相続した土地の売却方法は?かかる費用や税金、節税対策の手引き

不動産売却

相続で思いがけず手に入れてしまった土地などの不動産をどうすればいいのかとお悩みではありませんか?

駐車場などに作り替えたり、自分の住居にして居住するなど、新たに利用することも一般的ですが、それが難しい場合も多いのではないかと思います。事実、新たな利用方法が見つからないまま放置されてしまっている土地も多いのが現実です。

しかし、使わない不動産は、放置してしまうよりもぜひ早めに売却することをおすすめします。相続した土地の売却は手続きなどが面倒に思われてしまいがちですが、放置してしまうことによるデメリットも多く、多少面倒でもしっかりと手続きをして、早いうちに売却するほうが多くのメリットがあるのです。

本記事では、相続した土地の売却について、その方法と税金などの費用や、売却することによるメリットを解説します。土地の売却についての正しい知識を身に着け、スムーズな売却を目指しましょう。

相続した土地の売却にかかる費用

fudousan326434

相続した土地を売却するには決して少なくない費用がかかります。それらは売却金から差し引くことができるものも多いですが、事前にどれくらいの費用がかかるかを把握しておき、余裕を持った資金繰りをしておくことでより安心して取引をおこなうことができます。

相続した土地の売却にかかる費用は主に、不動産会社に支払う仲介手数料とローンが残っていた場合の抹消登記費用の2つです。

不動産会社に支払う仲介手数料

不動産会社の販売活動の成功報酬として支払う仲介手数料は、売却価格によって決定します。不動産会社がそれぞれ設定しますが、宅地建物取引業法によってその上限が決められています。

売却金額 仲介手数料上限
200万円以下 5%
200万円超え400万円以下 4%
400万円超え 3%

仲介手数料の相場は売却価格の3%程度です。なかには仲介手数料を安く設定し、それを売りにして契約獲得を目指す不動産業者もあります。

仲介手数料は販売活動の成功報酬なので、不動産会社に仲介ではなく買取を依頼した場合は仲介手数料が発生しません。

ローンが残っている場合の抹消登記費用

不動産を売却する際、ローンが残っている場合はすべて返済する必要があります。一般的に売却した金額から支払う場合が多いです。ローンの借入をおこなう際、金融機関や保証会社がその不動産を担保に取る権利を抵当権といいます。借入したローンを返済し終わったら、その抵当権を抹消するための登記をおこなわなくてはいけません。それにかかる費用は抹消登記費用と呼ばれています。

抹消登記費用には登録免許税や登記情報代、郵送費などの諸経費と、司法書士に依頼した際の報酬が含まれます。抹消登記は司法書士に頼まず自分でおこなうこともできますが、相続が発生しているときには複雑な手続きになる場合もあるため、司法書士に依頼する方が安心です。費用は司法事務所によって異なりますが、平均的には15,000円前後となっています。

相続した土地の売却にかかる税金

上記の費用の他に、土地の売却には税金も課せられます。相続した土地の売却にかかる税金は以下の通りです。

  • 譲渡所得税
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 消費税

税金は払い忘れてしまうと納税義務に違反することになってしまいますから、事前にどこに税金がかかるのか把握しておく必要があります。それぞれの税金について詳しく見ていきましょう。

売却益にかかる譲渡所得税

土地などの不動産を売却した際、売却額から不動産を購入した時の費用である取得費と手数料などの諸経費を差し引いても利益が出た場合は、所得になったと見なされ、譲渡所得税の課税対象になり、「住民税」と「所得税」が課税されます。譲渡所得税の税率は売却した不動産の所有期間によって変化します。

土地の売買契約書の作成にかかる印紙税

印紙税は土地の売却が決まった際に買主と締結する契約書に印紙を張りつけるときにかかる税のことです。10,000円以下の取引の場合にはかかりませんが、土地の売買ではほとんどの場合10,000円以上の取引になるので、印紙税はかかると見ておいて間違いはないでしょう。

印紙税は売却する不動産の売却金額によって税額が決まります。租税特別措置法の一部が改正され、令和2年から印紙税は令和4年3月31日までに作成されるものについて軽減税率が適用されることになっています。

売却金額
本則税率
軽減税率
100万円超え500万円以下 2,000円 1,000円
500万円超え1,000万円以下 10,000円 5,000円
1,000万円超え5,000万円以下 20,000円 10,000円
5,000万円超え1億円以下 60,000円 30,000円

このように、軽減税率が適用されている間は通常時の半分のコストで済ませることができます。この制度は現在は令和4年3月31日までと定められており、延長されるかどうかについてはまだわかりません。予定のように終わってしまうことも考えると、この税率が適応されているうちに売却してしまう方がお得だと言えます。

