所有している土地を売却しようと考えていませんか。土地を売るためには公示地価について知る必要があり、正しく理解することで土地を高く売れる可能性が高まります。
そこでこの記事では公示地価とは何かや公示地価を調べる方法、公示地価と関係するその他土地の評価、最新のデータを紹介します。土地の売却で損をしたくない人に向けて、スムーズに高く土地を売却する3つの方法も取り上げますので、土地を売却する際の参考にしてください。
公示地価とは国が公表する土地の価値
公示地価は簡単にまとめると土地の価値のことです。ここでは公示地価の概要をまとめました。
不動産鑑定士が土地の価値を査定する
公示地価を評価する流れは、1ヶ所につき2人以上の不動産鑑定士が別々に見積もりをして、国土交通省の土地鑑定委員会が結果を審査し最終決定します。つまり、公示地価は国が公表する土地の価値であり、都道府県が調べる「基準地価」や国税庁などが算定する「路線価」とは調査方法が異なります。
不動産鑑定士とは
不動産鑑定士は、公示地価を評価するような不動産の価値を見定める専門家です。不動産鑑定士による「不動産鑑定評価書」があれば、不動産の価値を保障してもらえるため、不動産売買をするときにも役立つでしょう。不動産鑑定士の多くは不動産事務所に所属していますが、鑑定事務所と調べて探すことも可能です。
土地鑑定委員会とは
土地鑑定委員会は、不動産鑑定士による土地の評価を判定して公表する国土交通省の機関です。現在、委員は6名おり、1ヶ月か2ヶ月に一度委員を招集して直近の時価動向を調査しています。土地の価格以外にも、相続税や固定資産税の評価額を決める調査も行っています。
査定する土地は土地鑑定委員会が決める
評価する土地は、土地鑑定委員会によって選定されます。土地は利用状況や環境などさまざまな条件のもとで、エリアの中で標準的なところを選びます。価格を公示する土地は「標準地」と呼ばれ、全国約23,000ヶ所もある状況です。
公示地価は毎年更新される
公示地価を評価する時期は毎年1月1日時点で、地価公示法に基づき1月1日時点の標準地が評価されます。そして、公示地価を公表するのは毎年3月下旬です。このように、ほぼ毎年同じ標準地を鑑定して価格を公示するため、公示地価は地価の変動を把握しやすいメリットがあるといえます。
公示地価を調べる方法
公示地価は、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」で調べられます。ここでは、公示地価を調べる方法の詳細をまとめました。
土地総合情報システムを使う
公示地価は「土地総合情報システム」の『国土交通省地価公示・都道府県地価調査』から調べられます。表示される日本地図から都道府県、市区町村と選択していくと、調査年や住宅地・商業地などの土地の用途区分、地価を絞り込んで検索できます。
標準地の表記の見方
データで使用されている符号にはルールがあり、「標準地(基準地)番号」の欄の決まりは次の通りです。土地の用途区分をチェックしたい場合に参考にしましょう。
用途 | 符号 |
住宅地 |
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宅地見込地 |
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商業地 |
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準工業地 |
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工業地 |
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市街化調整区域内の現況宅地 |
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市街化調整区域内の現況林地 |
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林地 |
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参考文献:国土交通省「地価公示・都道府県地価調査の見方について」
建物の構造による表記の違い
土地の用途区分だけではなく、建物の構造の表記ルールもあります。
建物の構造 | 表記 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | SRC |
鉄筋コンクリート造 | RC |
鉄骨造 | S |
軽量鉄骨造 | LS |
ブロック造 | B |
木造 | W |
地上階層には「F」、地下階層には「B」という表記ルールや、建築中は「建築中」、解体中は「取壊中」、建物が撤去されている場合には「空地」と表示するルールもあります。
参考文献::国土交通省「地価公示・都道府県地価調査の見方について」
公示地価と関係するその他土地の評価
公示地価以外にも重要な土地価格の種類があり、それらは公示地価と関係しています。ここでは、公示地価と関係するその他の土地の評価について見ていきましょう。
実勢価格
実勢価格とは実際に取引された価格で、時価とも呼ばれるものです。土地の需要に対して供給が少なければ高くなり、供給のほうが多くなる状況であれば低くなります。また好景気の場合、土地は資産価値を認められて価格が上昇し、景気が悪くなれば下がります。
このように実勢価格はさまざまな要因によって大きく変動しますが、取引がなかった場合は公示地価などの公的データをもとに予想されることもあるため、公示地価と無関係ではありません。
基準地価
基準地価は各都道府県が選定した基準地の価格で、「基準地」は公示地価の「標準地」と同じ意味を持っています。公示地価では「都市部」「周辺の主要な土地」という縛りがありますが、基準地価の場合は公示地価の対象にはならない住宅地や商業地、工業地なども算定することが特長です。
