空き家の売却にかかる税金は?その種類と計算方法も徹底解説!

不動産売却
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長年放置している空き家の処分に悩んでいる方は、比較的多いようです。空き家を売却しようと考えている方の中には、売却して得た金額に税金がどのくらいかかるのか気になってしまい、なかなか売却が進まない方もいるのではないでしょうか。

今回は、そんな方のために空き家を売却する際にかかる税金やその種類、税金の計算方法を徹底的に解説します。現在空き家を所有している方や将来空き家を売却することを検討している方は、今回の記事を参考に手続きを進めてください。

空き家売却でかかる税金の種類

空き家物件を売却する際にかかる税金の種類は、全部で5種類あります。発生する具体的な税金は以下の通りです。

  • 譲渡所得税
  • 住民税
  • 復興特別所得税
  • 印紙税
  • 登録免許税

一言で「税金」といっても、空き家を売却するとその内訳としてさまざまな種類の税金が発生しますここでは、上記5つの税金の具体的な中身についてそれぞれ解説します。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産を譲渡して得た利益に対して課税される税金を指します。譲渡所得は、譲渡した不動産の所有期間が5年以内の「短期譲渡所得」と、所有期間が5年超えの「長期譲渡所得」の場合の2つに分類されます。

譲渡所得にかかる税金は短期譲渡所得場合が39%で、長期譲渡所得の場合は20%です。

住民税

住民税とは、都道府県や市区町村が行う行政サービスを維持するために必要な経費を、そこに居住する住民が分担して支払う税金です。譲渡所得税と同様に、空き家の売却によって利益がでた場合には、譲渡所得の額に応じて住民税が発生します。

復興特別所得税

復興特別所得税とは、東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するために創設された税金です。復興特別所得税はすべての納税者が負担する税金で、会社員などの給与所得者は源泉所得税について、復興特別所得税額も含めて徴収されます。

空き家の売却で利益を得た場合は、所得税に復興特別所得税をかけたものが課されます。したがって所得税額だけでなく、復興特別所得税額も合わせて申告して納税しなければなりません。

印紙税

印紙税とは、さまざまな取引等に伴い契約書や領収書などの文書を作成した場合に、印紙税法にもとづきその文書に課税される税金のことを指します。具体的には、空き家を売却した際に売買契約書に添付する収入印紙の代金で、空き家物件の売却代金に応じて印紙税の金額が変わります。

登録免許税

登録免許税とは、不動産の所有権を登記する場合や抵当権を登記する場合に、登記所で納付する税金を指します。空き家の売買契約が成立し、名義を変更する際にかかる税金です。

譲渡所得の計算方法

空き家を売却した際に発生する譲渡所得ですが、具体的にどのように計算するのでしょうか。ここでは、譲渡所得の算出法や実際に空き家を売却した際の計算例について、詳しく解説していきます。

譲渡所得

譲渡所得は、以下の式で算出されます。

譲渡所得=譲渡金額-(取得費+譲渡費用)

上記の式の中にある「譲渡金額」とは不動産の売却額のことを指します。「取得費」は売却した不動産の購入金額で、購入後の設備のリフォーム費なども取得費の中に含まれます。また「譲渡費用」とは、仲介手数料などの売却のためにかかった金額です。

実際に支払う税金は、この譲渡所得に所得税率と住民税率をかけて算出されます。長期譲渡所得(不動産の所有期間が5年超の場合)の所得税率は20.315%で、短期譲渡所得(不動産の所有期間が5年以下)の場合は39.63%です。

不動産の所有期間によって税率が異なるため、事前に所有期間を確認しておくことをおすすめします。

譲渡所得の計算例

ここでは、木造一戸建ての空き家を売却した際に発生する譲渡所得の具体的な計算例を紹介します。

【住宅の種別:木造一戸建て】

  • 購入価格:3,500万円(建物価格1,500万円、土地価格2,000万円)
  • 購入時費用:600万円(建物分380万円、土地分320万円)
  • 所有期間(経過年数):15年
  • 売却価格(譲渡金額):5,000万円
  • 譲渡費用(売却費用):207万6,000円

まず、減価償却費相当額を計算します。減価償却費相当額とは、時間の経過により建物の価値が減額された部分のことをいいます。

建物分の減価償却費相当額=(建物価格1,500万円+建物分費用380万円)×90%×償却率0.031×経過年数15年=786万7,800円

次に、建物分と土地分の取得費合計を出します。建物分の取得費は、上で求めた減価償却費を差し引いた額です。

建物分の取得費=建物価格1,500万円+建物費用380万円-減価償却費786万7,800円=1,093万2,200円
土地分の取得費=土地価格2,000万円+土地費用320万円=2,320万円

