所有している土地を売却する場合、相場を知らないと損をしたりいつまでも買主が見つからなかったりします。しかし相場を調べるとは言っても、不動産の知識がない人にとっては難しいことなのではと思っていませんか。
相場を調べる方法は全部で7つあり、初めての土地売却で知識がない人でも簡単に実行できるものがあります。この記事では、具体的な調べ方とその方法が向いている人のタイプ、相場が決まる要因など詳しく解説してきます。
また、売却にかかる費用や税金についてもあわせて紹介しますので、相場価格を調べて土地売却を有利に進めましょう。
土地売却は相場を調べて適正な価格設定が大切
土地は決まった価格があるわけではないため、その価格はとても曖昧です。売却する際は、売主が設定した売却価格で購入希望者を募り、買主がその価格から交渉して最終的な成約価格が決定されます。どちらも個人の意思に委ねられているため、明確ではありません。
相場を知らない状態で売却に臨んでしまうと、適正価格を設定できず買主が現れなかったり、価格が安すぎると損をしてしまったりする可能性もあります。そのため、売却活動を行う前にある程度土地の価格相場を知っておく必要があります。
また、仲介を依頼する不動産会社を選ぶ際にも、相場と査定額を比較して、その査定金額が適正であるかどうかを判断できることにもつながります。
相場よりも低い価格を設定されてしまったとしても、把握できていなければそのまま契約を結んでしまい、実際よりも安い金額で売却することになってしまいます。土地を少しでも高額で売却したいなら、しっかり相場を調べておくに越したことはありません。
土地売却の相場を調べる7つの方法
売却する土地の相場を調べる方法は、次の7つがあります。
- 実勢価格を調べる
- 地価公示価格を調べる
- 基準地価を調べる
- 路線価を調べる
- 固定資産税評価額を調べる
- 不動産ポータルサイトの売出価格を調べる
- 不動産会社の査定で調べる
実勢価格、地価公示価格、基準地価、路線価、固定資産税評価額はまとめて評価額と呼ばれ、土地の価値を決める基準となっています。それぞれの手段について、その方法や特徴を詳しく見ていきましょう。
実勢価格を調べる
実勢価格は時価とも言われ、これまでに取引された価格のことを示します。実勢価格を調べるには、国土交通省が公開する土地総合情報システムの「不動産取引価格情報検索」を見るのがよいでしょう。
これは2006年4月に制度化された不動産の取引価格情報提供制度にもとづいたウェブサイトで、誰でも閲覧することができます。取引時期・不動産の種類・地域を選択するだけで不動産の取引価格を簡単に調べることができます。国土交通省が運営する公的なサービスであるため、安心して利用が可能です。
また、建物付きの土地の売却であれば、「レインズ・マーケット・インフォメーション」も相場価格を確認できる優秀なシステムです。このシステムは国土交通大臣が指定した不動産流通機構が運営していて、直近1年での取引データを調べられます。
地価公示価格を調べる
地価公示価格とは、毎年1月1日時点の1平米あたりの価格で、都市計画区域内の標準的な土地が選定されます。国土交通省が毎年3月頃に全国の価格を発表しています。この公示価格は土地が適正な価格で売買されるための基準です。
つまり、実際に売買が行われていない地域でも、価格を推定することが可能です。売却したい土地が地方の場合、似た条件での実勢価格は取引が少ないことがあるため、役立ってくれます。
地価公示価格を調べるなら、国土交通省の「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」を使ってください。次の6つのステップで検索できた価格に、土地の広さをかけると相場が推定できます。
- 地図から売却する土地がある都道府県を指定
- 地図から市区町村を指定
- 対象のチェック項目で「 」を指定
- 該当する用途区分を選択(不明なら選択しなくてよい)
- 検索をクリック
- 所在及び地番で最も近いものの価格から相場を推定
基準地価を調べる
地価公示価格と同様基準地価もに価格審査の基準として用いられる価格です。基準地価は各都道府県や政令指定都市が法律に基づいて調査をおこない公表されます。基準地に指定されているのは全国2万ヶ所以上で、毎年7月1日時点の標準価格が9月下旬に公表されます。