また基準地価は、都道府県知事が重要だと判断する地点を基準地に選定するため、公示地価の標準地と重なることもあるでしょう。そんな基準地価は、1名以上の不動産鑑定士が基準地1平方mあたりの地価を、毎年1月と7月に鑑定して都道府県知事が公表します。
路線価
路線価は道路に価格を設定し、接している土地を評価するものです。相続税や贈与税などの税金を算定するために用いられ、次の2種類あることも特長です。
- 国税庁が公表している「相続税路線価」
- 市町村が固定資産税を計算する際に使う「固定資産税路線価」
また相続税路線価は、公示地価の約80%、固定資産税路線価は公示地価の約70%となっています。
最新公示地価のデータ
公示地価のランキングトップ10やワースト10などの最新データを紹介します。
公示地価のランキングトップ10
2020年に公表された公示地価のランキングトップ10は次の通りです。
順位 | 住所 | 変動率 | 公示地価平均(1平方mあたり) |
1 | 東京都中央区 | +7.62% | 857万79円 |
2 | 東京都千代田区 | +7.20% | 627万573円 |
3 | 東京都渋谷区 | +7.66% | 466万152円 |
4 | 東京都港区 | +8.73% | 404万7,926円 |
5 | 東京都新宿区 | +7.64% | 349万9,692円 |
6 | 東京都台東区 | +13.98% | 157万1,555円 |
7 | 東京都豊島区 | +8.86% | 156万7,054円 |
8 | 東京都文京区 | +7.93% | 128万921円 |
9 | 東京都目黒区 | +4.96% | 126万6,240円 |
10 | 東京都品川区 | +6.47% | 124万600円 |
ランキングトップ10すべてが、東京都の23区内でした。また、公示地価平均のトップは中央区で、変動率のトップは台東区です。
参考文献:Land Price Japan Inc.「公示地価 市町村ランキング 2020年」
公示地価のランキングワースト10
2020年に公表された公示地価のランキングワースト10は、次の通りです。
順位 | 住所 | 変動率 | 公示地価平均(1平方mあたり) |
1 | 北海道滝上町 | -3.58% | 2,050円 |
2 | 北海道歌志内市 | -3.75% | 2,600円 |
3 | 北海道下川町 | -0.65% | 3,366円 |
4 | 北海道夕張市 | -7.16% | 3,516円 |
5 | 北海道美深町 | -4.25% | 3,666円 |
6 | 群馬県嬬恋村 | -2.99% | 3,890円 |
7 | 北海道浜頓別町 | -3.48% | 4,050円 |
8 | 北海道上川町 | -4.38% | 4,100円 |
9 | 北海道興部町 | -2.29% | 4,550円 |
10 | 兵庫県佐用町 | -2.08% | 4,700円 |
ランキングワースト10の多くは、北海道の市や町という結果でした。
参考文献:Land Price Japan Inc.「公示地価 市町村ランキング 2020年」
公示地価の推移
不動産バブルの真っ只中だった時代においては、どのエリアも上昇傾向にありましたが、1991年のバブル崩壊によって公示地価は一気に下落しました。再び上昇傾向になるものの、2008年のリーマンショックによって再度下落し、東京五輪開催を決定した2013年以降は、東京23区のみ住宅地の単価は上昇傾向になりました。しかし、地方では、横ばいもしくは値下がりしている状況です。
公示価格を参考に査定を受けよう
所有している土地を売りたい場合は、公示地価を把握して査定を受けましょう。ここでは公示地価と査定額の関係や、査定方法についてまとめました。
土地の売却で公示地価は参考程度
土地を売買する際は、公示地価を知っていれば交渉するときなどに役立てられますが、売主・買主双方が合意することによって、土地売買の価格はいくらになっても問題ありません。そのためニーズのある土地の場合は、公示地価よりもはるかに高額でも売却できる可能性があるでしょう。
駅へのアクセスがよく、住宅環境として優れている土地はニーズがあります。周辺環境や治安、交通の利便性によって土地の価値は変動し、最寄駅やバス停への距離が徒歩5分以内であれば評価は高いです。また、近くに教育施設や病院があったり、スーパーなどの商業施設があったりした場合も、土地の価値は高くなる傾向にあります。その他、ニーズを集めやすい土地の特徴は以下の通りです。
- 高台で山や川の景観がある
- 道路から0.5~1m高い場所にある
- 低層の戸建て住宅が並んでいる
- 交通量が少なく閑静な場所にある
- 道路に対して南向きに接している
- 街路が区画整然と整備されている
こうした要素でも価格は変動するため、土地売却での公示地価は参考程度にとどめましょう。
査定で最新の価値がわかる
公示地価は、あくまでも1月1日時点での評価であり、土地の評価は一定ではなく流動的でもあります。そのため公示地価を参考にしても、これから売れそうな価格がわかるとは限りません。「直近のデータを知りたい」と悩んでいる場合は、不動産会社に査定依頼することで解決できるでしょう。
査定方法には「簡易査定(机上査定)」と「訪問査定」の2種類あります。「簡易査定(机上査定)」は、不動産所有者に対して行なったアンケートや、複数のデータなどを参考にしながら査定額を算出する方法で、実際に現地に足を運んで不動産を確認することはありません。
一方「訪問査定」は、不動産会社の調査員が現地に足を運んで査定額を決定する方法で、不動産の詳細を調べるからこそ、より正確な査定結果を得られるメリットがあります。いずれにしても土地を売買する前は、査定で最新データをチェックしておきましょう。
不動産査定方法を解説した記事も合わせて読むと最新価値を知るのに役立ちます