よって、取得費合計は3,413万2,200円となります。

これを使って、譲渡所得を以下のように求めます。

譲渡所得=譲渡金額5,000万円-(取得費3,413万2,200円+譲渡費用207万6,000円)=1,379万1,800円

取得費の計算方法

次に「取得費」の計算方法について詳しく見ていきます。取得費を求める際には、空き家の購入代金が分かっている場合と不明な場合の概算法の2つがあります。

空き家の購入代金がわかっている場合

空き家の購入代金がわかっている場合は、建物の価格部分のみ減価償却の計算を行います。取得費の算出式は以下の通りです。

取得費=土地購入価格+建物購入価格-減価償却費

減価償却費の算出式は、以下の通りです。

減価償却費=建物購入価額×0.9×償却率×経過年数

なお、償却率は建物の構造によって変わります。

減価償却率については下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。

マンションの減価償却とは!?基礎情報から具体的な計算方法まで徹底解説
減価償却はマンションを売却した際や賃貸として利益を得ている場合、確定申告をして納税額を正確に計算するために必要です。ここでは減価償却の必要性をふまえ、計算ルールや取得費が分からない時の対処法など、減価償却に関する知っておきたい知識を紹介します。

空き家の購入代金が不明な場合

マンションや建売住宅のように、土地と建物をセットで購入した場合などで物件の購入代金が不明な場合は、売却価格の5%を概算取得費として求めることができます。

土地の取得費=(譲渡価額-建物取得費)×5%
取得費=土地の取得費+建物の取得費

空き家の所有期間で税率は変わる

空き家の売却にかかる所得税率や住民税率は、空き家の所有期間によって変わります。下の表のように所有期間が5年を超えるか否かが、税率が決まるひとつの目安です。

所有期間 所得税率 住民税率
5年以下(短期譲渡所得) 30% 9%
5年超(長期譲渡所得) 15% 5%

所有期間5年以下と5年超えのそれぞれの場合を詳しく見ていきましょう。

5年以下の場合

空き家の所有期間が5年以下の場合は、所得税率が30%で住民税率は9%になります。所有期間が5年以下の場合は、それよりも所有期間が長い5年超よりも税率が高いため注意が必要です。これは、むやみに不動産の投機的取引が行われることを防ぐ趣旨で設定されています。

5年超の場合

空き家の所有期間が5年超の場合は所得税率15%で、住民税率は5%です。ただし、所有期間が10年を超える場合はさらに税率が低くなる特例もあります。特例については以下でも詳しく解説しますので、該当する場合は活用できるか確認しておきましょう。

空き家売却で適用される特別控除

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不動産を売買した際に、算出される税金の額を低く抑える特別控除制度がいくつか用意されています。空き家を売却した際には、どのような特別控除制度を利用することができるのでしょうか。

ここでは、空き家売却の際に適用される特別控除制度の中身を具体的に紹介します。

空き家の3,000万円特別控除

「空き家の3,000万円特別控除」制度では、相続により空き家になった不動産を相続人が売却して一定の適用要件を満たした場合には、その不動産を売却した際の譲渡所得から3,000万円を控除することができます。

この制度の適用条件は以下の4つがあげられます。

  • 相続開始の直前において被相続人が一人で居住していたもの
  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築された区分所有建築物以外の建物であること
  • 相続時から売却時まで事業、貸付、居住の用に供されていないこと
  • 相続により土地及び家屋を取得すること

なお運用期間の条件として、相続日から3年を経過する年の12月31日まで、さらに令和5年12月31日までに譲渡する必要があります。

マイホームを売ったときの特例

居住用財産であるマイホームを売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があります。

この特例を適用するには、以下の6つの条件を満たす必要があります。

  • 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売った年の前年及び前々年に、この特例又はマイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと
  • 売った年、その前年及び前々年にマイホームの買換えやマイホームの交換の特例の適用を受けていないこと
  • 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと
  • 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと

10年超所有の軽減税率

自分が住んでいたマイホーム(居住用財産)を売って一定の要件に当てはまるときは、長期譲渡所得の税額を通常の場合よりも低い税率で計算する「軽減税率の特例」を受けることができます。

この軽減税率の特例を受けるには、次の5つの要件全てを満たす必要があります。

  • 日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること
  • 売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること
  • 売った年の前年及び前々年にこの特例を受けていないこと
  • 売った家屋や敷地について、マイホームの買換えや交換の特例など他の特例を受けていないこと。ただし、マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は、重ねて受けることができる
  • 親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと

なお、特別の関係にはこのほか生計を一にする親族、家屋を売ったあとその売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

