土地を売却するなら誰でも高値で取引したいと考えるものです。しかし建物などの一般的な不動産と違い、土地売買では境界の確認や整地をするかしないかなどに加え、法律や税法などある程度の知識をもった上で適切な処置が必要となり、不動産売買の初心者には少しハードルが高いでしょう。その難しい土地売買において、より高く売却を成功させることはさらに困難なものに感じてしまいますね。
本記事では、土地売却で行うプロセスを3つに分け、土地を高く売るために押さえておきたいポイントをその行程ごとに詳しく解説していきます。これを押さえておけば、不動産情報に明るくない方でも不安なく、土地の高額売却を目指せるでしょう。
土地を高く売る1つ目のプロセス:事前準備の徹底
土地の売却をスムーズに行うために、自分の売却する土地に関する情報を把握しましょう。土地売却に時間がかかりすぎてしまうと、それだけ収益も減ります。よりスムーズで、良い交渉を行うために必要な手順が以下になります。
- 売却理由を明確にする
- 自分で土地の相場を調べる
- 土地の境界を明確にする
- 土地の情報を収集する
- 土地周辺の情報を収集する
物件の強みや弱みを知ることで、購入希望者へ適当なアピールをすることができ、交渉段階でのトラブルも軽減できます。
土地の売却理由を明確にする
売却理由が明確である場合、さまざまなやりとりがスムーズになります。
不動産会社の担当者とのやりとりの際に、売却理由が明確であれば、相応の価格交渉や売却スケジュールを立てることができます。手間や時間をかけずに土地の売却をおこなうことが、コストダウンにつながります。
また購入希望者に売却理由を伝える場合には、前向きな理由を伝えるようにしましょう。売却の理由が離婚やローン返済が苦しくなったためという場合でも、「住み替えのため」と伝える方が、買い手はポジティブに考えることができるはずです。
ただし、その後の信用問題に響き、売却に支障をきたす可能性が高くなるので、嘘を伝えることは絶対にやめましょう。
自分で土地の相場を調べる
土地の相場価格を調べることで、相応の価格交渉が可能になります。不動産売却において、価格設定がもっとも難しいプロセスのひとつです。土地の相場は、家の向きや立地のほか、敷地の形状・面積、周辺環境や道路条件が、土地の価格を左右する代表的な要因として挙げられます。
土地相場を調べるうえで参考にできる資料として、公的機関が発表している地価があります。
名称 | 発表元 | 基準日 |
公示地価 | 国土交通省 | 毎年1月1日 |
基準地価 | 都道府県 | 毎年7月1日 |
路線価 | 国税庁 | 毎年1月1日 |
固定資産税評価額 | 都および市町村 | 3年に一度1月1日 |
公示地価
公示地価はその土地の正確な価値を判断する基準となる地価で、毎年1/1時点の数値が3月中旬に発表されます。都市およびその周辺の地域に限定しています。
基準地価
基準地価は発表するのが都道府県となり、毎年1/1時点の数値を7月に発表しています。地域を限定せず、山地や森林地帯に関しても評価します。
路線価・固定資産税評価額
路線価・固定資産税評価額は、主に税金額の算出に用いられる数値であり、土地の売却価格には直結しない数値になります。価格自体も公示価格や基準価格よりも低めの数値となるため、税金計算以外では参照する必要はありません。土地売却の際に参照すべきは公示地価と基準地価になります。
実勢価格
実勢価格という単語も耳にするかと思います。実勢価格とは、実際の土地売買取引で用いられた価格のことであり、土地の価格設定にはもっとも有効な価格ということもできます。実勢価格は、その売買取引において、売り手と買い手が納得した金額ということになりますので、こちらもぜひ参照しておきましょう。
これらの地価に関しては、いろいろなところで確認することが可能です。地価を検索する際に便利なサイトが以下になります。
- 土地総合情報システム
- 全国地価マップ
- 不動産会社のポータルサイト
- 国土交通省の標準地・基準地検索システム
土地情報総合システムは国土交通省が運営しているサイトですので、その年の正確な公示地価が確認できます。また同ページ内の不動産取引価格情報検索からは、直近の実勢価格も確認できます。こうした情報はご自宅でもPCやスマホがあればすぐに検索できますので、まずはご自身が持つ土地の価値、相場について確認しておきましょう。
