「初めてのマンション売却で、ほとんど知識がない」「売却した際にかかる仲介手数料についてもわからない」と困っていませんか。不動産を売却した際、基本的には不動産会社に仲介手数料を支払いますが、マンション・戸建てどちらも金額は同じです。「マンションだから安くなる、高くなる」といったことはありません。
このページでは、そんなマンションの仲介手数料について、さまざまな角度から解説していきます。上限額や値引き交渉のタイミング、仲介手数料に関するよくある質問なども取り上げましょう。マンション売却にかかる仲介手数料が気になる人などは、参考にしてください。
不動産会社に支払う仲介手数料とは
仲介手数料は、不動産の売買契約が成立したときに支払う、不動産会社への報酬のことです。また、不動産売却できなかった場合に支払うケースもあります。ここでは、不動産会社に支払う仲介手数料の概要や仕訳について詳しく紹介します。
売買契約が成立した際に支払う成功報酬
不動産の仲介手数料は、不動産会社の仲介業務に対して支払われる成功報酬です。不動産会社は、さまざまな売却活動で、売主からの売却依頼に応えていきます。
仲介手数料は成功報酬のため、買主が見つかり、売買契約が成立するまでは、不動産会社に支払う必要はありません。したがって、売買契約前に仲介手数料を請求されることはないでしょう。
また、「不動産売却が初めて」という人に向けて、仲介で売却するときの流れをまとめておきますので、ぜひ参考にしてください。
仲介で売却するときの流れ | 詳細 |
不動産査定を依頼 | 不動産業者に査定を依頼する方法と、不動産鑑定士に査定を依頼する方法の2パターンあり |
不動産会社と媒介契約を結ぶ | 「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3つの種類から選ぶ |
販売活動をスタートする | チラシ・ネット広告などを利用して広告・宣伝を行う |
購入希望者の受け入れと価格交渉 | 受け入れの準備して内覧に対応し、購入希望者と価格交渉を行う |
買主と売買契約を結ぶ | 合意が成立したら宅地建物取引士より買主へ連絡が入り、契約の重要事項に関する説明が行われ、不動産会社作成の不動産売買契約書に署名・捺印を行い、契約締結 |
引っ越しをして物件引き渡しの準備 | 所有権移転登記手続きや、場合によっては抵当権の抹消登記手続きを行う必要あり |
物件の引き渡し | 売主と買主は現地に行き、両者立ち会いのもと最終確認を行う |
契約後に売主事情で解除する場合は仲介手数料がかかる
仲介手数料は、原則、売買契約が成立した場合に求められます。しかし、売買契約後に売主の事情で契約解除するケースや、売買契約を守らず解除するケースなどでは、不動産が売却できなくても仲介手数料が発生すると認識しておきましょう。
また、不動産売却初心者は、仲介手数料以外の費用について知っておいても損はありません。仲介手数料以外の費用の詳細は、次の通りです。
仲介手数料以外の費用 | 詳細 |
登記に関連する費用 | 住宅の抵当権の抹消費用および、その申請をお願いする司法書士手数料 |
印紙税 | 1万円~3万円程度が一般的な、不動産売買で契約を結ぶ「売買契約書」に必要な税金 |
インスペクション費 | 建物状況調査費とも呼ばれる不動産を調査する費用 |
測量費 | 手持ちの不動産(土地)と隣地との境界を測量するための費用 |
固定資産税精算金 | 不動産などの固定資産に対して納める税金 |
その他 | 所得税や住民税、復興特別所得税が生じるケースもある |
仲介手数料の仕訳
仲介手数料には、不動産会社のさまざまな業務が含まれています。詳細は、次の通りです。
- 不動産の査定
- 価格の提案
- 資料作成
- 不動産の広告
- 購入希望者の問い合わせ対応
- 不動産の現地案内
- 売却条件の交渉
- 契約書の作成
- 引き渡しのサポート など
簡単にまとめると、売却の準備や売却に関するサポートが仲介手数料に含まれる業務です。しかし、部屋のクリーニングや不用品の処分、特殊な広告などは、仲介手数料に含まれず、別途費用が発生するケースもあります。費用面を気にしている人は、業務内容のどこまでが仲介手数料に含まれるのか、あらかじめ確認しておきましょう。
仲介手数料は上限額が決められている
不動産会社が受け取れる仲介手数料は、上限額が決められています。「宅地建物取引業法」という法律によって定められていることですので、上限額をオーバーする金額を請求されることはありません。こうした仲介手数料の上限額やその計算式、早見表について詳しく紹介します。
仲介手数料は上限額が相場価格
不動産会社によっては、「手数料無料」「手数料半額」といった仲介手数料の安さをうたっている場合もあります。こうしたアピールのない会社の仲介手数料は、上限額に設定していることが少なくありません。
「相場価格は○○万円」と明確に述べられませんが、仲介手数料の相場は、法律で定められている上限額だと認識しておきましょう。
仲介手数料の上限額を導き出す計算式
「宅地建物取引業法」により決まっている仲介手数料の計算方法は、次の通りです。
取引額 | 報酬額(仲介手数料) |
200万円以下の金額 | 取引額×5% |
200万円オーバー~400万円以下の金額 | 取引額×4%+2万円 |
