将来家を購入するために頭金を貯めている方も多いと思います。その上で、住宅ローンは何年組むのか悩みませんか?今の年齢から借りる場合は30年にするのがいいのか、それとも違う期間にするのがいいのか、他の人はどうやって決めるのか知りたいのではないでしょうか。
本記事では住宅ローンの借入金額の上限や平均的な借り入れ年数・返済期間を選ぶポイント・期間によってどのくらい返済金額が変わるのかなど、住宅ローンの借入期間について様々な観点から解説していきますので、住宅ローンを組む期間を決める参考にしてください。
借入の上限はあるの?
理想の家に住むためには、できるだけ沢山の金額を借りて家を購入したいと考えるでしょうが、借り入れには上限の金額と年齢、適正な借入金額があります。家を購入する前にぜひ知っておきたい基準について解説します。
上限の期間と年齢
金融機関によって借り入れ期間の上限と借り入れられる年齢の上限は様々です。借入期間最長35年のところも多いですが、50年としている金融機関もあります。
また、年齢の上限は借入時と完済時の年齢について、多くの金融機関が制限を設けています。住宅ローンの借り入れの際は、団体信用生命保険の加入が必須としている金融機関が多いためです。団体信用生命保険の加入年齢の上限は80歳としている場合が多いため、80歳で完済をするローンを35年借り入れしようとする場合、借入時の年齢は45歳までになります。
住宅ローンを借りる年数について詳しく解説したこちらの記事もおすすめです。

適正な借入額とは
適正な借入額を知るためには年収に応じた適正な返済比率を知る必要があります。
金融機関は住宅ローン審査を行うときには年収・借入時年齢・勤続年数・支払い遅延状況などについて見ていきますが、返済負担率を重要視します。返済比率の計算方法は、以下の通りです。
例えば、額面年収が500万円の人が年間返済額100万円として借り入れたとすると、100万÷500万円=0.2で返済比率は20%となります。
返済負担率を最大40%までとしている金融機関もありますが、返しながら生活をしていくことを考えると、年収の20%から25%にしていくことが、適正な返済比率といえるでしょう。
平均の返済期間は何年?
実際に住宅ローンを借りて家を購入した人の平均借入年数はどのくらいなのでしょうか。令和元年度国土交通省調べ住宅市場動向調査のデータを以下の表にしてみました。
住宅の形態 | 平均返済年数 |
注文住宅 | 土地部分は33.8年、建物部分は32.1年 |
分譲戸建住宅 | 32.7年 |
分譲マンション | 31.5年 |
中古戸建住宅 | 28.1年 |
中古マンション | 28.9年 |
”参考:国土交通省「令和元年度住宅市場動向調査報告書」”
新築の注文・分譲戸建住宅及び新築分譲マンションの平均借入年数は30年を超えています。一方、中古の戸建て・マンションは30年を切っています。
借り入れるときの平均期間がわかったところで、実際の返済期間の平均年数はどのくらいなのか見てみましょう。2020年度住宅金融支援機構調べ住宅ローン貸し出し動向調査のデータによると、2019年に返済した人で15年超20年未満で返済した人の割合が最も多く43.2%いました。次いで、20年超25年以下の18.5%、10年以下で返済した人が16.4%もいて30年以下の期間で返済する人が大多数を占めています。
”参考:住宅金融支援機構「2020年度住宅ローン貸し出し動向調査」
住宅ローンの年数の判断ポイント
住宅ローンは同じ金額であれば支払う年数が長くなれば総支払額も多くなり、短くすることで毎月の負担が増えます。毎月の暮らしぶりにも関わってきますので、年数は慎重に決めていくことが重要です。どのくらいの年数にするかを決めるポイントについて説明していきます。
- 毎月の返済額
- 借り入れする金額
- 金利
- 頭金の金額
月々の返済金額
1つ目のポイントは、毎月どのくらい住宅ローン返済ができるのかということです。年収から見た年間返済額の目安は20%から25%までとしているように無理なく支払える金額の設定が必要です。
毎月かかる生活費はもちろん、将来かかる教育費や老後資金などの費用について、どのくらい貯蓄が必要であるか計算してみましょう。毎月支払える金額がわかることで、返済期間のシミュレーションができ期間を決めることができます。
借入金額
借り入れる金額によって返済期間は変わるため、借入金額についてしっかりと検討することが重要です。
例えば、固定金利1.0%で3,000万円借りるとして返済期間25年と30年を比べてみましょう。返済期間25年では3,3918,377円、返済期間30年では総返済額が34,736,908円となり約81万円も差が出てしまいます。同じ金額を借り入れるなら返済期間が短いほうが、当然総返済額が少なくなります。
手持ちの預貯金や有価証券等の住宅購入資金に充てられるものを探し、どのくらい借り入れができるのか計算をしてみましょう。
金利のタイプ
住宅ローンの金利によっても返済期間は変わってきます。金利のタイプには、全期間固定金利や期間固定型金利、変動タイプとあり、金利が高い固定金利タイプで借り入れると総返済額も高くなりますが、景気等によってのリスクは少ないなど金利によって特徴は異なります。
