マンションを購入すると、どのような税金がかかるのでしょうか? マンションを購入した場合の税金は、不動産取得税のようなマンション購入時にかかる税金と、固定資産税のようにマンション購入後毎年かかる税金の大きく2つに分けることができます。
本記事では、この2タイプの税金について紹介するとともに、住宅ローン控除などの住宅取得支援策や確定申告についても解説します。ぜひ本記事でマンション購入時にかかる税金の全体像を理解していただき、納税や節税対策の手続きをスムーズにしてください。
※株式会社リンクアンドパートナーズによる調査。アンケートモニター提供元:GMOリサーチ株式会社
マンション購入時にかかる税金
まずマンション購入時にかかる税金を見ていきましょう。
税金 | 課税されるケース 〇・・・ほぼすべての人に当てはまる △・・・場合によっては当てはまる |
納税時期 |
印紙税 | 〇・・・契約書を作成したとき | 契約をしたとき |
消費税 | 〇・・・建物を購入したとき、サービスを受けたとき | 支払いをしたとき |
登録免許税 | 〇・・・所有権設定登記または所有権保存登記 △・・・抵当権設定登記(住宅ローンを利用した場合) |
登記の手続きをしたとき |
不動産取得税 | 〇・・・不動産を取得したとき | 申告から3~6ヶ月後 |
贈与税 | △・・・購入資金の援助を受けた場合 | 贈与翌年の2~3月 |
このように5種類の税金がありますが、課税されるケースと納税時期がそれぞれ異なるので、ここで確認しておきましょう。
印紙税
印紙税は不動産売買契約書や、住宅ローンの金銭消費貸借契約書などに収入印紙を貼って納付する税金です。
税額は、次の表のように文書に記載された金額に応じて変わります。2022年3月31日までに作成された不動産売買契約書については税額が軽減されます。
記載された契約金額 | 税額(本則) | 税額(軽減後) 2022.3.31まで |
1万円未満のもの | 非課税 | 非課税 |
1万円以上10万円以下のもの | 200円 | 同左(軽減なし) |
10万円を超え50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 | 同左(軽減なし) |
“出典:国税庁「No.7101 不動産の譲渡・消費貸借等に関する契約書」「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」を加工”
消費税
消費税は建物を購入したときや、マンションを購入したときに受けるさまざまなサービスにかかる税金です。次の表のように課税されるものと、非課税になるものがあります。
課税されるもの | 非課税になるもの |
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登録免許税
登録免許税は登記手続きをするときにかかる税金です。納付方法は現金、電子納付、収入印紙の3つがあります。
マンション購入の場合は次の表のような登記が必要です。マンションが新築の場合は、床面積50平米以上の居住用の住宅であり、1年以内に登記をすることなどの要件を満たせば軽減税率が適用されます。
登記の種類 | 必要なケース | 計算方法 | 軽減税率 |
所有権保存登記 | 新築マンションを購入した場合 |
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所有権移転登記 | 中古マンションを購入した場合 |
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抵当権設定登記 | 購入したマンションを担保にして住宅ローンで借り入れした場合 |
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所有権移転登記の登録免許税は、買主が全額負担するのが一般的です。
所有権移転登記については、次の記事で詳しく解説しています。