400万円オーバーの金額 | 取引額×3%+6万円 |
さらに、仲介手数料には別途消費税もかかります。
取引額1,000万円だった場合の計算式は次の通りです。
取引額 | 報酬額(仲介手数料)の計算式 |
200万円以下の金額 | 200万円×5%=10万円 |
200万円オーバー~400万円以下の金額 | 200万円×4%=8万円 |
400万円オーバーの金額 | 600万円×3%=18万円 |
取引額を分解して計算し、最後に報酬額をすべて足して、「10万円+8万円+18万円=36万円×消費税」が仲介手数料です。
400万円以下の物件は最大18万円
2018年1月1日、空家の流通量を高めるために、物件価格が400万円以下の場合、仲介手数料は上限18万円までに改訂されました。売主に合意を得る必要がありますが、100万円でも200万円でも、仲介手数料は上限18万円です。なお、上限に決まりはあるものの、下限については定められていません。
仲介手数料の上限額の早見表
仲介手数料上限額はいくらなのかすぐにわかるように、早見表を紹介します。
取引額 | 仲介手数料(税込) |
500万円 | 232,000円 |
600万円 | 264,000円 |
700万円 | 297,000円 |
800万円 | 330,000円 |
900万円 | 363,000円 |
1,000万円 | 396,000円 |
2,000万円 | 726,000円 |
3,000万円 | 1,056,000円 |
4,000万円 | 1,386,000円 |
5,000万円 | 1,716,000円 |
6,000万円 | 2,046,000円 |
7,000万円 | 2,376,000円 |
8,000万円 | 2,706,000円 |
9,000万円 | 3,036,000円 |
1億円 | 3,366,000円 |
1億5,000万円 | 5,016,000円 |
早見表をチェックすることで、簡単に仲介手数料を求められます。
仲介手数料の値引き交渉について
仲介手数料は、上限が定められているものの、下限は決まっていません。そのため、仲介手数料の値引き交渉も不可能ではありません。ここでは、値引きしてもらいやすい不動産の条件や値引きのベストタイミング、値引き交渉のデメリットなどについて取り上げましょう。
値引きしてもらいやすいマンションの条件
値引きしてもらいやすいマンションの条件は、次の通りです。
- 人気の高いエリアで希少性のあるマンション
- 売主と買主が同じ不動産会社で契約している「両手仲介」
人気エリアで希少性のあるマンションの場合、高値で売却できる可能性が高いため、不動産会社は、仲介手数料を下げても利益が確保しやすいと言えます。そのため、手数料を値引きできる可能性があるでしょう。
また、売主と買主が同じ不動産会社と契約している「両手仲介」の場合、ひとつのマンションで売主・買主両方から手数料を得られるため、不動産会社にとっては大きな利益となり、値引き交渉できる余地が生まれます。
値引きのタイミングは契約前がベスト
仲介手数料を値引き交渉するベストタイミングは、媒介契約を締結する前です。不動産会社に売却を依頼する際、媒介契約を結びます。媒介契約の種類は、次の通りです。
媒介契約の種類 | 特徴 |
一般媒介契約 |
|
専任媒介契約 |
|
専属専任媒介契約 |
|
不動産会社と媒介契約である「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」を結ぶ代わりに、仲介手数料を値引きしてほしいと交渉してみることをおすすめします。
仲介手数料の値引き交渉にはデメリットもある
仲介手数料を値引きすることは、メリットばかりではありません。不動産会社が得られる報酬となる仲介手数料は、安くしてしまうと、売却活動に注力してもらえない可能性があります。
さらに、広告費などを抑えられてしまい、売れにくくなるケースも考えられるでしょう。そのため、仲介手数料を安くすることだけにとらわれず、マンションを高く売却することを意識する必要があります。
「不動産を売却したいけれども、仲介にはデメリットがある」と感じている人は、「買取」という方法も無視できません。買取で売却するメリットとデメリットは、次の通りです。
買取で売却するメリットとデメリット | 詳細 |
現金化が早い | 買取の売却は、仲介での売却に比べて手続きが少なく、比較的短期間で契約成立する可能性が高い |
不動産仲介手数料不要 | 買取による売却を行えば出費を抑えられる |
市場価格よりも安くなる可能性あり | 相場より低い金額で売却される可能性が高く、手にする金額が相場価格より低くなるリスクあり |
こうしたメリット・デメリットのある「買取」で売却するときの流れは、次の通りです。
買取で売却するときの流れ | 詳細 |
不動産業者の選定 | 複数の不動産会社に対して査定依頼を行い、査定額やその後の対応を参考にして不動産を選ぶ |
買取価格の提示とスケジュール確認 | 今後の売買スケジュールや引き渡し条件のチェック |
売買契約を結び残金の決済 | 引き渡し条件などをチェックし、契約書に署名・捺印を行い契約成立 |
仲介手数料に関するよくある質問
不動産の仲介手数料によくある疑問としては、次の3つがあげられます。
- 仲介手数料はいつ払う?
