不動産売却に必要なものの一つである「確定測量図」ですが、初めてこの言葉を耳にする方も多いのではないでしょうか。また、聞いたことはあるけれど、わざわざ高い金額を払って取得するほど必要なものなのか、疑問に思っている方もいるでしょう。
実は、確定測量図を取得するかどうかは任意ですが、その一手間を省くだけで大きなトラブルが発生し、思うように売却が進まなくなることもあり得るのです。
この記事では、そもそも確定測量図とは何か、その必要性や取得方法などを詳しく解説していきます。スムーズな取引で不動産売却を成功させるために、ぜひ参考にしてみてください。
【あなたに合うのはどれ?】おすすめ不動産一括査定サービス
まずは不動産がいくらで売れるか手っ取り早く知りたい方は、不動産一括査定サービスがおすすめです。不動産会社まで足を運ぶことなく、複数の会社にネットでまとめて査定を依頼できます。 ここでは、編集部おすすめの3タイプの不動産一括査定サービスをご紹介します。それぞれのサービスに特徴があるので、自分の状況に合うものを選ぶと良いでしょう。”*(2020年7月時点)出典:東京商工リサーチ「不動産の一括査定サイトに関するランキング調査」”
次の記事では、より多くのサービスを含めたランキングや「おすすめのサービスTOP3」「査定結果の満足度TOP3」「親族・友達におすすめしたいTOP3」などカテゴリ別のランキングを作っております。さらに詳しく知りたい方は読んでみてください。
確定測量図とは? ~土地の境界を確定させた測量図~
確定測量図とは、土地の境界を完全に確定させた測量図のことです。
土地を測定する時には道路や隣家の境を基準にしますが、測定士は境界杭をたよりに境目を決めます。この境界杭は、金属や石などを使用してあらかじめ地中に埋められます。またわかりやすいように矢印や、点、丸、十字の印をつけるのが一般的です。
しかし場合によっては動かしやすい状態で埋められていたり、耐久性に欠ける素材でしるしづけられていたりすることが原因で、もとの境界がどこだったのか分からなくなることがあります。そのような時には新たな境界線を決めて印付けをしますが、正確な測定をとるためには不動産所有者だけではなく隣の土地所有者、隣接道路を管理している行政担当者と共に境界を決めなければなりません。
不動産が隣接しあっている者同士で協議して決められた確定測量図は、不動産売却時に自分の土地面積の証明になる重要な資料となるのです。
その他2種類の測量図を解説
土地の面積を割り出す測量図ですが、その測量方法によっていくつかの種類に分類されています。確定測量図以外には、どんな測量方法があるのかを解説していきます。
現況測量図~おおまかな面積を割り出した測量図~
現況測量とは、該当する土地のおおまかな面積を割り出した測量図のことです。この測量方法は主に地形を重視した測定方法になっています。測る時に参考にされるのは土地に建っている建物や塀、現状の境界杭などです。そのような情報源から地形の高低差を測りだして、おおよその土地サイズやどれほどの建物をどの位置に建てるかなどに使用されます。また買主側が売主提示の測量図を確かめたい時に利用されることもあります。
使用目的が”おおまかなサイズを知るため”という限定的なものなので、確定測量図とは違って正確な土地境界を証明する資料にはなりません。
地積測量図~登記所に提出する公的な書面~
地積測量図とは、土地が誰の所有物なのかを国に登記する際に示される測量図のことです。土地の正確な起伏や境界標から測りだされ、隣接する土地の位置関係なども詳しく記載されます。
登記に使用されるという性質上法的にも信頼に足る資料となりますが、注意したいのは作成された年代です。地積測量図が用いられるようになったのは1960年4月1日からで、当時測量されたものは情報が乏しいうえに測量さえされることのなかった残地が含まれることがあります。もし売却する土地の資料として地積測量図を使用したいのであれば、不正確な土地面積資料となってしまうのを避けるため、作成された年代を確認しておきましょう。
確定測量図が不動産売却で必要な3つの理由
正確な土地面積情報として重宝される確定測量図ですが、土地の大きさを正確に把握する以外にも取得しておくべき3つの理由があります。
- 売却価格設定に役立てる
- 売却時のトラブルを避けられる
- 納税時の助けになる
以下でそれぞれ詳しく解説していきます。
不動産売却の価格を正確に見積もるため
土地の面積は、売却する不動産の価格設定に大きく影響します。該当する不動産の価格の大半は、土地の大きさで決まってしまうといっても過言ではないほど重要なのです。