更に金融機関や金利の選び方によって返済期間も変わるので、利息を減らすことを優先とするのかについて考えましょう。
住宅ローンの仕組みや金利タイプについて詳しく解説したこちらの記事もおすすめです。

支払う頭金の金額
住宅購入前に支払う頭金によって、毎月の負担が変わります。頭金+住宅ローンを合わせた金額が住宅の購入代金となりますが、欲しい家や建てたい家の金額がどのくらいであるかを知ることが必要です。
頭金の金額が大きければ家の購入代金の内のローン部分を減らすことができるので、期間の短縮もできます。
借入期間別の総支払額
返済期間20年と35年で住宅ローンを組んだ場合で比較すると、返済総額は35年のほうが高くなりますが、毎月の支払額は35年のほうが安く済みます。
全期間固定金利1.0%で2,000万円借り入れた場合と3,000万円借り入れて、それぞれ20年・25年・30年・35年で返済する場合のシミュレーションを行ってみましょう。
返済期間20年
返済期間20年で2,000万円、3,000万円借り入れた場合でシミュレーションの条件は下記のとおりです。
- 毎月の支払額は一定
- ボーナス支払額は無し
借入金額 | 毎月の返済額 | 総支払額 |
2,000万円 | 91,719円 | 22,074,927円 |
3,000万円 | 137,968円 | 33,112,390円 |
2,000万円を借り入れた場合は、毎月の返済額が91,719円になり、適正返済比率20%とするためには年収500万が必要です。
一方、3,000万円借り入れた場合、20年で支払うには年収800万円以上が必要となります。毎月の負担額も大きいと感じる場合は期間を伸ばしたほうがよいでしょう。
返済期間25年
次は返済期間25年で2,000万円、3,000万円借り入れた場合でシミュレーションの条件は下記のとおりです。
- 毎月の支払額は一定
- ボーナス支払額は無し
借入金額 | 毎月の返済額 | 総支払額 |
2,000万円 | 75,374円 | 22,612,347円 |
3,000万円 | 113,062円 | 33,918,521円 |
20年よりも返済期間を伸ばすことで返済額は減りました。特に3,000万円借り入れる場合では、返済比率から見ると年収670万円程度あれば、借り入れるのには無理のない金額といえるでしょう。
返済期間30年
次は返済期間30年で2,000万円、3,000万円借り入れた場合でシミュレーションの条件は下記のとおりです。
- 毎月の支払額は一定
- ボーナス支払額は無し
借入金額 | 毎月の返済額 | 総支払額 |
20年 | 64,328円 | 23,158,045円 |
30年 | 96,492円 | 34,737,068円 |
さらに期間を伸ばした場合は毎月の支払金額も下がりますが、総返済額は20年のときと比べると100万円以上も増えてしまいます。返済比率も20%を下回り毎月の生活にゆとりができます。
返済期間35年
最後は返済期間35年で2,000万円、3,000万円借り入れた場合でシミュレーションの条件は下記のとおりです。
- 毎月の支払額は一定
- ボーナス支払額は無し
借入金額 | 毎月の返済額 | 総支払額 |
2,000万円 | 56,457円 | 23,711,999円 |
3,000万円 | 84,686円 | 35,567,998円 |
毎月の返済額は56,457円と84,686円で更に下がりました。賃貸物件よりも安く住むことができます。ですが総返済額は2,000万円借り入れでは160万円、3,000万円では240万円と大きく増えてしまいます。
35年後のことを考えると、毎月の支払額を抑えているので繰り上げ返済などのために貯蓄をしておくとよいでしょう。
住宅ローンの借入額を決める要素
住宅ローンは借り入れられる金額の上限は金融機関ごとに違います。上限いっぱい借りられたとしても、きちんと返済していける人ばかりではありません。
ここでは、どのようにして借りる金額を決めていくかということについて解説していきます。
- 繰り上げ返済
- 人生設計でかかるお金
- 定年後の支払い方法
- 住宅ローン控除の有無
繰り上げ返済の有無
住宅ローン返済中に繰り上げ返済をするかしないかで、借り入れ金額を決めていく方法です。
繰り上げ返済とは本来返していく毎月の支払い以外に、任意で返済ていくことをいいます。自己資金に余裕が出てきた時点で繰り上げ返済を行いますが、繰り上げ返済には2つの方法があり、期間を短縮する方法と、毎月の負担額を減らせる方法があります。
繰り上げ返済は繰り上げる時期が早いほど、利息を減らすことが可能です。毎月の負担額を抑えて長い間返していく場合は、家計の余裕を見て繰り上げ返済ができます。短期間で住宅ローンの返済を考えている人には返済総額も減りますので、繰り上げ返済の有無で期間の設定をしましょう。
ライフプラン
住宅ローンの借入金額は年収のおよそ7倍が限度といわれています。ですが、人それぞれでライフプランは異なりますので、今後の人生設計から借入金額を決めてみましょう。
