耕作放棄地とは?農地が放棄される問題や対策、支援などを徹底解説!

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みなさんは「耕作放棄地」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。現在日本では、農業従事者の高齢化や若者の農業離れなどさまざまな理由によって作物が栽培されていない農地、つまり耕作放棄地が増加しており、問題となっています。

耕作放棄地が増えるということは、農地や農業従事者の減少に繋がり、それらは日本の食料自給率とも深く関わるため、大変深刻な問題です。そのため、国も耕作放棄地解消に向けた対策や支援策を打ち出し、耕作放棄地の活用を提案しています。この記事では、耕作放棄地の原因や問題点、また国の対策や支援策について紹介しますので、どのようにすれば、耕作放棄地を活用できるのか、一緒に考えてみましょう。

耕作放棄地とは

農林水産省では、耕作放棄地を「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を栽培せず、しかもこの数年の間に再び耕作する意思のない土地」と定義しています。耕作の意思はあるが、何らかの理由があって耕作を行っていない土地は、少なからず耕作を行っている土地や、今後耕作する見込みがあるため、放棄しているわけではないとみなされ「休耕地」として分類されます。

これは、5年ごとに行われる農林業センサスによって、規定されます。農林業センサスとは、農林業の生産構造や農山村地域の土地資源などの実態と変化を明らかにし、農林業施策の推進を行うための基礎資料となる統計のことをいいます。

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耕作放棄地となった原因

元々作物を栽培していたにもかかわらず、それを辞め、土地を放棄してしまう理由とは何があるのでしょう。ここでは、耕作放棄地の主な原因を4つ紹介します。

農業従事者の高齢化

農作業は、身体に負荷がかかるため高齢になると、続けるのが難しいという人もいます。農業センサスによれば、主に農業で生計を立てている農業従事者のうち、65歳以上の割合は63.5%であり、30年前の3.3倍にも増加しています。

農業従事者の不足

農業従事者の高齢化が進み、リタイアする人が増える中、その農地を継いでくれる人がいれば良いのですが、残念ながら新たに農業の従事する人も減っており、後継者不足が深刻化しているのが現状です。また何もない状況から、農業を始めようとすると、土地の確保や農業用の機械などで高額な初期投資が必要なことも少なくないため、新規参入が難しいと敬遠されている問題もあります。

農産物の価格が低く利益が出ない

日本の農業総産出額は、生産量の減少や価格の低下等により、1984年の11兆7千億円をピークとして、農業所得が最大となった1990年には11兆5千億円、2000年には9兆1千億円と減少を続け、2008年には8兆5千億円となりました。農産物価格が低迷し、利益の上がる作物が作れないと、農業を続けていくことだけでなく、生活を送るのも難しくなってしまうため、農業を辞めてしまう人もいます。

以下の参照元で日本の農業総産出額をグラフにしたものがあります。

<参照元:農林水産省「生産農業所得統計」

鳥獣などに荒らされたため

野生鳥獣による農作物被害は、平成30年度が約158億円と6年連続で減少傾向にはありますが、被害金額は依然として高く、特に中間・山間農業地域では被害額が大きくなっています。このことは農家の意欲の減少にも繋がっており、減少しているとはいえ、その被害金額以上に深刻な影響を及ぼしています。また、鳥獣だけでなく、台風や日照不足、冷害などの災害によっても農作物被害がもたらされることがあります。

耕作放棄地の問題点

前述したように、耕作放棄地はさまざまな原因で年々増加傾向にありますが、耕作放棄地が増えるとどのような問題があるのでしょうか。ここでは、耕作放棄地がもたらす問題点についてまとめました。

田畑が荒れる

農地として利用しないとしても、土壌の質を維持するためには適切な管理が必要となります。耕作放棄地となり、農地として手入れをしなくなると、土壌はどんどん荒れて、必要な栄要素が失われてしまいます。放置する期間が長くなればなるほど、荒れ方がひどくなるため農地に戻すのに時間がかかり、難しくなってしまうでしょう。

雑草が生え、鳥獣が住み着く

土地を農地として利用されている間は、収穫する農作物に害虫がついたり、作物の栄養が雑草に吸収されて成長が阻害されないよう、害虫や雑草の対策をすることでしょう。しかし放棄されてしまった農地は、あっという間に雑草が生い茂り、農業に害をもたらす虫が棲みやすい環境になってしまいます。

また、中間山地の場合は、人が出入りしないと畑を荒らす野生動物が田畑に住み着いたり荒らしたりしてしまいます。耕作放棄地が野生動物の棲家になってしまうと、そこを拠点に他の畑を荒らされてしまう可能性もでてきます。