土地の価格を正しく評価することに関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので確認してみましょう。
マイナビニュース「不動産(土地)の正しい価格とは 査定書の価格は適正なのか?」
土地の境界を明確にする
土地のみを売却する場合、トラブルの元となるのが境界です。境界とはもちろん、隣地や道路との境目、境界線ということになります。そもそも境界がはっきりしていないということは、その土地の正確な大きさが確定できていないということであり、土地の売却において不利な要素となってしまいます。
境界を確認するには、法務局の窓口で地積測量図が存在するかを確認しましょう。地積測量図とは、その土地の大きさを証明する図面となり、当然のことながら境界も確定している図面です。しかし、土地によっては地積測量図が存在していないケースがあります。この場合は、ご自宅に確定測量図と境界確認書があれば、土地の大きさや境界の位置を確定できているということになります。
確定測量図と地積測量図の違い
- 地積測量図は法令に沿って作られた測量図であり、線の太さまで明確な決まりがある中で作成され、法務局で管理されています。
- 確定測量図は、土地家屋測量士によって計測された図面で、土地の所有者が保管している私的な図面となります。
書類名 | 保管場所 | 特徴 |
地積測量図 | 法務局 取得手数料450円 |
土地の大きさ、境界を公的に定めた書類 |
確定測量図 | 土地所有者保管 | 個人が土地家屋調査士に依頼し作成した図面。公的性がなく、境界の証明には境界確認書が必要 |
境界確認書 | 土地所有者保管 | 隣地所有者の記名・押印がある土地の境界を確認した書類 |
確定測量図も正確な図面ではありますが、公的に認められている図面ではないため、確定測量図を利用する場合には境界確認書が必要になります。境界確認書とは、確定測量図を元に計測した境界について、隣接地の所有者とともに確認し、両者が納得している確認書となります。
地積測量図、確定測量図、境界確認書などが何もない状態であれば、ご自身で測量を依頼しなければいけません。土地家屋調査士に作成を依頼しますが、作成には3ヶ月ほど時間が必要です。土地の売却準備をする場合、もっとも時間がかかる作業の一つになりますので、できるだけ早めに動き出すようにしましょう。
ちなみに、土地売却にあたっての測量には、確定測量と現況測量があります。確定測量は上記の通り、地積測量図と同様の内容が示されていますが、現況測量は、図面や土地の目視から大まかな土地の大きさを定める測量であり、おおよそどの程度の大きさの建物が建てられるかが確認できる程度の測量になります。
土地売却の際の書類としては現況測量では不十分とされることが多く、土地取引はできるものの、その分価格が安くなる傾向があります。土地を高く売却するためには、確定測量図の作成をおすすめします。
測量を行う場合の費用
土地の測量は土地家屋調査士に依頼しますが、その土地の大きさや形、隣接する土地の所有者の数、隣接地が官地か民地かにより大きく変動します。おおよその目安ですと、確定測量で100㎡あたり30~70万円程度、現況測量で10~30万円程度と言われています、また、確定測量した図面を、地積測量図として法務局に投棄する場合は、登記料金として20~30万円ほどかかるのが相場です。
測量方法 | 100㎡あたり |
確定測量 | 30~70万円 |
現況測量 | 10~30万円 |
土地の情報を収集する
土地の土壌や地盤を詳しく知ることで、より良い交渉を行うことができます。日本は台風や大雨、地震など自然災害が多いため、地盤が土地の価格を左右する要因になります。
まずは、その土地に何が建っていたのかを調べましょう。仮に以前化学工場やガソリンスタンドが建っていたとなると、土壌にその影響が残っている可能性があります。こういった場合は費用をかけても土壌調査や地盤調査を行うのがおすすめです。
万全な調査が必要である要因の1つが、瑕疵担保責任です。土地を売却した場合、売却後に何かその土地に瑕疵(不備・不安要素など)があった場合、それを取り除くのは、たとえ売却後でも売り主の責任となります。どのような土壌・地盤かわからない土地だった場合、買い手がその特記事項に同意する可能性は低くなります。