基準地価も「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」で調べることができます。検索は対象のチェック項目を、「都道府県地価調査のみ」にしておくと基準地価が一覧で表示されます。価格競争の激しくなりがちな人気エリアや取引の多いエリアでは基準地価をもとに価格決定をしていることも多く、参考になる場合があります。
地価公示価格とは、公表される時期や調査された土地に違いがあります。しかしいずれも不動産鑑定士が価値を評価しているため、信憑性が高い数字です。
路線価を調べる
路線価とは、道路に面している宅地1平米あたりの価格を指す評価額の一種です。路線価は主に相続税と固定資産税を計算するときに用いられます。路線価は「路線価図・評価倍率表」で調べることが可能です。毎年7月1日に国税局から発表され、それをもとに税率を計算します。
路線価図・評価倍率表で調べた土地に書かれた数字は、1,000円単位で1平米当たりの価格を表示しています。この数字に土地の広さと国税庁が定めた奥行価格補正率を掛け合わせます。1面だけ道路に面した土地の路線価は、次の式で計算可能です。
ただし、路線価の価格は実際に取引される価格よりも2割ほど低く設定されています。実際の取引額に換算する場合は、以下のような計算式を使用してください。
0.95という数字は流通性指数で、この価格で売れにくい場合を数値化する考え方を基にしています。
固定資産税評価額を調べる
固定資産税評価額とは、毎年納税する固定資産税額を決定するために使用される不動産の価値です。評価額は最寄りの自治体が決め、3年に1度見直されています。
固定資産税評価額は自治体から土地の所有者に毎年送られてくる固定資産税納税通知書に記載されています。地価公示価格の7割が目安となっており、相場は次の計算式で求めてください。
土地全体の価格相場=土地相場の単価×土地面積
不動産ポータルサイトの売出価格を調べる
国や自治体が決めた評価額以外で相場を調べたい人は、不動産ポータルサイトを参考にしましょう。SUUMOやアットホームなどの不動産情報ポータルサイトで、売却したい土地のエリアや条件の似た土地がいくらで売り出されているかを調べて、だいたいの相場を計る方法です。
不動産情報ポータルサイトは、不動産を購入したい人に向けて作られています。土地総合情報システムやレインズマーケットインフォメーションでは分からない不動産の詳細な情報も記載されています。そのため、売却したい土地に似た条件の土地を見つけやすいという利点があります。
しかし、ここで公開されているのはあくまで売主が設定した売出価格であり、実際にその価格で売却できるかは確かではありません。売却できず、その価格からどんどん価格が下がっていくことも考えられるため、信用性が高い価格とは言えません。
不動産会社の査定で調べる
最新の相場を知りたいなら、不動産会社に査定を依頼して調べるのが一番確実です。相場を知るための査定なら、現地調査のない机上査定をおすすめします。机上査定は、土地の広さ・立地などの情報をもとに直近3ヶ月で売却できそうな価格を算出する査定方法です。
ただし、1社に絞って査定を依頼しても価格を比較することはできないため、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。インターネットの不動産一括査定サイトを利用すると、一度の情報入力で複数社に依頼することができて便利です。
査定は、現地の状態まで見てもらう訪問査定という方法もあります。しかし手間がかかるため、とりあえずおおよその相場を知りたいだけなら、机上査定で十分です。
不動産の一括査定についてより詳しく知りたい方にはこちらの記事もおすすめです。
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土地の相場が決まる6つの要因
不動産の相場はさまざまな影響を受けて日々変化を続けています。土地の相場も同様です。土地の価格変動に影響を及ぼす要素にはどのようなものがあるのでしょうか?