災害の危険性

実は農地には、洪水防止という機能があります。そのため、農地の優れた貯水機能を利用して、あぜに囲まれている水田や水を吸収しやすい畑の土壌に、計画的に雨水を貯留することによって、洪水対策として利用している取り組みもあるのです。しかし、耕作放棄地となってしまうと、農地が持つさまざまな機能が失われ、洪水の発生がおさえられなくなってしまいます。

近隣の他の農地に悪影響

先ほど説明したように、農地を放置してしまうと、雑草が生えて、そこに害虫や鳥獣も現れやすくなり、隣接しているもしくは近くの農地へも被害が及んでしまう可能性があります。

また、農地の用水路の管理がなされていないと、不法投棄が増える原因にもなってしまいます。不法投棄は、自然界への悪影響が懸念されるなど、さまざまな悪影響が懸念されるため、近隣の民家や住民にまで被害を与える恐れがあり、生活に影響を及ぼす問題となっています

農地集積を阻害する

効率的かつ安定的な農業経営をする人に農地の所有権や耕作権を集約させることを「農地集積」といいます。耕作放棄地の地域にある農業をしている人が、農地の集積を考えることもあるでしょう。そのときに農地が荒れていれば、農業を営む人はその土地で農業はしたくないと思ってしまうものです。そうすると、集積がうまく行かなくなってしまいます。

他の耕作を行わない農地との違い

耕作放棄地以外の耕作を行わない農地として、「遊休農地」・「荒廃農地」・「不作農地」の3種類があります。ここでは、それぞれの農地の特徴を紹介します。

遊休農地

「遊休農地」は、農地法で以下のように定義づけられています。

  • 現に耕作の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地
  • その農業上の利用の程度がその周辺の地域における農地の利用の程度に比し、著しく劣っていると認められる農地

「利用の程度が著しく劣っている」というのは、自分で食べる分だけの耕作をしている場合など、わずかに栽培を行っているといったパターンが適用されます。農地を利用してわずかだけど耕作をしている場合には「遊休農地」に分類されますので、全く栽培していない「耕作放棄地」とは少し違います。しかし、実際には耕作放棄地も遊休農地も同じ意味で使用されていることが多いです。

荒廃農地

荒廃農地とは、農林水産省の「荒廃農地の現状と対策について」において、「現に耕作に供されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地」と定義されており、毎年の市町村・農業委員会調査の現地調査による客観ベースで判断されています。耕作放棄地は農地の保有者の判断によって、耕作放棄地だと認められるため、その点において、違いがあります。

また、農林業センサスでは5a未満の農地を所有する世帯の農地は集計対象ではないため、耕作放棄地には5a未満の農地を所有する世帯の耕作放棄された農地は含まれませんが、荒廃農地には5a未満の土地も含まれるという点でも異なっています。

不作付地

農業センサスにおいて、調査日以前1年以上作付けしなかったが、今後数年の間に再び耕作する意思のある土地は不作付地といわれ、経営耕地に含まれます。今後数年の間に再び耕作する意思があるという点で、耕作放棄地とは異なっています。

耕作放棄地への対策や支援策

耕作放棄地は年々増加し続けていますが、前述したように、耕作放棄地があることでさまざまな問題が発生してしまいます。そこで、国は耕作放棄地に対してさまざまな対策や支援策を打ち出しています。ここでは、それらの紹介をしていきます。

農地中間管理機構の対策

農地中間管理機構は耕作放棄地を借りて、借り手が見つかれば、まとめて借り受けた農地を貸し付ける役割をもち、農地と借り手の仲介役として、借り手が見つかるまでは責任を持って農地を管理してくれます。

長年放棄されたために荒れてしまった農地があれば、必要に応じて管理機構が手入れをを行うことで、農地利用の集積をスムーズに進めることが可能です。また、これら業務の一部は市町村に委託され、それによって、地域一帯が協力して耕作放棄地解消を推し進めていくことができます。

中山間地域等直接支払制度

中山間地域は平地に比べて、森林が多く、まとまった農地が少なく急傾斜地が多い等、立地条件が悪いため、農業の生産条件が不利な地域とされています。当然生産条件が不利であれば、農産物の利益が出にくく、耕作を辞めてしまう人もいることでしょう。

そこで、中山間地域で耕作放棄をさせないために農業者等に交付金を支払う中山間地域等直接支払制度ができました。条件としては、中山間地域等で、傾斜が急である等の農業生産条件が不利な農地で、5年以上農業生産活動を営む農業者等に耕作面積に応じて交付金等が支払われるというものとなっています。