登記にかかる登録免許税

登録免許税は、土地を所有していると登記するために支払う税です。

ただ通常は、不備のない売買であれば売主には必要のない費用。しかし、登記上の住所と売主の住所に違いがあるような場合は住所変更登記が必要になることがあります。住所変更登記は専門家に依頼することもできますが、自分でおこなう人も多いです。住所変更登記をおこなうには、登記事項証明書発行手数料が1通あたりオンライン請求で480円、書面請求で600円程度かかります。

また、売却する土地に抵当権がついている場合に必要となる抵当権抹消登記にも先述のように登録免許税がかかります。登録免許税は1つの不動産に対し1,000円かかります。

仲介手数料などにかかる消費税

不動産会社に仲介を依頼したときに成功報酬として支払う仲介手数料には消費税もかかります。不動産業者と契約するより前に、買取相場から予想した売却金で計算してだいたいの仲介手数料を計算することができますが、そこに消費税も加えたほうがより正確な金額を求めることができます。

相続した土地の売却にかかる税金の計算方法

fudousan22332

相続した土地の売却にかかる主な税金を計算するには、順を追って費用や収益を計算していく必要があります。ここではなかでも計算が複雑な譲渡所得税の計算方法について説明します。譲渡所得税の計算手順は以下の通りです。

  1. 取得費を算出する
  2. 譲渡費用を算出する
  3. 譲渡所得を求める
  4. 譲渡所得に所有期間に応じた税率をかける

それぞれのステップについて詳しくみていきましょう。

取得費を算出する

取得費とは不動産業者に支払った仲介手数料や測量費、造成費用といった、購入するときに払った費用のことです。取得費は購入した際の契約書で確認できることが多いですが、資料がなかったり、契約書にも記載がなかったりというように取得費がわからない場合は、売却価格の5%を取得費とすることが一般的です。

譲渡費用を算出する

譲渡費用は仲介手数料や印紙税、建物の解体費用や損失額など、不動産を売却するためにかかった費用のことで、売却価格から差し引いて清算できます。ここで注意しておきたいのは、固定資産税を維持するための費用や、売った代金の取立て費用は含まれないという点です。

譲渡所得を求める

譲渡所得は不動産を売却して得た利益のことで、売却価格から取得費と譲渡費用、控除額を差し引いて割り出します。

譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)

譲渡所得に所有期間に応じた税率をかける

譲渡所得を算出したら、売却した不動産の所有期間に応じた税率をかけることで所得税を算出できます。所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得となり軽減税率、5年以下は短期譲渡所得となり、本則税率がかかります。

所有期間 税率(所得税) 税率(住民税)
5年以下の短期所有 30% 9%
5年超の長期所有 15% 5%

相続した土地の売却にかかる税金の節税対策

fudousan623612

土地の売却にかかる税金は、大きな支出になります。しかし、そのなかにはやり方によって免除になったり、節税できたりする税金もあります。知らなければ損をする不動産売却にかかる節税対策について解説します。

取得費加算の特例を利用する

長期で所有していたほうが譲渡所得税率は低くなりますが、一方で相続税が発生してから3年以内の売却なら税率が低くなる特例が適応される場合があります。これを取得費加算の特例といい、相続税の申告期限から3年10か月以内の売却なら、譲渡所得を計算する際、取得費や譲渡費用に加えて相続税額も売却価格から引くことで、課税対象の譲渡所得を少なくし、節税につなげられる制度です。

譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用+相続税額)
つまり、相続してから3年10か月以内に売却することで譲渡所得額を減らし、それによってかかる譲渡所得税を減税することができます。
売却したい土地が複数あるような場合には、売却益がより大きいものから優先的に売却していきましょう。また、不動産をきょうだい間など複数人で代償分割する場合には、この取得費加算の制度が不利に働く場合がありますので、計算をおこなったり専門家の助言を仰ぐなどして慎重に進めましょう。

3,000万円の特別控除を利用する

相続した土地に建物があり、マイホームとして利用した後で、買い替えを目的として売却した場合は、譲渡利益の最大3,000万円を控除できる3,000万円特別控除の制度が利用できます。居住している家や土地が対象なので、建物のない土地や自分が住んでいない住居の場合は対象外となります。

この制度には所有期間での制限はありませんが、居住していない物件に住民票を移して控除を受けようとする場合などがあるため、正当な申請かどうか調査が入る可能性があります。この制度を利用する前に新しい家に住み替えることもできますが、その場合は「住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」と売却までの期限が定められています。

また、売却する物件を10年超所有していた場合は条件によって軽減税率が適応される制度があったり、3,000万円特別控除と取得費加算の制度は併用ができないなど、さまざまな制度や特例があるため、その不動産の情報を整理して売却するタイミングや方法を見計らうことが大切です。