小規模宅地等の特例

居住用の住宅の場合は、小規模宅地等の特例を適用して相続税の減税をする方法があります。小規模宅地等の特例は、被相続人や被相続人と同一生計の親族の居住用や事業用の宅地で一定の条件を満たしている場合に、評価額が最大80%減額される特例です。

例えば、被相続人が特別養護老人ホームに入居していた場合であっても、規定条件を満たしていれば小規模宅地等の特例を利用することができます。

特例を受けるための手続きと必要な書類

空き家を売却する際には適用される特例はいくつもあります。これらの特例を活用するためには、規定の流れに沿って手続きを進めることが求められます。それでは、これらの特例を受けるためには具体的にどのような手続きを踏めばよいのでしょうか。

ここでは、その手続きの中身と必要な書類について解説します。

確定申告が必要

空き家を売却して特例の適用を受けるためには、確定申告の手続きを行う必要があります。確定申告とは、1月1日から12月31日までの間に生じた所得の合計金額を、所轄の税務署に申告・納税することです。

通常会社員は、給料所得以外に所得がなければ会社が年末調整の手続きを行ってくれるので、確定申告の必要はありません。しかし、空き家を売却して譲渡所得が発生する場合には、確定申告が必要です。

さらに、特例の適用を受けるためも確定申告手続きは必須といえます。確定申告は、売却した翌年の2月15日から3月15日までの間に手続きを行う必要があります。

不動産売却における確定申告や節税方法を下記記事でも紹介しています。ぜひご活用ください。

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必要な書類

空き家を売却して特例の適用を受ける場合は、確定申告書のほかに以下の書類が必要です。

  • 売却した空き家の登記事項証明書
  • 譲渡所得の内訳書
  • 売買契約書のコピー
  • 被相続人居住用家屋等確認署
  • 耐震基準適合証明書 など

必要な書類が揃っていなければ、手続きを進めることができないため注意が必要です。また、必要書類は特例ごとに異なるため、活用したい特例がある場合は、事前にどの書類が必要になるのかを調べて早めに準備するよう心がけましょう。

空き家売却の注意点

空き家をお得に売却できる特例はいくつもありますが、これらの特例には適用するための条件がそれぞれ設定されています。さらに、特例の中には併用できないものもあるため注意する必要があります。

ここでは、空き家売却で特例を利用する際の注意点について具体的に解説します。

特例を適用するためには譲渡金額の上限がある

「空き家の3,000万円特別控除」の特例には、譲渡金額の上限規定が設定されています。具体的には、譲渡金額が1億円以下でないと適用されないことは覚えておきましょう。

売却するまでは他の用途に使用しない

空き家になったあとで、賃貸に出したり事業用として利用したりした場合は特例が適用できなくなるため注意が必要です。将来的に空き家を売却する予定があれば、他の用途に使用して保有しないように心がけましょう。

併用できない特例がある

空き家売却の際の特例を複数利用する際は、中には併用できないものがあるので注意しましょう。例えば、空き家の3,000万円の控除と自己居住用の3,000万円の控除は併用できません。利用したい特典がある際は、併用できない特典がないか確認して申請することが重要です。

特例適用には耐震基準を満たす必要がある

特例を適用するためには、その家屋が現行の耐震基準に適合する必要があります。

仮に耐震基準に適合しない場合、特例を適用するためには耐震リフォームが必要となるため注意が必要になります。

共有名義にすることで控除額が増える

空き家の相続人が複数いる場合は、共有名義にすることで控除が人数分増えることになります。したがって相続の際は、空き家を複数人で共有名義にするとよいでしょう。

なおその際には、建物と土地の両方を共有名義にする必要があります。土地のみや建物のみ共有名義にしても、特例を適用することはできないため注意しましょう。

また、空き家の売却をする際は、一括査定サイトを利用し不動産会社の査定を受けて、資産価値を把握しておきましょう。

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まとめ

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田舎で暮らしていた親が亡くなり誰も住まなくなった実家を相続するケースなど、空き家を売却しようか悩んでいる方は意外に多いのではないでしょうか。しかしいざ売却しようとすると、さまざまな手続きや税金の問題に直面して、分からないことが多く戸惑う方もいることでしょう。

空き家を売却すると一定の税金が発生します。確かに税金の支払いは負担ですが、特例を活用することで負担を少なくすることが可能です。ぜひ本記事をお役立ていただき、後悔のない空き家の売却を目指しましょう!
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
https://www.land.mlit.go.jp/webland/
https://www.rosenka.nta.go.jp/
https://www.retpc.jp/chosa/reins/
https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
https://www.zentaku.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/02/2021-fudousan-anke-to.pdf


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