「不動産売却による譲渡所得がある場合、ふるさと納税による節税はお得なのか調べたい」と情報を集めていませんか。譲渡所得がある人がふるさと納税を利用した場合、数々のメリットを得られますし、自治体や故郷などに貢献できる喜びも実感できるでしょう。
この記事では、譲渡所得があるならふるさと納税を利用するべき理由について詳しく解説します。ふるさと納税を利用するメリットやその方法、注意ポイント、その他節税方法なども取り上げています。ふるさと納税の活用方法知りたい人などは、参考にしてください。
ふるさと納税の制度について
ふるさと納税は、総務省から認可を受けている自治体に寄付することで、その金額に応じて所得税・住民税が控除される制度です。
しかも、寄付の使い道を選択できたり、日本各地の名産品などの返礼があったり、節税以外にも魅力あふれる制度だと言えるでしょう。「応援したい自治体がある」「生まれ故郷をサポートしたい」という人にも、おすすめの制度です。
寄付先の制限はありませんので、自分住んでいる自治体へのふるさと納税も受け付けています。また、ふるさと納税の対象となっていない自治体もありますので、どの場所であれば利用できるのか事前にチェックしておきましょう。
譲渡所得がある人がふるさと納税を利用するメリット
不動産を売却し、譲渡所得がある場合においてふるさと納税を利用するメリットは次の通りです。
- 控除額の上限を引き上げることができる
- 控除により住民税と所得税が減額できる
- 返礼品が貰える
各メリットの詳細を紹介しますので、ふるさと納税の利用を検討している人は、参考にしてください。
控除額の上限を引き上げることができる
不動産を売却して得た譲渡所得を所得に加えると、ふるさと納税の控除額の上限も上がります。控除額の上限が上がると多額の寄付が可能となるため、節税効果がアップするでしょう。このように控除額の上限を引き上げられることは、ふるさと納税を利用する大きなメリットです。
限度額が増えるケース
ふるさと納税の限度額が増えるケースは、次の通りです。
- 購入額よりも不動産が高く売れた
- 築年数が経過しているのに購入時と値段が変わっていない
- 購入額のわからない不動産を売った
どのくらい増えるのかは、所得によって異なります。
ふるさと納税の控除限度額の計算方法
ふるさと納税の控除限度額を算出するためには、最初に譲渡所得を計算します。譲渡所得の計算式は以下の通りです。
譲渡収入は、不動産の売却価格のことです。取得費は、マンション購入費用や、登録免許税・印紙税などの各種税金を指しています。この取得費がわからない場合、「収入金額の5%」と概算することが認められています。譲渡費用は、売主負担の印紙税や売却時に支払った仲介手数料のことです。
譲渡所得を計算できたら、定められた税率をかけます。所得税と住民税の税率は、次のように所有期間が5年を超えるかどうかによって大きく異なります。
所有期間 | 所得税(復興特別所得税を含む) | 住民税 |
5年未満の短期譲渡所得 | 30.63% | 9% |
5年をオーバーしている長期譲渡所得 | 15.315% | 5% |
そしてふるさと納税の控除上限額を計算する際は、最初に、上記の通りに住民税を計算してください。続いて給与の住民税を算出します。その計算式は、次の通りです。
所得控除後の金額がわかったら、住民税所得割額を計算します。
最後は、以下の計算式に当てはめるだけで、ふるさと納税の控除限度額を算出可能です。
所得税率は、課税所得金額によって異なります。
例えば所得金額が195万円を超え330万円以下の場合であれば、10%の税率が適用されます。2,000円は自己負担分として定められているものです。
控除により住民税と所得税が減額できる
不動産の所得が大きくなればなるほど、所得税と住民税も増えます。しかし、ふるさと納税を利用すれば、所得が増える分ふるさと納税の上限額も増加し、所得税・住民税の控除が受けられることで納める税金を減らせるでしょう。
上限額ギリギリまで寄付すれば、負担になる所得税・住民税が最大限控除されます。つまり、控除により住民税と所得税が減額できるメリットもあるのです。
返礼品が貰える
ふるさと納税は、自治体に寄付をすることで税金が控除されるだけではなく、そのお礼として特産品が貰えることも大きなメリットです。自治体によって返礼品は異なり、例えば次のような品が挙げられます。
- 肉
- 米
- 酒
- 麺類
- 野菜
- 海産物
- 調味料
- 鍋セット
- コーヒー
- フルーツ
- スイーツ など
食べ物や飲み物だけではなく、家具やボディケアセット、工芸品、チケットなども返礼品にあります。
譲渡所得のある人がふるさと納税を利用する方法
ふるさと納税を利用する際、いくつかの方法があります。場合によっては、確定申告する必要もありません。ここでは、譲渡所得のある人がふるさと納税を利用する方法についての詳細をまとめました。
ふるさと納税をする場合