登記の費用については、次の記事でも紹介しています。

不動産取得税
不動産取得税は不動産を取得すると必ずかかる税金です。取得日から30~60日以内(都道府県によって異なる)に不動産がある都道府県に申告し、3~6ヶ月後(都道府県によって異なる)に届く納税通知書を用いて金融機関などで納付します。
不動産取得税の計算式は次の通りですが、2024年3月31日までは軽減措置が適用されます。
計算方法(本則) | 計算方法(軽減後) 2024.3.31まで |
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土地(住宅) | 固定資産税評価額×4% | 固定資産税評価額×1/2×3% |
土地(非住宅) | 固定資産税評価額×4% | 固定資産税評価額×3% |
家屋(住宅) | 固定資産税評価額×4% | 固定資産税評価額×3% |
家屋(住宅) | 固定資産税評価額×4% | 同左(軽減なし) |
また要件を満たすマンションを購入したときは、次の軽減措置が適用されます。
新築 | 中古 | |
土地 |
下記ア・イのどちらか大きい方
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同左 |
家屋 | 固定資産税評価額-控除額(1,200万円)×3% | 固定資産税評価額-控除額(下記による)×3%
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このほかにも軽減措置があるので、マンションがある都道府県のサイト(例:東京都主税局の「不動産取得税」)をチェックしてみてください。また「不動産取得税計算ツール」が用意されているので、不動産取得税の税額がどのくらいになるか試しに計算してみてはいかがしょうか。
新築住宅の不動産取得税については、次の記事で詳しく解説しています。

また中古住宅の不動産取得税についてより詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。

贈与税
贈与税は、マンションの購入資金を援助してもらったときにかかる税金です。1年間(1月1日~12月31日)に贈与を受けた財産の合計額が110万円以下であれば課税されず、申告も不要となります。
贈与税には次の表のように、暦年課税と相続時精算課税があり、どちらかを選べます。
暦年課税 | 相続時精算課税 | |
計算方法 |
(税率は一般税率または特例税率により、控除額は課税価格に応じて変わる。国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」参照) |
(贈与者の死亡時に、相続財産に生前贈与した分を合算して相続税を課税) |
要件 |
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※年齢は贈与年の1月1日時点
暦年課税と相続時精算課税のどちらも軽減措置がありますが、年々仕組みが変わるのと制度が少々複雑なので、専門家である税理士に相談してみるとよいでしょう。
贈与税については、次の記事で詳しく解説しています。

マンション購入後に毎年かかり続ける税金
マンション購入後に毎年かかる税金には、固定資産税と都市計画税があります。いずれも毎年1月1日の時点で所有していれば、支払い続けなければならない税金です。ここでそれぞれがどのような税金なのかを確認してください。
固定資産税
固定資産税は、固定資産(土地、家屋、償却資産)がある市町村(東京23区は都)に対して支払う税金です。税額は次の計算式で求めます。
1.4%は標準税率のため、市町村によっては1.4%よりも高く設定しているところもあります。
固定資産税については、次の章で詳しく紹介します。
都市計画税
都市計画税は、市街化区域にある土地と家屋にかかる税金で、市町村(東京23区は都)に対して固定資産税とあわせて支払います。
市街化区域とは、都市計画法上の都市計画区域のうち「すでに市街地を形成している区域」や「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」をいいます。一方、「市街化を抑制する区域」は市街化調整区域です。
税額は次の計算式で求めます。
0.3%は標準税率のため、市町村によっては税率を低く設定しているところもあります。また住宅用地については次の表のように計算します。
小規模住宅用地 (住宅1戸あたり200平米までの住宅用地) |
その他の住宅用地 (小規模住宅用地を超える部分の住宅用地) |
固定資産税評価額×1/3×0.3% | 固定資産税評価額×2/3×0.3% |
【Q&A】固定資産税・都市計画税についてよくある疑問
固定資産税や都市計画税は、マンションを所有している間は支払い続けなければならないため、気になっている方も多いと思います。そこで固定資産税・都市計画税についてよくある疑問にお答えします。
納税義務者は誰?
毎年1月1日時点で、土地や家屋(固定資産税の場合は償却資産も)の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている人が納税義務者になります。
いつどのように納税するの?
毎年5~6月頃に市町村(東京23区は都税事務所)から届く納税通知書を用いて金融機関などで納付します。年4回の分納も可能です。固定資産税と都市計画税をあわせて支払います。
購入した年の支払いは?
引き渡し日を基準に日割り計算を行い、引き渡し後の分を買主から売主に預け、納税義務者である売主が引き渡し前の分と合算して支払うのが一般的です。
固定資産税の日割り計算については、次の記事で詳しく解説しています。