測量図が正しくないと、実際には高額で売却できたはずなのに、安い金額で売却することになってしまいます。売却契約寸前で測量図情報が間違っていたとなっても、買主側が金額の値上げに応じることはありません。そのような事態を避けるために、測量図を作成する時には正確性の高い確定測量図にするのが賢明と言えます。
売却後の隣家とのトラブルを避けられるため
土地測量図の不正確さが原因で引き起こされる問題は、売却後にも起こり得ます。過去には以下のようなトラブル事例も上がっています。
- 境界位置の不合意がもとで買主が家を建てられない
- 塀設置の時に隣家とトラブルになった
- 整地の際に隣人が植木の所有を主張しもめた
このような場合には、売主側が「引き渡された不動産が契約内容に適合していない」として契約不適合責任に問われ、損害賠償請求や契約解除をされてしまうという重大な結果につながる可能性があります。
そうならないためにも、正確に土地を測量することができる確定測量図の作成は必須なのです。
契約不適合責任とは
売主は、売買契約や請負契約の内容に適合した物件を、買主や注文者などの相手側に引き渡す義務を負っています。「契約不適合責任」とは、これらの契約において売主や請負人が相手側に引き渡した物件が、その種類・品質・数量にかかわらず「契約内容に適合していない」と判断された場合、売主や請負人が相手側に対して負う責任のことを指します。
売主は設備に関しては、契約不適合責任を負わないということを契約書面に記載することが大切です。これにより買主も了承したとみなされるので、その後トラブルになることはありません。
物件の現状を把握し、その内容を契約書等にしっかり記載することが大切です。瑕疵があったこと自体ではなく、「契約書等に記載されているか」がポイントになります。
相続税の支払い額を決めるため
不動産を相続するケースでも、正確な土地測量は重要な資料となります。不動産を相続した時には相続税の支払い義務が発生します。この税金額を決定するためには該当する不動産の価値を算出しなければなりません。先で説明した不動産売却価格と同様、この税額算定の際にも土地の大きさが不動産評価額に直結します。
もし土地の大きさが実際のものより大きく測定されているなら、必然的に請求される税額も多くなります。税金の支払いで損をしてしまわないためにも、正確な測量を行うことが不可欠です。
確定測量図の入手方法
正確な測量でよりスムーズに不動産を扱うために必要不可欠な確定測量図ですが、その入手方法も知っておきたいものです。続いては、確定測量図の入手手順を解説していきます。
専門家に確定測量図の作成を依頼する
確定測量図を作成するのは土地家屋調査士の資格を持つ専門家です。日本土地家屋調査士会連合会では、全国で活躍している土地家屋調査士のデータベースから検索できるサービスを提供してます。都道府県別に検索することもできるのでとても便利です。
土地家屋調査士選びをする際は、以下の点をチェックすると信頼のおける調査士選びに役立ちます。
- 報酬額のことをフランクに相談できる
- 相談したい時にすぐ対応してくれる
- 測量時の不安解消ができる予備知識が豊富
土地を測量してもらう時に気兼ねなく相談できると安心して測定を依頼することができます。上記の点はどれもその信頼性を見ることができる部分なので、直接会って相談する際に留意してみましょう。
また一般的に、測定以来から測定図が完成するまでに3~4ケ月の期間を要します。もし不動産売却で確定測量図を作成するのであれば、タイムラグも計算に入れた売却計画を立てましょう。
必要な書類が収集されるのを待つ
土地家屋調査士は依頼後、測定に必要な資料を収集します。主な必要書類はそれぞれ以下の場所から取得することができます。
書類名 | 書類概要 | 取得場所 |
公図 | おおまかに土地の形状や大きさを記した図面 | 法務局 |
登記簿 | 不動産に関する情報や所有者が記入された書類 | |
地積測量図 | 土地の面積を確定した法的書類 | |
建物図面 | 登記の際に添付した建物の構造図面 | |
道路や水路に関する書類 | 接地する道路や水路位置を記した書類 | 市役所 |
これらの書類に加えて隣家の土地所有者は誰かという点も調査します。書類集めや事前調査を終えると、いよいよ現地での測定作業に取り掛かります。
隣家の人も一緒に境界の確認をする
確定測量図作成時には、隣り合っている土地所有者の立ち会いが必要になります。常日頃から良好な関係を築いていれば立ち会いを快諾してもらいやすくなります。しかし日頃は良い関係を築けていたのに立ち会いを拒否されてしまうこともあり得ます。そのような時に利用したいのは、法務省が定める筆界特定制度という方法です。