複数社での査定で相場の調査ができる
土地には「定価」というものがなく、査定を依頼する不動産会社によって金額が異なります。そのため売買前に、複数社での査定結果を比較することが重要です。
複数社に査定依頼する際は、不動産一括査定サイトを活用しましょう。不動産一括査定サイトは、不動産の相場を把握できるだけではなく、1社ずつ電話をかけたりメールを送ったりする必要がないため、査定依頼に手間がかからないメリットもあります。
査定後に不動産会社から営業の電話がかかってきたり、サイトによって提携している不動産会社が異なったりするデメリットもあるものの、すべてのサービスを無料で利用できるため、土地を売却したい場合は積極的に活用しましょう。
一括査定を使うメリットと有効な使い方を解説した記事はこちら

おすすめの一括査定サイトは「すまいステップ」

- 初めてで不安だから実績のあるエース級の担当者に出会いたい
- 厳選された優良不動産会社のみに査定を依頼したい
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スムーズに高く土地を売却する3つの方法
スムーズに高く土地を売却する方法は次の3つです。
- 期間に余裕をもって土地の売価を始める
- 実績のある不動産会社に売却の仲介を頼む
- 土地の手入れをしておく
できるだけ高く売りたい場合に役立てましょう。
期間に余裕をもって土地の売価を始める
土地売却を任せる不動産会社を選んで販売活動を進めて、買主に引き渡すまでにはおおよそ6ヶ月かかります。このように土地売却にはある程度の期間が必要なため、できるだけ時間的な余裕を持ちましょう。
期間に余裕のない場合は、購入希望者からの交渉によって本当に売りたい価格ではなくても、承諾しなければならないケースも起きかねません。よって、無理な値下げに応じずに購入希望者を探したい場合は、期間に余裕を持ちましょう。
実績のある不動産会社に売却の仲介を頼む
仲介で土地の売買を進めるのは不動産会社です。そのため、実績のある不動産会社を選定することによって、土地の長所をうまくアピールしてくれて、すぐに売却できるかもしれません。実績の有無は、その会社のホームページをチェックしてみましょう。
また担当してくれるスタッフが、信頼できるかどうかを見極めることも重要です。宅地建物取引士の資格を取得していれば、不動産取引に関する専門知識を有しているため、安心して任せられるでしょう。また、査定依頼した際に査定額の根拠をしっかりと説明し、納得させてくれる会社であれば信頼度は高いといえます。
良い不動産業者の選び方を取り上げた記事もおすすめ

土地の手入れをしておく
「ゴミが放置されている」「雑草が伸びっぱなし」という土地の場合は景観が悪く、値引き交渉の要因となります。あまりにひどい状態の場合は、購入する人が現れないリスクもあります。
そのため、土地の手入れをすることは非常に重要です。きちんと手入れがされていれば、購入希望者に好印象を与えることができて売却につなげられます。土地の手入れの方法などを詳しく知りたい場合は、不動産会社に相談してみましょう。
土地売買時の悩みに寄り添ってくれる専門家について解説した記事はこちら

まとめ
公示地価とは国が公表する土地の価値のことで、不動産鑑定士が土地の価値を査定し、査定する土地は土地鑑定委員会が決めます。そんな公示地価を調べるためには、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」を利用しましょう。最新のデータでは、東京都内の公示地価がもっとも高く、北海道の市や町がランキングワースト10にランクインされていました。
土地を売買する際は、公示地価を知っていれば交渉するときなどに役立てられますが、業者に査定依頼すれば、公示地価よりもはるかに高額で売却できる可能性もあります。実績のある不動産会社に売却の仲介を依頼することで、失敗するリスクも避けられるでしょう。公示地価を把握して、正しく賢く土地を売却しましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
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