農業再生用機器等の貸し出し

自治体によっては、農地の保全や管理のために自走式草刈り機や鳥獣撃退超音波発生機等、必要な機器の貸し出しを行っているところがあります。また、地域の保全活動または耕作放棄地の再生を目的とする組織的活動を行う際には、利用料が免除になる場合があります。

耕作放棄地対策モデル地区の設定

実証ほ場とは、農業において栽培方法や農産物の管理などの実証実験を行う水田や畑のことをいいます。耕作放棄地対策モデル地区では、耕作放棄地対策のために、自治体が主体となり、地域の農家と一緒になって、国の交付金を活用した再生事業が実施されています。

この活動の目的は、その地域の名産物やその場所で育てやすい作物の栽培管理方法等について実証実験を行い、効率化や労力軽減を目指すというものです。また、この検証結果を地元の若手農業従事者に中心に宣伝することで、農業経営者の意欲の向上させるという意図もあります。

耕作放棄地再生工事

一度荒廃してしまった農地は、そのままでは再利用が難しいため、荒れた土地に重機を投入し、障害物の除去や整地を行うことで、耕作放棄地の再生利用を促進し、新たな担い手につなげる耕作放棄地再生利用事業を進めている地域もあります。

主な内容としては、耕作の引き受け手が農業生産再開に向けた条件整備に取り組みやすくなるように、重機を用いた障害物除去や整地、肥料の投入に要する耕作放棄地再生工事にかかる経費の助成や、当該耕作放棄地で利用する農業用機械のリース等の施設等補完整備にかかる費用の助成を行うなど、耕作放棄地を再生利用する取り組みを総合的に支援する取り組みが挙げられます。

企業的農業経営推進支援モデル事業

農業従事者の高齢化が進み、働き手不足や耕作放棄地の増加が不安視される中、農業が発展していくためには、個人の力だけでなく、農業生産法人や企業の力が必要という観点から、農業生産法人や企業などに参入してもらい担い手を増やす取り組みがあります。農地の有効活用をするとともに、生産から流通、販売までを行うことにより、地域所得の増加を促すことも可能になります。

耕作放棄地を活用した例を紹介

前の見出しで、耕作放棄地を解消するための国の対策や支援策を紹介しましたが、ここで、実際に耕作放棄地を有効に活用した例を紹介します。

茶園の再生

まず、宇治茶の主産地として知られる京都府和束町の事例です。和束町でも、茶畑の耕作放棄地が問題となっていましたが、この耕作放棄地を利用して茶葉の生産をした人たちは、自然栽培ができるという利点を見いだしていました。耕作放棄地は長い期間人の手が入らなかった分、農薬の飛散がなく、自然と無農薬栽培状態になっていたため、農薬を使うことなく、良い茶葉の栽培をすることができました。

また、耕作放棄された茶園には在来種が残っていることもあるようです。現代では在来種の、環境ごとに味わいが異なる特徴が付加価値になるため、これも耕作放棄された茶園で茶葉を栽培する利点といえそうです。

耕作放棄地に景観植物を植えて解消

次に奈良県の事例です。耕作放棄地にひまわりやコスモス、蓮華、すいせんなどの植物を植えることによって、耕作放棄地の解消に繋げるという取り組みです。植物を植えることによって、土壌の質や農地を維持し、周辺の農地に悪影響を与える心配もありません。また、農地として再利用したいという場合にも、すぐに利用することが可能です。さらに、植える土地の規模によっては、観光客も見込むことができます。

再生利用による生産拡大

最後に、神奈川県相模原市の事例です。これらは、相模原市緑区長竹などにおいて、地域の認定農業者が耕作放棄地を借り受け、大豆栽培のための農地として再生利用したことで、地域の特産品であった「津久井在来大豆」の作付面積が約1割も増加したというものです。

また、同市の緑区寸沢嵐地区では、農産物の生産・加工・販売を一体的に行う青年就農者が耕作放棄地を借り受け、バラやサフランなどの食用フラワー栽培のためのほ場として再生利用をしています。農地としての利用を再開することにより、良好な田園風景が見られ、景観の保全にも繋がっています。

まとめ

いかがでしょうか。現在日本では耕作放棄地が増加しており、問題となっているため、国も耕作放棄地の解消に力を入れており、支援策が充実しています。支援策は自治体独自のものも多いため、対象者であるか、また支援を受けられる要件は何なのかをしっかりと確認しましょう

この記事でも紹介したように、耕作放棄地を有効活用する方法によっては、新たなビジネスを始めることも可能です。耕作放棄地は長年人の手が加わっていなかったということもあり、耕作ができるようになるまで、時間を要する場合があります。また、環境によっては、耕作に適さない農地であるということもあるでしょう。事前に現地の事前調査を行い、再生利用の計画を立ててから、取り組むことが大切です

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