土地を高く売りたいのであれば、その土地がどのような土地か、どのように使われてきたか、どのような土壌・地盤かを事前に調べておくことがおすすめとなります。ちなみに土壌調査と地盤調査の費用相場は以下の通りになります。
調査内容 | 費用相場 |
土壌調査 | 100㎡あたり 30~150万円 |
地盤調査 | 5~30万円 |
土地周辺の情報を収集する
土地の売価設定に大きな影響を与えるのは、土地のサイズや土壌・地盤だけではなく、土地の立地も重要です。
単純にその土地にマイホームを建てると考えれば、その土地の周辺の情報も大きなアピールポイントとなります。周辺のスーパーのチラシや、飲食店のパンフレットなど、その土地周辺が魅力的であることを、住民の目線で紹介できる材料を持っておきましょう。
ただし、これらの細かい情報は、売却において中心的なアピールポイントではありません。前面に出すのではなく、その土地に興味を持ち、交渉の場についてくれた買主が求めるようであればすぐに提示できるように確保しておくというイメージがいいでしょう。
土地を高く売る2つ目のプロセス:不動産会社選びは慎重に
土地の状況にあった専門性や対応をしてくれる不動産会社を選ぶことは、売却するうえで重要なポイントのひとつです。不動産会社を選ぶ際に気を付けることや探し方、そして契約方式を次で見ていきましょう。
不動産会社は複数社を比較して決める
これはどのような契約でも同様ですが、不動産会社との契約も複数の会社に問い合わせ、条件を比較して最良の不動産会社と契約することが大切です。複数の不動産会社を比較する際のポイントをいくつか紹介しておきます。
- 土地の査定額
土地をより高く評価してくれた会社を選びましょう。
- 担当者の人柄
土地をより高く評価してくれた会社を選びましょう。
- 不動産会社の得意分野
マンション、戸建て、新築、中古、土地、工場用地、農地、商業用地など、不動産にはいろいろな種類があり、不動産会社にも得意分野があります。居住用の土地売却に強い不動産会社を見極めましょう。
不動産会社を探すには、不動産一括査定サイトがおすすめです。必要な項目を一度入力すれば、同時に複数の不動産会社に査定依頼を出すことが可能です。その返答を参照に、2~3の不動産会社に絞り込み、実際に話を聞くようにすると効率のよい不動産会社探しが可能になります。
不動産会社の選び方は以下の記事で詳しく解説していますので、参考までに確認しておきましょう。

おすすめの一括査定サイトは「すまいステップ」

- 初めてで不安だから実績のあるエース級の担当者に出会いたい
- 厳選された優良不動産会社のみに査定を依頼したい
- 悪徳業者が徹底的に排除された査定サイトを使いたい
\ 厳選した優良会社に査定依頼 /
すまいステップで一括査定する
その他の一括査定サイトや選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

自分の土地に合った媒介契約を結ぶ
不動産会社を絞り込めたら、いよいよ契約です。土地を売りたい場合は、不動産仲介業者と媒介契約を結ぶことになります。この媒介契約には3つの種類があります。どの契約を選ぶかは、お持ちの土地の状況や売り主の事情によって決めることになります。
まずは、3つの契約の名称と、その特徴を確認しておきましょう。
契約種類 | 複数社への業務依頼 | 自己発見取引 | 有効期限 | レインズへの登録義務 | 業務処理状況の報告義務 |
専属専任媒介契約 | × | × | 3ヶ月以内 | 〇 | 〇 |
専任媒介契約 | × | 〇 | 3ヶ月以内 | 〇 | 〇 |
一般媒介契約 | 〇 | 〇 | 自由 | 任意 | 任意 |
まずわかりやすいのが、一般媒介契約とそのほか2つの契約の違いです。
一般媒介契約
複数の不動産業者と結ぶことができます。複数社と契約するといっても、不動産会社に支払うのは仲介手数料ですから、支払いが必要になるのは売却を仲介した1社のみですのでご安心ください。一般媒介契約は不動産会社が共有する不動産情報システムレインズへの登録や、業務状況の報告が任意になります。契約期間も双方が了承すれば無期限です。
専属専任媒介契約と専任媒介契約
1社としか結べない契約になります。契約期間の上限は3ヶ月であり、レインズへの登録、業務状況の報告義務も発生します。この2つの契約の差は、「土地の持ち主が見つけてきた買い手との取引」が可能かどうかです。
