合、内覧時には実際に住んでいる家を見せることになります。購入希望者は間取りや部屋の広さを知ったうえでやってきますが、物が多く暗い印象を与えてしまうと、思ったよりも狭い家だと思われてしまって売却につながらない可能性があります。
空室時のようにすることはできませんが、トランクルームを利用したり、実家に物を移動しておくなど、物をなるべく減らす努力をしましょう。また、明るい照明は良い印象を与えます。照明を明るいものと取り替えたり、昼間でも電気をつけた状態で内覧に臨むと良いでしょう。
引っ越しシーズンに売り出す
物件は需要があればあるほど高く売り出すことができます。引っ越しシーズンの2~3月は4月からの新年度に向けて新しい家を探す人が増えるため、ある程度高めの売り出し価格を設定することが可能です。一方で8月は閑散期と言われ、高めの売り出し価格では売れにくい傾向があります。少しでも高い売り出し価格を設定したいなら2~3月を狙って売却するといいでしょう。しかし、住み替えの場合引っ越し費用が高くなる時期でもあるため、時期でどのくらい変化があるか不動産業者と相談しておくと安心です。
アピールポイントをしっかりまとめておく
内覧時は購入希望者と会話できる貴重な機会でもあります。購入希望者は、内覧時に住んでいる人ならではの情報を聞きたいと思っています。伝えなくてはならない瑕疵の他にも、スーパーの近さや学校、公園、図書館などの子育て環境、交通の利便性など、住むとプラスになるようなアピールポイントも住んでいる側のアドバイスとして伝えるようにしましょう。用意もなく臨んでしまうと言い忘れてしまうこともあるため、事前に家族や不動産業者と話をしてまとめておくことをおすすめします。
まとめ
ここまで家を売るときの注意点や、なるべく高く売却するために自分でできるポイントについて解説してきましたが、なによりも大切なのは信頼できる不動産業者を見つけることです。不動産業者に仲介を依頼すると、実際に売却活動をするのは売主ではなく業者になります。不動産業者によって売却活動の方針は異なりますし、得意としている地域や不動産の種類も異なります。つまり、信頼でき、売却したい物件を得意としている業者を選ぶことが高額売却への一番の近道となります。
査定額の高さだけで選ぶこともできますが、高額な査定額を提示して契約した後、売却価格を大幅に引き下げることを提案してくるような悪徳な業者も存在しています。査定額を提示された際には、自分で事前に調べた相場をもとに、なぜその金額になったのかを詳細に質問し、それにしっかりと応じてくれる業者を選択するようにしましょう。
信頼のおける不動産業者と契約し、トラブルのない高額売却を目指しましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
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