家の購入後にかかる大きな出費として考えられるのが、教育費・老後の費用・住居に関する費用です。教育費は子供の数や私立・公立どちらに進学するかで随分と変わってきます。教育費がかかっている間、住宅ローンも無理なく支払っていけるのかを考える必要があります。
また、老後にかかる費用を現役時代から貯めていくのであれば、貯めながら住宅ローンの支払いができるのかについても考えて借入金額を決めておくとよいでしょう。
そして、住宅は住んでいる間にも劣化していき、屋根や外壁の張替え・設備の入れ替えなどに費用がかかります。どのくらいの費用をかけて行うかは人ぞれぞれですが、それらのかかる費用について想定をして借入金額を決めましょう。
定年後の返済方法
若くして住宅ローンを組んで家を購入するケースで、定年前までに返済が可能であれば支払いについての問題はありません。ですが、定年後も支払うという前提で長期間のローンを組むケースでは、定年後の返済方法について考える必要があります。
定年後は収入が減りますので、今までと同様な金額を支払い生活を続けていくには、預貯金の取り崩しや退職金などで支払い続けなければいけません。
また、定年後には思わぬ出費が発生することがあります。病気や怪我による医療費や住宅をバリアフリーにするための出費、介護費などが発生します。そのときにかかる費用と住宅ローンも同時に支払っていけるのかを早めに検討して将来に備えましょう。
住宅ローン控除の年数
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に受けられる減税制度です。この制度は一定の要件を満たす必要がありますが、控除が受けられると住宅ローンの年末残高の1%が所得税より控除されます。入居10年間最大で400万円控除が受けられ、控除額が所得税よりも大きく控除しきれなかったときは住民税からも控除されるものとなっています。
住宅ローン控除は住宅ローンの借り入れ年数が10年以上とされていますが、繰り上げ返済をして借り入れ年数が10年未満となってしまった場合は、翌年以降ローン控除が受けられません。この制度を理解して年数を決めましょう。
住宅ローン控除について詳しく解説したこちらの記事もおすすめします。

※画像出典元:モゲチェック公式サイト最適な住宅ローンを選ぶなら一括比較サイトを活用
最適な住宅ローンを選ぶ際には、金利、諸費用、保障内容、総支払額などを複合的に比較して決めることが大切ですが、審査申込みは記載する内容も多く面倒で、比較をあまりせずに決めてしまう人は多いでしょう。
しかし、住宅ローンの金額は決して安いものではありません。条件の悪いプランでローンを組んでしまうと、大きな不利益となっていまいます。
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返済期間が長いメリット
ここまで、住宅ローンの返済期間や金額について解説してきましたが、長く借り入れることのメリットも知っておいたほうがよいでしょう。2つのメリットについて解説します。
毎月の負担が軽い
返済期間を伸ばすということは支払回数も増えます。その事により毎月の返済額が軽くなるのがメリットです。毎月の支払額が減ることで、突発的な出費にも対応しやすくなります。また、生活にゆとりもでき貯蓄をすることが可能になります。
繰り上げ返済ができる
長期間のローンを組むことで生活にゆとりができます。生活にゆとりができることで繰り上げ返済をすることができるでしょう。
繰り上げ返済をすることで得られるメリットは、返済期間の短縮や総支払額を減らせることができることです。
繰り上げ返済は早期に行うことで支払う利息の額も大幅に減らすことがでしょう。
返済期間が長いデメリット
返済期間を長くすることにはメリットもあることがわかりましたが、デメリットもあります。ここでは2つのデメリットについて説明していきます。
利息が増える
シミュレーションした結果、長い期間を組むほど利息が増えてくることがわかりました。金利のタイプや借りる金融機関・借入金額によってもどのくらい増えるかは異なりますので、期間に応じたシミュレーションをして比べてみてください。
定年後まで支払いがある
借入期間が長いと、定年退職後まで支払いしなければいけなくなることが多いです。借り入れ開始の年齢で変わりますが、平均の退職年齢は60歳です。
35年といった長い期間の住宅ローンを組み繰り上げ返済を行わないなら、25歳までにローンの契約をしなければ定年までに返すことができません。定年後まで支払いが残っている場合は、預貯金を取り崩したり年金や退職金で支払うことになり、老後の生活に支障が出てくることがあるでしょう。
まとめ
住宅ローンには借り入れ額の年齢の上限や期間の上限があります。平均の返済期間は住宅の形態にもよりますが平均30年前後です。
借り入れる期間を決めるには月々支払える金額や借り入れる金額・金利のタイプ・頭金の金額など様々な観点から決める必要があります。
借入期間が長いことによるメリットデメリットを知ることで住宅ローンは何年組むのがよいのかを決めるとよいでしょう。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
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