固定資産税評価額はどうやって決まるの?
国の「固定資産評価基準」(総務省)に基づいて、不動産鑑定士などの資格を持つ各市町村(東京23区は都)の固定資産評価員が1軒ずつ調査し、評価額を決めます。
土地と家屋については原則として3年ごとに評価額を見直し(評価替え)、その翌年度と翌々年度は原則として評価額を据え置きます。2021年度は評価替えの年度(基準年度)だったので、次の評価替えは2024年度に行われます。
土地の評価額は、毎年1月1日に定められる公示地価の約70%を目安として、土地がある地域、接道状況、形状、面積などを考慮して評価額を計算します。
建物の評価額は、再建築価格方式という計算方法で算出することが可能です。再建築価格とは、同じ土地に同じ建物を再建築した場合の建築費用を、建材などの値上がりを考慮して計算し、そこから経年劣化分を差し引いて求めます。新築の場合は、請負工事金額の約50~60%が目安とされていますが、構造や面積などで評価額は変わってきます。
公示地価については、次の記事で詳しく解説しています。

固定資産税については、一般財団法人資産評価システム研究センターの「固定資産税のしおり(令和3年度)」でわかりやすく説明されています。より詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
マンション購入時に利用できる住宅取得支援策
国土交通省では住宅取得にメリットが出る住宅取得支援策を用意しています。ここではマンション購入時に利用できる支援策を3つ紹介します。特に住宅ローン控除は減税幅も大きいため要注目です。
住宅ローン控除(住宅ローン減税)
住宅ローン控除(国土交通省)は、マンション購入時に10年以上の住宅ローンを組んだ場合に利用可能です。原則として年末時点でのローン残高の1%(最大40万円まで)が10年間(2019年10月~2020年12月※に入居し、かつ消費税10%で住宅を購入した場合は13年間)控除されます。所得税から控除しきれない分は、住民税からも控除できます。
※コロナ禍の影響で入居期限が遅れた場合でも、2021年12月までに入居できれば、この控除期間の延長措置が適用されます。
住宅ローン控除を受けるには、確定申告をする必要があります。詳しくは次の章で解説しますので、ぜひ続けてお読みください。
住宅ローン控除についてより詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。

すまい給付金
すまい給付金は、年収が一定以下の人を対象に、消費税率が5%から引上げされたことによる負担を軽減するための制度です。消費税率8%時は年収510万円以下であれば最大30万円、10%時は年収775万円以下であれば最大50万円の給付が受けられます。なお5%時に購入した場合は対象外です。
すまい給付金を受けるには、2014年4月から2021年12月まで※に引き渡し・入居が完了する必要があります。
※コロナ禍の影響で下記の期間内に契約していれば、引き渡し・入居の完了が2022年12月まで延長されています。
- 注文住宅の新築:2020年10月~2021年9月
- 分譲住宅・既存住宅:2020年12月~2021年11月
すまい給付金については、次の記事で詳しく解説しています。