専任媒介契約の場合、土地の持ち主が買い手を見つければ、不動産会社を通さずとも売買契約を結ぶことが可能ですが、専属専任媒介契約の場合はそれができません。正確に言うと、自力で見つけた買主に土地を売却をすること自体は可能ですが、その売買契約の際も不動産会社に仲介してもらわなければいけないという契約になります。
どの契約がベストかは状況次第です。すぐに買主が見つかりそうな土地の場合は、顧客への窓口を広げるためにも一般媒介契約が有利になります。
反対に、売却に苦労しそうな土地の場合は、ほかの2つの契約のほうが有利でしょう。理由は1社との専属契約にあります。不動産会社としては、専任契約を結んだところで収入はありません。契約期間内にその土地を売り、仲介をして初めて仲介手数料を得ることができます。そのため契約期間中は、必死にその土地を売ろうと努力をしてくれます。
専属専任媒介契約にするか、専任媒介契約にするかは、自身で買い手を見つける可能性があるかどうかで判断しましょう。親族や知人がその土地に興味を持っているようであれば、専任媒介契約にしておくと、仲介手数料なしで売買ができる可能性があります。友人、知人、親族などが購入する可能性がないのであれば、専属専任媒介契約にして、不動産業者に任せるのが、もっとも手間のかからない方法になります。
「土地を高く売る」という視点で考えれば、一般契約はあまりおすすめできません。ひとつの不動産会社としっかり話し合い、販売計画を練り上げるのがおすすめです。
土地を高く売る3つ目のプロセス:土地に合わせた販売戦略を
土地の状況を把握し、不動産会社も決めたら最後に売却活動です。実際に広告宣伝を行うなど、販売活動自体は契約した不動産会社が代行しておこないますが、土地の所有者として以下の手順を積極的に行うことが、土地販売での利益につながります。
売値は値引き交渉分も考慮して決める
値引き交渉がおこなわれることを前提に、売り出し価格を決めましょう。納得のいく交渉を行うためにも、あらかじめ販売価格を熟考しておくことが大切です。
まずは不動産会社の査定価格をもとに、最大ここまで値引き可能という価格を設定しておきましょう。そして売り出しの際は、その価格に少し上乗せした価格で売りに出すのがポイントです。最低売却価格とのギャップを作っておくことで、売買交渉の際値引きという手が使えることになります。
また、売りに出しても問い合わせがなかった場合、表示価格を値引きするという手段も使えます。仮に3,000万円の土地でも、表示価格が3,000万円の土地よりも、表示価格3,300万円から300万円値引きして3,000万円の土地のほうがお得感が増します。
ここで注意すべきは、最初に提示する価格が、あまりにも周辺の相場より高くなるようなことがないようにすることです。こちらが地価の相場を調べられるということは、買い手も簡単に相場を調査することができます。あまりに高い価格での提示はマイナスの印象になりかねませんので気を付けましょう。
土地は綺麗な状態にしておく
販売予定の土地は、きれいな状態をキープしておきくことが基本です。土地の場合も雑草やゴミが散乱しているようでは、買い手への印象が悪くなります。
また、土地によっては雑草などで土地の境界を表す杭が見にくくなったりする可能性があります。購入希望者の見学に備えて、できるだけ美しい状態をキープしておきましょう。
古屋は取り壊さない
これは意外に思われる方もいるかもしれませんが、その土地に建物が建っている場合、建物は取り壊さずに売りに出すと双方にいくつかのメリットがあります。
買主のメリット・デメリット
- 買主のメリット
・その建物をそのまま利用できる可能性がある
・後に建物を建て直すとしても、どの程度の広さの家が建てられるのかをイメージしやすい
・住宅ローンは建物を建てるためのローンであり、土地(更地)を購入する際には厳密にいえば利用できない。しかし、そこに建物があることで、住宅ローンを利用できる。土地のみを購入する際のローンは住宅ローンよりも金利が高い傾向にあるため、建物があるのは大きなメリット。
- 買主のデメリット
・建物の状態によっては修繕や点検費用がかかる。解体した方が良い場合は解体費用も考えなくてはならない。
売主のメリット・デメリット
- 売主のメリット