- 仲介手数料に追加料金がかかることはある?
- 買い手を自分で見つけた場合仲介手数料はかかる?
これらに対する回答を知り、疑問を解消しましょう。
仲介手数料はいつ払う?
仲介手数料は一般的に、売買契約するときとマンションを引き渡すときに半額ずつに分けて支払います。契約が成立しない限り、支払う必要はありません。
そんな仲介手数料の支払い方法は、現金払いにしている不動産会社が多いです。「現金の持ち運びが心配」「大金を持ち歩くことが不安」という人は、振り込みやクレジットカード払い、分割払いに対応している業者を選びましょう。また、現金を用意する場合、ATMの上限額に注意する必要があります。
賢く売買したい人は、不動産業者を選ぶ際、決済の方法だけではなく、次のポイントをおさえておきましょう。
不動産業者を選ぶコツ | 詳細 |
売却が得意なのか見極める | 仲介による売却を検討するなら媒介業者、不動産会社による買取を希望するなら買取再販業者がおすすめ |
免許番号を確認 | 免許番号を確認することでも、業者の信頼度をチェック可能 |
極端な査定結果は回避 | 一括査定を利用して複数社の査定結果を比較する際、極端に高額な査定額を提示する会社には注意 |
ネガティブな情報を確認 | 過去に行政処分を受けたかどうか、国土交通省の「ネガティブ情報等検索システム」からチェック可能 |
売却戦略が納得できるものなのか | 幅広く物件情報を公開できるケースや、どのようなプランで売却を予定しているかなど、正確なスケジュール提示してくれる場合、信頼度は低くない |
売主の要望もしっかりと取り入れてくれる | 自社で作成した売却プランを押し付けようとする場合、そのプランが魅力的に見えても、成功するという保証はない |
仲介手数料に追加料金がかかることはある?
仲介手数料は、原則、仲介手数料以外の費用を請求されることはありません。しかし、次のケースの場合、追加料金が発生する可能性もあります。
- 本来であれば行わない広告・宣伝
- 遠隔地の購入希望者との交渉活動費用 など
こうしたケースでは、例外的に追加費用を求められることを認識しておきましょう。しかしながら、売主が希望・依頼しない限り、追加活動を勝手に行うことはありませんので、ご安心ください。
買い手を自分で見つけた場合仲介手数料はかかる?
自分で買主を見つけた場合、仲介手数料がかからないパターンは、「一般媒介契約」と「専任媒介契約」にしているときです。これらは、仲介手数料を支払わず契約できます。もうひとつの媒介契約である「専属専任媒介契約」では、仲介手数料が必要です。
「一般媒介契約」や「専任媒介契約」でも、買主が不動産を現金一括購入が難しく、銀行で住宅ローンを使用する場合、不動産会社に仲介を依頼し、重要事項説明書を作成してもらう必要があるでしょう。
このケースにおいて不動産会社の仲介手数料を抑えたい場合は、司法書士や行政書士、弁護士、税理士、不動産鑑定士などの売買契約をサポートするサービスを利用することをおすすめします。
ちなみに、媒介契約は原則3ヶ月契約となっており、この期間をすぎた場合、他の業者を利用可能です。また、契約が切れた場合、同じ業者と再契約することもできます。
業者の売却活動で不備があったり、買主すら見つからない状況が続いている場合であれば、他の業者に変更することも悪くありません。
まとめ
仲介手数料は、不動産の売買契約が成立したときに支払う、不動産会社への報酬のことです。売却の準備や売却に関するサポートが仲介手数料に含まれる業務で、売買契約が成立するまでは、不動産会社に支払う必要はありません。
そんな仲介手数料は、「宅地建物取引業法」という法律によって上限額が定められているため、上限額をオーバーする金額を請求されることはありません。不動産会社によっては、「手数料無料」「手数料半額」といった仲介手数料の安さをうたっている場合もあります。
仲介手数料は、値引きも不可能ではありません。人気の高いエリアで希少性のあるマンションや、売主と買主が同じ不動産会社で契約している「両手仲介」の場合、値引きしてもらいやすいでしょう。値引きのタイミングは契約前がベストですが、仲介手数料を安くしてしまうと、売却活動に注力してもらえない可能性がありますので、注意が必要です。
マンション売却にかかる仲介手数料や値引き交渉などについて理解を深め、正しく賢く不動産を売却しませんか。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
・https://www.rosenka.nta.go.jp/
・https://www.retpc.jp/chosa/reins/
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
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