ふるさと納税を利用する具体的な方法は、ふるさと納税ポータルサイトを探しそのサイトで、寄付したい自治体や返礼品を選ぶだけです。
支払いは基本的に振り込みやクレジットカードで行えます。また、寄付したい自治体に郵便やFAXで直接申し込むことも可能です。詳細はふるさと納税ポータルサイトや自治体に確認しておきましょう。
確定申告で控除の手続きをする場合
ふるさと納税による控除を受けるためには、確定申告が必要です。その手順は以下の通りです。
- 自治体を選出
- ふるさと納税
- 確定申告を行う
- 税金が控除される
いくつかの自治体に寄付したケースでも、年に1回の確定申告の時期にまとめて手続きできます。
ワンストップ特例で控除の手続きをする場合
確定申告なしで控除が受けられる「ワンストップ特例」で控除を受ける際の手順は次の通りです。
- 自治体を選出
- ふるさと納税
- 税金が控除される
「ワンストップ特例」の場合、ふるさと納税時に手続きするので、確定申告は不要です。また、確定申告をする場合、ワンストップ特例は利用できないことも認識しておきましょう。
ワンストップ特例を利用するための条件
ワンストップ特例を利用するためには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。
- 寄付した自治体が5つ以内
- 年収2,000万円未満
- 確定申告の必要がない給与所得者
6つの自治体以上に寄付した場合は、確定申告を行い控除を受けましょう。
譲渡所得のある人がふるさと納税を利用する場合の注意点
ふるさと納税についてもっと知りたい人は、以下の注意点もおさえておきましょう。
- 家族構成によって上限額は異なる
- 上限額を超えた場合には寄付となる
- 自己負担金が発生する
- 売却損の場合は控除限度額が増えない
ふるさと納税を利用して損をしたくない人や、賢く利用したい人は、参考にしてください。
家族構成によって上限額は異なる
所得に応じてふるさと納税の上限額は決まりますが、他の要素にも影響されます。
- 独身・共働き
- 夫婦
- 子の有無や数
- 年齢
こうした要素により、上限額に変動があるため、譲渡所得だけに基準を合せないようにしましょう。以下、ふるさと納税額の目安になりますので、参考にしてください。
給与収入 | 独身・共働き | 夫婦 | 共働き+高校生 | 共働き+大学生 | 夫婦+高校生 | 共働き+大学生+高校生 | 夫婦+大学生+高校生 |
300万円 | 28,000円 | 19,000円 | 19,000円 | 15,000円 | 11,000円 | 7,000円 | – |
350万円 | 34,000円 | 26,000円 | 26,000円 | 22,000円 | 18,000円 | 13,000円 | 5,000円 |
400万円 | 42,000円 | 33,000円 | 33,000円 | 29,000円 | 25,000円 | 21,000円 | 12,000円 |
450万円 | 52,000円 | 41,000円 | 41,000円 | 37,000円 | 33,000円 | 28,000円 | 20,000円 |
500万円 | 61,000円 | 49,000円 | 49,000円 | 44,000円 | 40,000円 | 36,000円 | 28,000円 |
550万円 | 69,000円 | 60,000円 | 60,000円 | 57,000円 | 48,000円 | 44,000円 | 35,000円 |
600万円 | 77,000円 | 69,000円 | 69,000円 | 66,000円 | 60,000円 | 57,000円 | 43,000円 |
700万円 | 108,000円 | 86,000円 | 86,000円 | 83,000円 | 78,000円 | 75,000円 | 66,000円 |
800万円 | 129,000円 | 120,000円 | 120,000円 | 116,000円 | 110,000円 | 107,000円 | 85,000円 |
900万円 | 151,000円 | 141,000円 | 141,000円 | 138,000円 | 132,000円 | 128,000円 | 119,000円 |
1,000万円 | 176,000円 | 166,000円 | 166,000円 | 163,000円 | 157,000円 | 153,000円 | 144,000円 |
1,500万円 | 389,000円 | 389,000円 | 377,000円 | 373,000円 | 377,000円 | 361,000円 | 361,000円 |
2,000万円 | 564,000円 | 564,000円 | 552,000円 | 548,000円 | 552,000円 | 536,000円 | 536,000円 |
参考:「総務省|ふるさと納税のしくみ」
上限額を超えた場合には寄付となる