売却するまでの税金が安くなる。土地には固定資産税や都市計画税が課税されるが、この2つの税金は建物があるかないかで大きく変わる。住宅用地に居住用の建造物がある場合、固定資産税は1/6に減税。つまり建物がある状態から更地にすることで、固定資産税が6倍になる。
- 売主のデメリット
・その建物の解体資金を加味して、値下げ交渉をされる可能性がある
・瑕疵担保責任を負わなければいけない。建物に対する瑕疵担保責任は、その建物の耐用年数次第で免責にもなるが、そうでない場合はリスクになる。
メリットとデメリットを比較すると、やはりそれでもメリットの方が大きいため、基本的には建物ありで売りに出し、それでも売れなかった場合に初めて解体を考えるのがいい選択かもしれません。
広い土地は分割・狭い土地は隣地追加して売る
居住地用の土地は広すぎても、狭すぎても、使いづらくても売りにくいものです。そこでどうしても売りにくい土地は、分割・追加しての販売も視野に入れましょう。
広すぎる場合
土地を分筆して販売することで買い手がつく可能性があります。「筆」とは土地を数える際の単位であり、ひとつの土地を複数に区切る、分けることを分筆と言います。分筆を行う場合は、測量を行い、土地の登記を変更する必要がありますので、まずは土地家屋調査士など専門の会社に相談してみましょう。
土地が狭い・使いにくい場合
周囲の土地を購入して広げる、使いやすくするという方法があります。土地の使いやすさとは、その土地の形であったり、道路に設置しているかどうかで判断をします。
土地を売るのに買い足してしまっては利益が少なくなるのでは?という疑問もあるかもしれませんが、隣接した土地を購入する場合、1+1=2という計算にはならないものです。買い足したことで土地の形がよくなる、使いやすくなれば、1+1が5にも10にもなる可能性があります。また、持っている土地では少し手狭だったのが、隣接地を購入することでアパートやマンションが建てられるサイズになることもあります。
ただしこのあたりの判断は、一般の方には難しい判断となります。土地家屋調査士や不動産会社、不動産投資会社など、専門家の意見を参考にするようにしてください。
売れない土地は不動産会社の買取を検討
土地を高く売ることを目指したものの、値引きしてもなかなか売れない場合は、個人顧客ではなく法人顧客に販売する方法もあります。いわゆる不動産売買業者への販売です。土地を不動産業者に販売する際の注意点などについてまとめていきましょう。
土地の買取とは
土地の買い取りは、不動産会社がその土地を買ってくれるということです。この不動産会社による買取には2つのケースがあります。それが即時買い取りと買取保証です。この2つの違いを簡単に説明していきましょう。
- 即時買い取り
文字通りその場で不動産会社に買い取ってもらう方法。
- 一方買取保証
一度はその土地を売りに出し、一般の顧客が見つかればその顧客に販売しますが、契約期間内に売れなかった場合は、不動産会社が買い取ってくれる契約になる。
土地買取のメリットとデメリット
買取・買取保証のどちらも、最終的に確実に売れる方法ですが、それぞれメリットとデメリットがありますのでそのあたりを説明していきましょう。
不動産会社に土地を買い取ってもらうメリット
- 確実に売れる
- 仲介手数料が無料になる。
- 売却が早い・期限が決定している
不動産会社に土地を買い取ってもらうデメリット
- 販売価格が安い。不動産会社が買い取る場合、実勢価格の6~7割。自社で安く買い取り、より高額で売りに出すという可能性もある。
不動産会社による買取には上記のようなメリットとデメリットがあります。とにかく早く現金化をしたいという方にはメリットが大きくなりますが、土地を高く売りたいという方にはデメリットが大きくなりますのでご注意ください。
土地を売る際にかかる費用
では、土地を売却する際に必要な費用をご紹介します。ここまですでに、測量費用や土壌調査費用、地盤調査費用などを紹介していますが、ここではそれ以外に必要な費用をご紹介します。
費用 | 内容 |
仲介手数料 | 土地の売却を仲介してくれた不動産会社に支払う手数料 |
印紙税 | 不動産売買のような高額な売買契約は収入印紙により納税する必要がある |
登記費用 | 土地の登記情報を変更するために法務局に申請を出す |
譲渡所得税 | 土地の売却により得た収入は譲渡所得となり、所得税や住民税を納税しなければいけない |