この方法を利用すると以下のようなメリットがあります。
- 隣家の立ち会いなしで測量できる
- 資格ある登記官に確定してもらえる
- 裁判沙汰になるのを回避できる
また、立ち会いには土地家屋調査士だけでなく弁護士も同席するので、法の観点からも以前定められていた境界線を確定することができます。
境界に杭を打ち込み確定測量図を完成させる
確定された境界場所には記号が記された杭を打ちます。杭は今後の指標にもなるため、耐久性のあるコンクリート素材を使うのが一般的です。
杭につけられる印にはたくさんの種類があり、丸や矢印、十字、T字などの印が赤字で彫り込まれています。全ての記号は共通して境界点を表しており、境界点が杭の角にあたるのか、真ん中にあたるのかなどによって用いられる記号が変わってきます。
そして、境界点を設置した際に発行される証明書類が筆界確認書です。確定測量図を依頼した人と隣接する土地所有者にそれぞれ1通ずつ発行してもらえるので、今後いさかいが起きないよう大切に保管しておきましょう。
また、当該不動産を売却する際は買主にも筆界確認書を手渡しておけば、契約不適合責任に問われるリスクも減るでしょう。
確定測量図の注意点
確定測量図を作成する時や作成した後には注意すべきこともあります。どういったことに気をつけておく必要があるのでしょうか?
確定測量図を作成しても境界はズレる場合がある
境界標を設置して確定測量図を作成しても、残念ながら境界位置がズレてしまうことがあります。その原因は災害や電信柱、マンホール工事です。災害が起きた時には混乱のさなか復旧作業が行われるので、元の境界標と違う場所に杭が打ち込まれることがよくあります。また、公共工事の際にもいったん移動させておいた境界標を戻す時にずれてしまうことがあるのです。
こういった事態を避けるためにどのような対策をとることができるのでしょうか?
- 境界標の位置を写真に収めておく
- 工事作業の際は境界標を元に戻すよう声掛けする
- 定期的に境界標の位置をチェックする
最近の土地価格事情では、少しのズレが生じているだけで土地価格が下がってしまったというケースも散見されます。確定測量図を作成していても、常日頃から土地境界を気に掛けることで大切な財産を守りましょう。
確定測量図の作成には高額な費用
確定測量図は専門家の豊富な知識と技術によって作成される図面なので、それ相応の依頼費用が必要になります。相場価格は60~80万円程度ですが、立ち会いをするのが個人なのか行政の役員なのかによっても金額が変わってきます。特に道路や公共施設が隣接している場合には準備すべき資料や作業量が変わるため、価格の変動が起こりやすいでしょう。
また確定測量経験が浅い土地家屋調査士に依頼してしまうと、現地相場に精通しておらず通常より高い金額を提示されることもあります。費用を少しでも抑えるためにいくつかの土地家屋調査士に相談し、調査費用を比較検討することが重要です。現地の相場を知れるだけでなく、対応の仕方で質の良い土地家屋調査士に出会う確率を高められます。
境界で隣家ともめると裁判にまで発展する
境界標の立ち会いを拒否されたり、筆界確認書の内容に相違があるという申し出がある場合には隣家ともめてしまう可能性があります。また先に紹介した筆界確認制度で専門家による判断を下してもらった後に、隣接する土地の所有者が異議を唱える場合もあります。
そのような時には最終手段として弁護士介入のもと裁判で境界位置を決めなければなりません。もし当該不動産が共有財産で所有者が複数いるなら、裁判では所有者全員が出廷する必要があります。また、一度裁判で判定された境界標位置は所有者が変わらない限り再度裁判に持ち出すことは許されていません。
時間も費用もかかる解決方法なのであまりおすすめできるものではありませんが、どうしても折り合いがつかない時の対処方法として覚えておきましょう。
確定測量図が用意できたら不動産売却を開始
確定測量図を取得できたらいよいよ不動産売却活動をスタートさせることができます。スムーズな売却を始める際にはどのような点を把握しておくべきでしょうか?あらかじめ準備すべきものや査定方法などをご紹介します。
不動産売却で使う書類一覧
不動産売却を進めるうえで必要になる基本の書類には次のものが挙げられます。
- 登記済権利証
- 確定測量図
- 地積測量図
- 間取り図
- 身分証明書
- 実印、印鑑証明
- 建築確認済証
- 境界確認書