ふるさと納税の上限額をオーバーしている分には節税効果がなく、寄付という形になります。ふるさと納税の制度自体、上限額をオーバーしても利用できますが、上限額以上分は控除の対象になりません。
そのため、税金を抑えるためにふるさと納税を利用したい場合は、上限額ぎりぎりの金額にすることを意識しましょう。
自己負担金が発生する
ふるさと納税によって寄付した額すべてが控除されるわけではなく、2,000円の自己負担金が必要になることも注意ポイントです。自己負担金2,000円を引いた金額が、所得税・住民税から控除されるからこそ、2,000円以内の寄付では節税効果を望めないことも認識しておきましょう。
売却損の場合は控除限度額が増えない
不動産を売って利益が出なかった場合、ふるさと納税による控除額の上限は増えず、寄付金控除についての確定申告を行うことも、おさえておくべき注意点です。
売却して利益が出なければ、売却に関する確定申告は不要です。寄付した自治体が5つ以内であれば、ワンストップ特例も利用できるでしょう。
譲渡所得のある人が利用できるその他の節税対策
ふるさと納税以外にも、おすすめの節税方法が2つあります。
- 自宅を売却した場合に使える3,000万円の特別控除
- 買い替えに利用できる住宅ローン控除
それぞれの詳細を紹介します。
自宅を売却した場合に使える3,000万円の特別控除
所有年数に関係なく自宅を売却したときに適用される「3,000万円の特別控除」という制度があります。この制度は、譲渡所得のうち3,000万円まで控除されるもので、譲渡所得が3,000万円以下ならば非課税となります。また、ふるさと納税(寄付金)控除との併用も可能なため、3,000万円控除を適用してもなお売却益が出る場合はふるさと納税控除も活用しましょう。
3,000万円控除を受ける際は以下の要件を満たす必要があります。
- 住まなくなった日から3年が経過する年の12月31日以内に譲渡
- 最大過去2年以内にこの特例を適用したことがない
- 親子や夫婦など売り手と買い手が特別の関係ではない
詳しくは、国税庁ホームページのマイホーム特例要件ページをご参照ください。
家を趣味・保養のために所有するケースや、特例を受けることだけを目的として入居したと認められるケースなどにおいては、3,000万円の特別控除が適用されません。また、この特例を受けるためには確定申告が必要です。確定申告書に「譲渡所得の内訳書」などを添付して申請しましょう。
さらにこの特別控除と併用して、10年以上所有していた住居を売却した場合に税率が下がる「所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の特例」も適用可能です。
不動産売却時に受けられる特別控除について詳しく知りたい人はコチラもご覧ください。

買い替えに利用できる住宅ローン控除
3,000万円の特別控除や所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の特例とは併用できませんが、住み替えで新たな住宅購入を検討する場合には住宅ローン控除もおすすめです。
住宅ローン控除は住宅ローンを設定して住み替え用の住居を購入した場合に適用される制度で、年末の住宅ローンの残高に応じて、一定金額をその年の所得税から差し引けます。
最長10年間で、その控除額は年末のローン残高の1%です。2019年10月1日~2020年12月31日までに購入した住宅に入居した場合であれば、13年間も適用されます。また住宅ローン控除を受けるためにも、確定申告をしなければなりません。
こうした特例の適用や税金などに不安がある場合、税理士や税務署などに相談することをおすすめます。税理士に確定申告を依頼すれば、費用はかかるものの申告手続きを代行してくれるため、申告漏れや申告内容のミスなどがなくなります。税務署の職員に相談することでも、ミスなく確定申告できるでしょう。
まとめ
ふるさと納税は、自治体に寄付することでその金額に応じて所得税・住民税が控除される制度です。譲渡所得がある人がふるさと納税を利用するメリットを挙げるとすれば、控除額の上限を引き上げることができたり、控除により住民税と所得税が減額できたり、返礼品が貰えたりすることでしょう。
ふるさと納税は、確定申告で控除の手続きをすることが一般的ですが、寄付した自治体が5つ以内であれば、確定申告なしで控除が受けられる「ワンストップ特例」というものもあります。譲渡所得のある人がふるさと納税を利用する場合は、家族構成によって上限額は異なることを知り、上限額を超えた場合には寄付となることを認識しておきましょう。
ふるさと納税以外にも、自宅を売却した場合に使える3,000万円の特別控除や、買い替えに利用できる住宅ローン控除によって節税可能です。ふるさと納税を上手に活用し、賢く節税対策をしましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
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