仲介手数料
仲介手数料は不動産業者に支払う手数料になります。この仲介手数料は宅建業法という法律で上限が定められています。
売買価格 | 仲介手数料の上限 |
200万円以下の部分 | 5% |
200万円超~400万円以下の部分 | 4% |
400万円を超える部分 | 3% |
仲介手数料上限は、400万円を超える場合はすべて3%というわけではありません。400万円を超える契約の場合、200万円までの部分は5%、200~400万円の部分は4%、それ以上の部分は3%という形で計算します。
つまり、売買価格が500万円の場合、単純に3%の15万円ではなく、200万円までの部分で10万円、400万円までの部分で8万円、400万円を超える部分で3万円の合計21万円と算出します。この計算方法を加味した簡易式計算法もまとめておきましょう。
売買価格 | 仲介手数料の上限 |
200万円以下 | 5% |
200万円超~400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
この仲介手数料に関する注意点は以下の通りです。
- 法律で定められているのは上限でありそれ以下でも構わない
- 仲介手数料は消費税課税対象
紹介した計算式はあくまでも「上限」を算出する式であり、仲介手数料はこの金額以下でも、0円でも法律上は問題ありません。ただし、多くの不動産会社はこの上限を仲介手数料に設定しているのが事実です。あまりに手数料が安い不動産会社の場合、ほかに名目つけて費用を請求する可能性もあります。別名目の費用には法律上上限がありませんので、安すぎる手数料をアピールしている業者には十分注意してください。
また、不動産取引は消費税は非課税です。しかし仲介手数料は消費税の課税対象ですのでご注意ください。仮に3,000万円の土地売買における仲介手数料上限は96万円。消費税だけで96,000円必要になります。
仲介手数料の値引きに関して詳しくはこちらの記事でも紹介していますので、併せてチェックしてみてください。

印紙税
高額な売買契約には収入印紙の貼付による印紙税の納税が義務付けられています。収入印紙を添付した契約書をどこかに提出するというわけではなく、収入印紙を購入することが納税行為となりますので、額面金額に合わせた収入印紙の貼付を忘れないようにしましょう。
また、平成26年4月1日から令和4年3月31日までの間に作成された売買契約書に関しては、軽減税率が適用されますので、本則税率(本来の税率)と軽減税率を併記して表にまとめておきましょう。
売買金額 | 本則税率による納税額 | 軽減税率による納税額 |
10万円超~50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超~100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超~5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円超~10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円超~50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円超 | 60万円 | 48万円 |
参考:国税庁「不動産譲渡契約書」及び「建設工事請負契約書」の印紙税の軽減措置の延長について」
登記費用
不動産登記の変更は、売買契約締結後に、売主と買主が必要な書類を揃えて法務局で申請を行います。この不動産登記の変更ができるのは、不動産の所有者本人もしくは司法書士のみとなっています。
多くの場合は司法書士に依頼し登記を行ってもらいます。不動産登記に必要な費用は、その土地の固定資産税などにより決まりますので、必要な実費は一定です。いろいろと条件がありますのでここで相場を提示するのは難しいところですが、実費として20万円前後をイメージしておくといいかもしれません。
ここに司法書士に支払う手数料が加わります、手数料の相場は7~10万円と言われていますが、こちらも売買する土地の価格などによって変動することがありますので、事前に確認しておきましょう。多くの土地売買取引において、司法書士は不動産会社が用意するかと思いますので、最初に不動産会社を選ぶ際、司法書士に関しても聞いておくといいでしょう。