空き家の3,000万円控除を利用する

相続した土地のなかでも、亡くなった人の家が空き家になった場合、更地にしたり、建物を補強したりして数々の条件を満たした相続日から数えて3年経過した年の12月31日までの売却に限り、売却益から3,000万円控除することができる制度もあります。

以下にその主な条件をまとめました。

【相続した住居の条件】

  • 一戸建て
  • 旧耐震基準で建築されている
  • 相続直前まで亡くなった人が居住していた又は老人ホームなどの施設にいた
  • 相続後売却まで空き家だった

【売却するときの条件】

  • 建物を残して売るなら耐震基準を満たすよう補強する
  • 譲渡まで建物を建てて住んだり、事業や貸付を行ったりしない
  • 相続から3年経過する年の12月31日までに売却する
  • 売却代金が1億円以下

この空き家の3,000万円特別控除も取得費加算とは併用できません。また、自宅の3,000万円の控除特例を同年に利用するような場合は、どちらも併せて3,000万円までの控除となるため、売却益によっては時期をずらすなども選択肢の一つになるでしょう。また、複数人で分割して相続した場合は、この控除は1人あたり3,000万円までの適用となるため、人数×3,000万円の控除が受けられます。

相続した土地を売却するときの手順

fudousan5425245

では、実際に相続した土地を売却する際、何をしなければならないのか、順を追って解説します。必要書類や申請など、少々複雑な段階を踏むため、全体の流れを事前に理解しておくとスムーズです。

相続した土地を売却する際の手順は一般的に以下の通りです。

  1. 遺産分割協議書を作成する
  2. 相続登記の申請を行う
  3. 仲介業者に売却を依頼する
  4. 相続した土地を売却する
それぞれのステップについて詳しく見ていきましょう。

遺産分割協議書を作成する

相続人は被相続人の子どもであることが多いですが、子どもが複数いるなど、相続人が複数いる場合は、民法に定められた順位でそれぞれに相続する割合が決められます。相続人同士でその割合によって何を相続するかを話し合うことになります。そのような共同相続人でおこなわれる話し合いの事を遺産分割協議と言います。

遺産分割協議は相続人全員の参加が求められるため、戸籍謄本などを集めて相続人の調査からはじめることが一般的です。それと並行して相続財産調査も進めましょう。共同相続人全員が参加して遺産分割協議をおこない、全員の同意を得て作成される書類を遺産分割協議書といいます。相続にかかわる調査から遺産分割協議書の作成まで専門家に依頼して任せることもできます。ここで作成した遺産分割協議書は相続した不動産を売却する際に共同相続人全員の戸籍謄本・印鑑証明と併せて必要になります。

相続登記の申請を行う

不動産の所有者が亡くなったときに被相続人から相続人に名義変更することを相続登記といいます。この手続きは義務ではなく、申請期限や登記を行わなかった場合の罰則はありません。しかし、売却する際には必ず相続登記をおこなっておく必要があるため、遺産分割協議をおこなって記憶が新しいうちに手続きしておくことをおすすめします。

相続が絡む複雑な手続きになるため、司法書士に依頼して手続きをすることが多いです。相続登記に必要な書類は、被相続人と相続人の関係性や遺言書の有無などによって異なるため、手続きの際には事前に電話などで司法書士に確認したほうが無難です。

仲介業者に売却を依頼する

相続登記が完了すると、新しい名義人が自由に土地を処分することが認められます。相続した土地を売却することに決めたら、不動産業者に査定を依頼しましょう。個人で不動産売却をおこなうこともできますが、トラブルが多いことや買い手がローンを組みづらいこと、そもそも買い手を見つけることが難しいことなどの問題が付きまといます。仲介手数料がかかったりするため個人間のほうが高く売却できる場合もありますが、不動産業者に依頼したほうがスムーズで無難です。

不動産業者による売却には2種類あり、1つは不動産の仲介による売却、もう1つは買取による売却です。一般的に所有者が売主となる不動産の仲介による売却の方が高額で売却できることが多いですが、買い手が見つかるまで時間がかかりやすいことや、仲介手数料がかかることがデメリットと言えます。一方の不動産会社が直接不動産を買取する方法は売却までが短期間で済むため、すぐに手放したい人や現金化したい人におすすめの売却方法です。仲介による売却よりも金額が低くなってしまうため、時間がかかってもいいようであれば仲介による売却を選択するほうがいいでしょう。

売却を依頼するまえに不動産の価格を知ろう

相続した土地を仲介業者に売却する前には、土地の価値を知るために複数の不動産会社から査定をしてもらいましょう。査定をする不動産会社によって土地の値段は変わるので、一括査定サイトを利用して複数の不動産会社から査定をし、結果を比較してみるのがおすすめです。