- 土地の公的な価格
- 面積と形状
- 日当たりや眺望
- 接道状況
- 周辺環境
- 近隣の相場
主に土地価格が影響を受けるのは以上のような要素です。それぞれの要素を深掘りしていきましょう。
土地の公的な価格
地価公示価格、基準地価、路線価といった公的な価格は、土地の価格を決めるときの基準となっています。査定をするときもこれらの数字を考慮して決めるため、影響力が大きいです。
またこのような公的な価格に加えて、不動産の需要と供給のバランスも影響します。例えば土地を購入する人が増え、土地が足りなくなってしまうようなことが起きれば、希少価値のある土地は大きく価格が上がり、反対に土地が有り余っている供給過多の状態では低い価格でたくさんの土地が市場に並ぶようになります。
面積と形状
土地の価格は面積で大きく異なります。広さがあれば利用の幅が広がり、さまざまな需要につながるためです。しかし、面積があっても利用しづらい極端な形状の土地はニーズが限られてしまい価格が低くなってしまうことがあります。
つまり、土地の価格は形状と面積の双方を見て決定されます。使いやすい長方形や正方形の土地は高くても売れやすく、住宅が建てづらい三角形や極端な長方形などの、特殊な形状の土地は坪単価が安くなってしまう傾向です。
また、地域によっても利用しやすい広さというのが存在します。エリアによって広すぎると売れづらい場合もあるため、注意が必要です。
日当たりや眺望
土地に住宅を構えた場合のことを考えて、日当たりや眺望が良い土地であれば価格が上がりやすい傾向があります。例えば道路に面しているのが南側で日当たりや良い土地や、周りに高い建物がなく眺望や日当たりを確保できそうな土地は、土地単価が高くなりやすいです。
対して道路に面しているのが西側・北側であった場合や、高層マンションが建っている場合などは需要が下がってしまう可能性があります。
接道状況
土地に接面している道路の幅員によって建てられる建物の大きさが異なるため、接道状況は土地の価格にも大きく影響します。具体的に言うと、幅員4mの建築基準法上の道路に2m以上接した敷地でなければ建物を建てることはできません。これを接道義務と言い、接道義務を満たしていない土地は相場が安くなってしまいます。
接面している道路が幅員4mに満たない場合には、道路の中心から2m敷地の端を後退させるセットバックを行います。または、ギリギリ2mだけ道路に接するように敷地延長する旗竿状にしたりする、といった工夫を凝らさなくてはなりません。
このような工夫をすることもできず、新たに建物を建てることを禁止されているような土地も存在します。そのような敷地を不適合接道の敷地と言い、再建築不可の土地として単価はさらに安くなってしまいます。
周辺環境
土地の利用方法にも寄りますが、駅から近い物件や、周辺に病院や学校、スーパーがあるなど、暮らしに便利な施設が充実している土地は価格が上がりやすい傾向にあります。
特に駅から徒歩圏内かどうかは大きな要素です。対して、周辺にお墓など敬遠されがちな施設がある場合には、価格が下がる可能性があります。
近隣の相場
不動産業者が土地の査定をおこなう際、過去の実際の土地取引の中から、エリアや面積など条件が似た取引事例を参考に価格を算出します。これを取引事例比較法と言い、多くの不動産査定で用いられている査定方法です。
つまり、売りたい土地の近隣の相場は、土地の価格に直結すると言っても過言ではありません。過去の事例を調べるなら、先述のように土地総合情報システムの「不動産取引価格情報検索」を確認するとよいでしょう。
土地売却で価格相場を調べるときの注意点
土地の価格相場を調べる際、次の3つのことに気を付けておこなうと、より正確な価格を算出することができます。
- 複数の方法で相場を調べる
- 土地の訪問査定を受ける
- 土地の境界を確定しておく
なぜ注意が必要なのか、詳しくみていきましょう。
目的に合わせて複数の方法で調べる
土地の相場を調べる方法は多数あり、さまざまなアプローチの仕方があるため、どれを実践すればよいか迷ってしまうかもしれません。調べ方によって土地の価格は大きく変わってしまう可能性が高いです。おすすめは、色々な方面からアプローチして、複数の方法で土地価格を算出することです。
先述のように、土地の価格は多くの要素に影響を受けて日々変化しており、ひとつの方法ではその要素すべてを汲んで計算することができません。複数の方法を試し、算出された価格を比較検討することでより適した価格を設定することができます。
上記でしてきたように、それぞれの相場の調べ方は次の人に向いています。
相場を調べる方法 | 向いている人 |
実勢価格 | 似た条件の土地でのリアルな売却価格から相場を調べたい人 |
地価公示価格 | 近隣で売買実績がなく、実勢価格から相場を調べられない人 |
基準地価 | 公表時期が地価公示価格より近く、土地が人気エリアにある人 |
路線価 | ピンポイントで所有している土地の相場を調べたい人 |
固定資産税評価額 | 手元に固定資産税通知書がある人 |
不動産ポータルサイトの売り出し価格 | 売却予定の土地と似た条件の相場を、手っ取り早く検索したい人 |
不動産会社の査定 | 自分が所有する土地の相場を直接調べたい人 |