譲渡所得税
不動産の売却による収入があった場合は、その収入に対して納税をする義務が発生します。給与所得を得ているサラリーマンの方は、経験したことがあまりないかもしれませんが、不動産を売却した翌年は確定申告が必要になります。
会社からもらう給料を給与所得といいますが、不動産売却による収入は譲渡所得と呼ばれます。譲渡所得は分離課税の対象ですので、譲渡所得に対する税金、譲渡所得税を納めることになります。譲渡所得税は、所得税、住民税、そして復興特別税の3つが存在します。まずは納税額を確定させるために必要な譲渡所得の計算式をご紹介します。
譲渡所得=収入金額-取得費-譲渡費用
収入金額とは、この土地を売却した際の金額、取得費とは、その土地を購入する際にかかった費用、譲渡費用とは不動産売却において使用した経費ということになります。簡単に言ってしまえば、売却金額から必要経費と購入金額を差し引いた儲け分が課税対象になるということです。
では、この譲渡所得にどの程度の税率がかかるかを確認しておきましょう。譲渡所得にかかる税率はその不動産をどの程度の期間所有していたかで変動します。短い期間しかもっていなかった不動産は税率が高くなり、長期間所有していた不動産は税率が低くなります。所有期間と各種税率を表にまとめておきます。
所有期間と売却価格 | 所得税 | 復興特別税 | 住民税 | 合計 |
5年以下 | 30% | 0.63% | 9% | 39.63% |
5年超~10年以下 | 15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
10年以上 売却価格6,000万円以下の部分 |
10% | 0.21% | 4% | 14.21% |
10年以上 売却価格6,000万円超の部分 |
15% | 0.315% | 5% | 20.315% |
所有期間で大きく税率が変わってきますので、所有して4年目、9年目などの場合は、税率が軽くなるタイミングを見計らって売却するのがおすすめです。
また、譲渡所得には特別控除や特例などが存在します。例えばマイホームを売却した場合は3,000万円の特別控除があったり、マイホームを買い替えた場合の譲渡所得税先送りの特例、さらに相続した土地を売却する際の特例などもありますので、もっとも有利になる特例を利用して節税対策を行いましょう。
その他の費用
その他の費用としては、序盤にご紹介した測量費用や土壌調査費用、地質調査費用などがあります。さらに売却している土地の雑草処理などを業者に依頼すればその費用も必要ですし、空き家を管理してもらうにも費用は必要です。
さらに、売却する土地をローンで購入している場合は、土地の登記簿に抵当権が残っています。この抵当権を消すには、まず金融機関でローンを完済し、さらに法務局で抵当権の抹消手続きをする必要があります。抵当権の抹消は、本人が行えば1,000円の手数料ですが、司法書士に依頼すると1万円程度の報酬が必要となります。
まとめ
本記事では、土地を高く売るために必要なポイントを、売却作業における3行程に分けてご紹介してきました。特に事前準備や不動産会社選びに関しては焦らず慎重に行うようにしましょう。
この記事では多くのポイントを提示しましたが、すべてをこなさずともご自身にとって重要だと思えるポイントだけを押さえておくだけでも結果は違ってくるはずです。
また、土地売却後の税金対策を行うことが最終的に高収益を得るうえで重要です。売却の翌年には譲渡所得税の納税もありますので、資金面では十分余裕を持った計画を立てましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
・https://www.rosenka.nta.go.jp/
・https://www.retpc.jp/chosa/reins/
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
・https://www.zentaku.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/02/2021-fudousan-anke-to.pdf
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