相続した土地を売却したいなら一括査定サイト「イエウール」がおすすめ

相続した土地の売却を検討している人に編集部がおすすめしたい一括査定サービスが「イエウール」です。イエウールがおすすめな理由について、以下にまとめています。

■イエウールがおすすめな理由

  • 月間ユーザー数No.1で安心(2020年7月時点)
  • 提携している不動産会社の数も業界No.1(2020年7月時点)
  • 全国エリアをカバーしているので地方の不動産も売却しやすい
  • 田んぼや畑など農地の売却にも対応している
  • 悪徳業者が排除される仕組みがあるので安心して利用できる

※2020年7月「不動産の一括査定サイトに関するランキング調査」より(株)東京商工リサーチ調べ

相続した土地を売却する

不動産業者による仲介で買い手が見つかった、または不動産業者への売却を依頼したら、内見などを経て購入希望者と条件を確認し売買契約を締結します。土地のみで建物がない更地の売買の場合は内覧がおこなわれないことも多いですが、居住用の建物の場合は内覧が重要なポイントになるため、今は住んでいなくても内覧前には掃除など手入れを済ませておくとよいでしょう。購入希望者や不動産業者が内容に納得し購入を決めたら、売買契約を締結します。その後決められた日に引き渡しをおこなって取引は終了となります。

持っている不動産にかかる固定資産税は1月1日時点での所有者にかかるため、手放した後も納税の義務が課せられることもあるので注意しましょう。

相続した土地の売却に関するQ&A

不動産売却はそう何度もおこなうことではないため、不透明なことも多いかと思います。特に相続した土地の売却は自分の持ち物ではなかったものを売却するため、より疑問も起こりやすいのではないでしょうか。こちらでは、相続した土地の売却についてよくある疑問をまとめました。

Q.相続した土地を売却せずに放置するとどうなる?

相続したにもかかわらず、利用されず売却もされずに放置されている土地や建物は少なくないのが現状です。そのまま放置しておくと、さまざまなリスクを抱える可能性が高まります。

例えば、相続したのが建物だった場合、老朽化問題と隣り合わせになります。定期的な検査や手入れをおこなっていないと地震などの災害が起きた際のリスクが増えたり、倒壊して周囲とのトラブルに発展することもあります。また、管理されていない建物は不法侵入などの犯罪につながる恐れもあり、これも周囲とのトラブルにつながってしまいます。放置が行き過ぎてしまうと、自治体から強制解体を命じられる可能性もあります。その場合の費用は所有者負担になり、放置したことでさまざまな問題が生じます。

定期的にチェックするなどの管理が難しければ、節税制度が整っている今のうちに売却してしまったほうがよいでしょう。

Q.相続した土地の保有期間の計算方法は?

売却時の税率などにかかわる土地の保有期間は、相続した土地の場合、相続したときから数えるのではなく、亡くなった人が取得したときから数えます。つまり、譲渡所得を考える際には、被相続人が取得したときから売却する年の1月1日までの所有期間で長期譲渡所得か短期譲渡所得かどうかを判断します。

Q.相続した土地の売却で確定申告は必要?

相続した土地を売却し、利益が発生した場合は収入として確定申告をする必要があります。確定申告を代行してくれるような企業に勤めている場合も、勤務外での個人の収入となるため、忘れずに必ずおこないましょう。

確定申告をおこなう際には、売却時の売買契約書仲介手数料の領収書・売却した不動産の登記簿謄本を用意したうえで、税務署で手続きをすることになります。

不動産の売却をおこなっても、利益がない場合は確定申告を行う義務はありません。しかしその場合譲渡損失に関する計算明細書が必要となるので覚えておきましょう。

まとめ

fudousan83254

相続した土地を放置し、定期的な管理を怠っていると、建物の老朽化問題や近隣とのトラブルなどに発展してしまうだけでなく、自治体からの命令で解体費用を負担しなければならない恐れもあります。そんなリスクを避けるためには相続した土地を売却して手放すことも検討するべきです。

不動産の価値は基本的に時間がたつにつれて下がっていきます。特に相続した土地に居住用の建物がたっている場合、築年数が浅い建物は需要が高いため評価されやすく、査定金額も高くなりやすい傾向にあります。このような理由からも、相続した土地は放置せず築年数がたつ前に売却する方が望ましいということがわかります。

相続した土地の売却の方法やそれにかかる費用を把握しておくことで、よりよいタイミングや手段で手放すことができます。相続した土地は放置せず、価値のあるうちにスムーズな売却を目指しましょう。

タイトルとURLをコピーしました