どの方法を使うにしても、不動産会社の査定は含めた方がよいです。近隣で土地の売却が得意な不動産会社であれば、高い精度で売却が成立しやすい価格を出してくれます。
現実的な価格を知るには訪問査定が必要
相場を知るだけなら机上査定で十分ですが、実際に売却することができるであろうという現実的な価格を知るなら、現地調査がおこなわれる訪問査定を行う必要があります。
不動産会社と仲介の契約を結ぶ前には、ほとんどの場合一度は訪問査定を行います。インターネットで机上査定を依頼すると、査定額の提示とともに訪問査定を勧める電話やメールが来ることが多いです。不動産業者による査定は訪問であっても机上であっても無料のため安心です。
訪問査定を行うと、その不動産会社が机上査定で出していた価格とも大きく異なった査定額が提示される可能性もあります。実際に周辺環境や土地の状況などを見てみないと正確な額を算出することは難しいのです。また、訪問査定で出された額も、あくまで目安であり、査定額で売れるというわけではないので注意が必要です。
土地の査定についてもっと詳しく知りたい方にはこちらの記事もおすすめです。

売却する土地の境界を確定しておく
土地の広さは価格に直結していています。地価公示価格や基準地価で単価を調べても、広さが誤っていれば精度よく相場を知ることはできないです。土地の境界が曖昧で、現状と書類上で異なっていることもあります。
そこで、相場を調べる前に土地の境界を確定しておきましょう。隣接する土地の所有者も立ち会う確定測量であれば、正確な広さがわかります。設置しているフェンスや堀が境界を越えていることもあり、引き渡し後に買主が隣家とトラブルを起こすリスクも下げられるでしょう。
確定測量の流れについて、詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。

相場以上の価格で売却するコツ
土地を売却するのなら、誰しも高額であればあるほど嬉しいものです。調べた相場は売り出す価格の参考にはしても、実際に取引される価格は買主との合意で決まります。そこで、相場以上の価格で売却するコツについて、次の3つを解説していきます。
- 値引き交渉を想定した価格で売り出す
- 売却に時間がかかるなら再度相場を調べる
- 土地の売却が得意な不動産会社へ仲介を依頼する
値引き交渉を想定した価格で売り出す
土地を購入する立場としては、少しでも安くしたいと考えるのは当然です。どのような価格で売り出していても、価格交渉を持ちかけられることはあり得ます。そのため、相場通りの価格で売り出していては、価格交渉に応じてしまうと相場以下になり損をしてしまうでしょう。
実際に売り出す価格を決める時は、相場を参考に最低限の額を決め、利益を上乗せしておきましょう。どの程度利益を上乗せするかは、不動産会社とよく相談してください。相場より極端に高くなると、いつまで経っても売却できない恐れもあるため、専門知識を持った人のアドバイスを参考に慎重に決めることがポイントです。
売り出し価格の決め方や価格交渉について、詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。

売却に時間がかかるなら再度相場を調べる
地価公示価格なら1月1日、基準地価は7月1日時点の価値で、一括査定なら直近3ヶ月以内の相場となっています。さまざまな要素が絡み合って相場は日々変動しているため、売却に時間がかかるなら再度調べた方がよいです。
もし売り出し価格を決めたときより相場が上がっていると、現状のままでは損をしてしまうかもしれません。また相場より高くなりすぎているなら、見直さなければ買主は現れてくれないでしょう。
土地の売却が得意な不動産会社へ仲介を依頼する
土地の価格が相場よりどれだけ高くても、買主が合意してくれるのなら、問題なく取引は成立します。通常は相場より高額だと見向きもされませんが、不動産会社によっては望みがあります。予算に余裕のある顧客を抱えていたり、アピールが上手い営業担当であったりするなら、相場以上の土地売却も可能です。
仲介を依頼する不動産会社は、次のポイントで厳選すると高額での売却が期待できます。
- 土地の売却で実績がある
- 納得できる根拠で高額の査定をしている
- 実際に話してみて自分の要望を汲み取ってくれる
そしてなにより、一括査定で査定額が高いというだけで、選ばないようにしましょう。
不動産会社の厳選方法について知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

土地売却に必要な費用の相場
相場を調べて売却額を把握していても、土地の売却にかかる費用を失念していると思ったよりも手元に金額が残らなかった、ということになりかねません。売却に必要な費用のほとんどは売却額によって決定されるため、相場がわかるとその費用も概算することができます。
土地売却に必要になる主な費用には、仲介手数料・抵当権抹消費用・測量費用・税金があります。それぞれについて内容や計算方法を見ていきましょう。
仲介手数料
売却にかかる費用で最も大きなものの1つが仲介手数料です。仲介手数料は、売却活動をおこなった不動産会社に対して支払う成功報酬で、その上限額が売却額によって定められています。
売買価格 | 仲介手数料 |