- 検査済証
これらの書類は不動産会社に仲介依頼をする前段階から準備しておくとよいでしょう。そうすれば売却活動期間の短縮にもつながり、仲介費用の節約にも役立ちます。
土地の売却に必要な書類についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

一括査定を使えば売却価格で損をしない
一括査定サイトとは、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できるシステムのことです。一括査定をすると次のようなメリットがあります。
- 売却する不動産の相場を知ることができる
- 査定時間や不動産会社を探す時間を短縮できる
- 希望に合った不動産会社に出会える可能性が高まる
一括査定はオンライン上で依頼から査定結果まで無料で利用することができ、手軽に不動産価値を調べることができる便利なツールです。直接査定依頼をした際に希望の売却価格でない時は面と向かって断りを入れづらく感じますが、一括査定サイトを使用するとそのような気まずさも感じることなく不動産会社を選定できます。
また不動産会社の査定や応対の姿勢から、どれほど熱意をもって仲介担当してくれそうか、誠実な気持ちで売主に向き合おうとしてくれているのかなどといった人間性も見極められます。賢い売却活動のためにもぜひ一括査定を活用しましょう。
おすすめの一括査定サイトは「すまいステップ」

- 初めてで不安だから実績のあるエース級の担当者に出会いたい
- 厳選された優良不動産会社のみに査定を依頼したい
- 悪徳業者が徹底的に排除された査定サイトを使いたい
\ 厳選した優良会社に査定依頼 /
すまいステップで一括査定する
その他の一括査定サイトや選び方について詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

確定測量図は義務ではない
何らかの理由で確定測量図が作成できなかったとしても、不動産を売却できなくなるわけではありません。確かに確定測量図があればいいに越したことはありませんが、山林や田畑などの広い敷地を測量するには測量費がかさみますし、土地が隣接していなければ近隣住民とトラブルにもなりにくいので、確定測量図をとらずに売却するのも一つの手です。
一つの目安として、確定測量図が必要になるのは以下のようなケースです。
- 都市部の土地
- 公共施設や道路が隣接している場合
- 塀を設置する場合
- 狭い敷地に建築する場合
自分の所有する不動産は確定測量図をとる必要があるものなのか、逆にとらなかった場合のリスクはどれほどなのかを事前に調べておくとよいでしょう。
まとめ
不動産の売却で、まず初めの段階で調べておきたい正確な敷地面積ですが、自分の所有地をより明確にするために確定測量図は欠かせません。測量図作成を依頼する時にはまず測定方法を把握し、どれほどの費用がかかるのかを知っておきましょう。
また流れや測量に関係する注意点、測量を依頼する業者の選び方を押さえておけば、売却活動前に損をすることなくスムーズに計画を進められます。
この記事で取り上げた確定測量図に関しての知識を活用して、賢く不動産売却活動をスタートさせましょう!
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
・https://www.rosenka.nta.go.jp/
・https://www.retpc.jp/chosa/reins/
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
・https://www.zentaku.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/02/2021-fudousan-anke-to.pdf
◆記事で紹介した商品・サービスを購入・申込すると、売上の一部がマイナビニュース・マイナビウーマンに還元されることがあります。◆特定商品・サービスの広告を行う場合には、商品・サービス情報に「PR」表記を記載します。◆紹介している情報は、必ずしも個々の商品・サービスの安全性・有効性を示しているわけではありません。商品・サービスを選ぶときの参考情報としてご利用ください。◆商品・サービススペックは、メーカーやサービス事業者のホームページの情報を参考にしています。◆記事内容は記事作成時のもので、その後、商品・サービスのリニューアルによって仕様やサービス内容が変更されていたり、販売・提供が中止されている場合があります。