グリーン住宅ポイント
グリーン住宅ポイントは、一定の性能を有する住宅に対して、”新たな日常”や”防災”に対応した追加工事やさまざまな商品と交換できるポイントを発行してくれる制度です。新築であれば最大40万円相当、一定の要件を満たす場合は最大100万円相当に引上げされます。既存住宅の購入、リフォーム、賃貸住宅の建設でも対象になります。
長期化するコロナ禍や激甚化する災害対策として、住宅のバージョンアップを検討してみてはいかがでしょうか?マンションの購入の場合、2021年10月までに不動産売買契約がされたものが対象になります。期限まで残り少ないので、早めに手続きをしてください。
グリーン住宅ポイントについて、より詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。
マイナビニュース「2021年「グリーン住宅ポイント制度」とは? 対象となる住宅の条件や交換ポイント、注意点などを解説」
住宅ローン控除を受けるために必要な確定申告
住宅ローン控除を受けるためには、マンション購入の翌年に確定申告をする必要があります。最後に確定申告の手続きについて紹介します。
確定申告の流れ
まず確定申告の流れを見ていきましょう。確定申告の期間は毎年2月16日~3月15日が原則ですので、お正月が明けたら準備を始めるのがおすすめです。
- 必要書類を集める:次の「必要書類一覧」にある書類を用意する
- 確定申告書を作成・提出する:所轄の税務署で申告書の書式を取り寄せるか、国税庁公式サイトの確定申告書等作成コーナー(毎年1月に公開)で作成し提出する
- 還付金を受領する:会社員など給与所得がある人は還付金が発生したら、約1ヶ月後に指定口座に振り込まれる
必要書類一覧
確定申告に必要な書類は次の通りです。
書類名 | 入手先 | 注記 |
1.確定申告書 |
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2. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書 |
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3.住民票の写し | 居住している市区町村の役所・役場 | |
4.マンションの登記事項証明書 |
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オンライン申請のほうが手数料が安い(法務省「登記事項証明書等の交付の請求をする場合の手数料が改定されます!」参照) |
5.住宅ローンの年末残高証明書 | 金融機関 | |
6.不動産売買契約書の写し | 不動産会社 | |
7.マンションを購入した年の源泉徴収票(給与所得者の場合) | 勤務先 | |
8.マイナンバーが記載されている書類 | 居住している市区町村の役所・役場 | 下記のいずれかを準備
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9.その他 | 不動産会社等 | 認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、一定の耐震基準を満たす中古住宅、コロナ禍の影響で入居が遅れた場合など、必要に応じて証明する書類のコピーを準備 |
書類の提出方法について
まず「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」を記入して控除額を計算し、続いて「確定申告書」を記入します。
確定申告書の記入は慣れていないと難しく感じますが、税務署窓口や市区町村の相談コーナーで職員が方法を教えてくれるので、わからないことがあったら早めに相談しましょう。
2つの書類が完成したら、その他の必要書類をそろえて所轄の税務署に提出します。提出方法は税務署の窓口に直接持参、郵送、e-Tax(電子申告)の3つです。郵送の場合は通信日付印(消印)の日付が提出日の扱いになるため、申告期間内になるように注意してください。
2年目以降の年末調整・確定申告について
会社員の場合は、2年目以降の確定申告は必要ありません。下記の書類を用意して勤務先で年末調整の手続きをしましょう。
書類名 | 入手先 | 注記 |
1. 年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書 | 税務署 | 購入翌年に確定申告をすると、税務署から翌年以降分がまとめて送付されてくるので、なくさないように保管する |
2.住宅ローンの年末残高証明書 | 金融機関 |
詳しくは国税庁の「年末調整で(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用を受ける方へ」をご覧ください。
一方、自営業者・個人事業主などの人は2年目以降も確定申告が必要です。「必要書類一覧」で紹介した下記の書類を用意して、確定申告書に添付します。
- 2.(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 5.住宅ローンの年末残高証明書
確定申告を忘れた場合は?
確定申告をしないと住宅ローン控除は受けられません。ただ、仮に忘れてしまっても5年以内に確定申告をすれば、その分の還付金を受け取ることができます。
ただし、自営業者・個人事業主などの人は、原則として毎年確定申告をしなければなりません。申告を忘れると無申告加算税や延滞税がかかることもあるので、必ず期間内に忘れずに申告をしましょう。
まとめ
本記事ではマンション購入時にかかる税金の種類や納税手続きの方法などについて紹介してきました。マンションを購入した場合の税金は、不動産取得税に代表されるマンション購入時にかかる税金と、固定資産税に代表されるマンション購入後所有しているかぎり毎年かかる続ける税金があります。
マンションを購入した場合は、住宅ローン控除などの住宅取得支援策が用意されています。住宅ローン控除は購入の翌年に確定申告が必要です。2年目以降は会社員の場合は年末調整、自営業者・個人事業主などの場合は確定申告で10年近く手続きを続ける必要があります。面倒に感じるかもしれませんが、減税額が大きいので忘れないように手続きしましょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
・https://www.rosenka.nta.go.jp/
・https://www.retpc.jp/chosa/reins/
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
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