取引額200万円以下 | 取引額の5%以内 |
取引額200万円超400万円以下 | 取引額の4%以内 |
取引額400万円超 | 取引額の3%以内 |
”参考:公益社団法人 全日本不動産協会「仲介手数料について」”
例えば1,000万円で土地が売却できた場合は、39万6,000円が仲介手数料の上限となります。もし上限以上の請求をしてくるなら、別の不動産会社に売却を依頼した方がよいでしょう。
高額な仲介手数料ですが、値引きの交渉は可能です。しかし、不動産会社の担当の営業意欲が落ちたり、販売促進のための広告が制限されたりする可能性があるため、無理はしないようにしましょう。
値引き交渉のデメリットやコツについて、詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。

抵当権抹消費用
土地を含め、不動産を売却する際にはローンをすべて返済してから引き渡す必要があります。ローンを返済したら、貸し付けていた金融会社が持つ抵当権を抹消する登記をおこなわなければなりません。引き渡しの際、新しい持ち主に所有権を移す所有権移転登記をしますが、それと一緒に司法書士に依頼して済ませることが一般的です。
抵当権抹消登記にかかる手数料は、土地のみの場合で1件1,000円です。司法書士に依頼する場合の報酬は司法書士事務所によっても異なりますが、相場は1万円程度となっています。
測量費用
土地を売却する際、確定測量図の提出を求められることがあります。新しい土地の売却であれば既に正しい測量がなされていることも多いですが、相続した土地など、正しい境界が設けられないまま測量されていることも多いです。
測量は土地家屋調査士事務所に依頼し、その費用の相場は35~45万円程度とされていますが、事務所や土地の規模、隣地の状態によっても異なります。
税金
土地の売却でかかる税金は以下の通りです。
- 印紙税
- 譲渡所得税・住民税
印紙税
印紙税は土地の売買が成立した際に交わす売買契約書に貼る収入印紙代のことです。その契約金額によって税額が異なります。
契約金額 | 印紙税 |
10万円を超え50万円以下のもの | 400円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 1,000円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 2,000円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 |
5千万円を超え1億円以下のもの | 6万円 |
”参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」”
このように、契約金額が高くなればなるほど、それにかかる印紙税も高くなっていきます。令和4年3月31日までに作成される契約書に対する印紙税は、軽減措置が適用され負担額は通常の半分です。
譲渡所得税・住民税
土地の売却で利益が出た場合その分所得税が課せられます。それを譲渡所得税と言います。譲渡所得税は、売却した次の年の確定申告で利益を申告して納付します。
また、収益によって住民税も発生するため注意が必要です。住民税は、売却した翌年に送付される住民税納付書で支払いますが、特別徴収として給与から天引きすることも可能です。
譲渡所得税の税率は、土地の所有期間によって異なります。
土地の所有期間 | 所得税 | 住民税 | 合計税率 |
5年以下(短期譲渡所得) | 30.63% | 9% | 39.63% |
5年超(長期譲渡所得) | 15.315% | 5% | 20.315% |
課税の対象である譲渡所得の金額とその税額は、次のように計算することができます。概算するなら、売却価格の部分に算出した相場価格をあてはめて計算しましょう。
譲渡所得税額=譲渡所得×税率
取得費はその土地を取得するのにかかった費用のことで、譲渡費用は仲介手数料や印紙税など、譲渡に直接かかった金額のことを指します。
詳しくは国税庁の「取得費となるもの」「譲渡費用となるもの」を参照してください。
また、売却する土地が居住用の財産であった場合、この譲渡所得から更に最大3,000万円分を控除することができる特例制度が利用できます。特例が適用されれば、大きな節税効果が期待できます。
土地の売却にかかる費用や節税方法について、詳しく知りたい方はこちらの記事もおすすめです。

まとめ
土地の売却において相場を知っておくことはとても重要なポイントです。不動産会社の厳選や売り出し価格の決定、売却に価格費用の概算などで使われ、知っておくことは大きなアドバンテージとなります。
相場を調べる方法の中には、慣れない計算が必要なものもあります。しかし基本的な知識だけでも身に付けて査定を受けると、不動産会社の根拠の説明を理解しやすいです。
土地売却をスムーズに、そしてなるべく高い金額で売却するためにも、相場を調べて有利に売却を進めましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
・https://www.rosenka.nta.go.jp/
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