住宅ローン控除は一定期間の節税効果が期待できます。この制度は適用期間中に借り換えすると、どうなるのでしょうか?結論から言うと、住宅ローン控除は条件を満たせば控除は適用し続けることが可能です。
そのため、この記事ではローン控除を受けるための気になる申請書の書き方や手順を詳しく解説していきます。注意事項にも触れるので合わせて確認をして、しっかりと申請を進めていきましょう。
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借り換え後も適用できる住宅ローン控除
借り換えはそれまでとは金融機関が異なる場合が多いため、以前と違って控除されないと考えても不思議ではありません。しかし、目的や条件を満たせば引き続き適用が可能です。まずはその理由を解説していきましょう。
借り換え後も条件を満たせば適用可能
結論としては借り換えを行った後も適用は可能です。基本的に家の新築などした際に対してのみ適用され、前後で書類上の情報が一致しない問題が発生します。例えば、最初とは違う金融機関の利用や、前後で残高が異なることです。
こうなると税務署は打ち切りの判断になりますが、所定の手続きを行えばその後も適用が可能です。しかし、これは年末調整などで書類を提出すれば、分断された情報に連続性が生まれ、引き続き適用されます。
ただし、この手続きにはいくつかの条件が設定されており、正しくそれをクリアした上で計画的に物事を進める必要があります。
住宅ローン控除を継続利用するための条件
継続には以下の条件を満たす必要があります。
- 当初の返済に充てることが明らかである
- 控除の条件に当てはまる
これらは借り換えにより趣旨が変更されていないか、また、基本的な条件を満たしているのか判断するためのものです。そのため、上記の条件はしっかりと把握した上で手続きを進めてください。
当初の住宅ローン返済に充てることが明らか
登記により趣旨を説明すれば引き続き適用ができます。この制度は住宅に対する控除という趣旨を持っており、これに逸脱しないことが必要になります。しかし、単に事実だけでは証明は困難です。
例えば、A銀行からB銀行に変更したケースを想定してみましょう。ここで2,000万円から3,000万円にしてもそれはただの数字であり、それだけでは趣旨は証明できません。場合によっては他の返済のために行われたと判断されることもあります。
したがって、返済のためだと客観的に示すものが必要です。ここで役立つのが不動産の登記の存在であり、客観視できる証拠がそろっています。例えば、最初のA銀行で抵当の設定や解除がなされ、B銀行により新たに抵当が設定されたことも一目でわかります。不動産の所有権の流れを説明できれば、返済を目的にしていると証明が可能です。
なお、登記をより深く知りたい場合は、以下の記事をご覧になるのがおすすめです。

住宅ローン控除の条件に当てはまる
制度の公平性を保っていくため、最初の申請の際に求められた条件を満たすことは必要であり、次のような条件があります。
- 住宅の取得日から6カ月以内に入居し、その年の12月31日を迎えている
- その年の合計所得が3,000万円以下である
- 返済期間が10年以上である
- 登記簿による床面積が50平方メートル以上あり、その半分以上を住居として利用している
これらはあくまでも抜粋なので、国税庁のウェブページ、もしくはお住いの地域の税務署でしっかりと確認してください。正しく条件を理解した上で、手続きを進めましょう。
“参考:国税庁「No.1213 住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)」”
住宅ローンを借り換えた際は年末調整で申告できる?
控除は年末調整などで申請が可能ですが、借り換え後であっても同様でしょうか。この点に関しては基本的な流れは同じですが、状況が異なることが想定でき、タイミングや時期的により違いがあります。ここでは、借り換え後でも申請できるのか解説しましょう。
住宅ローンを借りて2年目以降は年末調整で申請可能
基本的に初年度は確定申告で、2年目以降は年末調整で行います。控除は基本的に以下の流れで申請されるようになっています。
- 最初は確定申告で申請する
- 次年度以降は年末調整で申請する
つまり、初年度は特殊な方法で行い、それ以降は決まったやり方で控除の期間まで進んでいくということ。なお、どうやって年末調整で申請するのかといえば、申告書に住宅ローンの年末残高証明書で記入を行って提出します。この流れは借り換え後も変わりません。
年末調整が過ぎてしまった場合は確定申告で手続きする
時期により年末調整に間に合わないこともあり、その際には確定申告で手続きをしましょう。なお、基本的な知識として平均して12月に行われることが多いです。通常ではこれに倣って、金融機関なども年末残高証明書を余裕を持った時期に送付し、申請者もそれに合わせて用意します。
しかし、借り換えを行った場合には、本来は届いているべき時期の10月以降に遅れて届くことがあります。こうなってしまうと締め切りに間に合わないこともあり得るため、確定申告を行って手続きをするしかなくなります。間に合えば問題ありませんが、最悪を想定して並行して準備をしておくと、万全の状態で申請に望めるでしょう。
なお、住宅ローン控除と確定申告をより深く理解したければ以下の記事ご覧になるのがおすすめです。


住宅ローンを借り換えた際の年末調整の書き方
それでは、年末調整のやり方を順序立てて、細かく解説しましょう。おおまかなステップは次の4つになります。
- 必要書類を集める
- 書き始める前に年度を確認
- 給与支払者の氏名住所等を記入
- 住宅借入金等特別控除額の計算を記入する(特定増改築等)
一度やったことのある人であれば、基本的に違いはないので問題なくできるでしょう。もちろん、忘れている人もいるはずなので、どのような書類が、どのような手順と計算方法で記入すればよいのか、改めて再認識してください。
1.必要書類を集める
申請は以下の書類を用いて行います。
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金特別控除申告書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
これらは一度申請を行ったり、ローンを組むことで送付されてくる資料です。税務署などで再発行も可能なので、紛失した場合はできるだけ早い時期に動きましょう。
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金特別控除申告書
こちらは申請の申告書になります。最初に申請を行った年に、税務署から申請分をまとめて郵送されるので、すでに手元にあるはずです。心当たりがない人はとにかく探してみてください。探してもみつからない人や、何らかの理由で捨ててしまった可能性がある人は税務署で再発行してください。
再発行に関しては指定のフォーマットを印刷して必要事項の記入を行い、お住いの地域の税務署に提出すればよいです。また、税務署に行く時間がない人は、委任状を使い信頼できる人に再発行を依頼するのがよいです。
ただし、再発行までの時間は税務署によるところなので、あらかじめ窓口で相談を行ってください。そうすれば計画性を持って再発行を行え、スムーズな流れで申請できます。
“参考:国税庁「[手続名]年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除関係書類の交付申請手続」”
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
控除額の計算に必要なのがこの書類になります。金融機関から送付され、9月末時点を基準年とし、繰上返済や延滞がなかった場合の残高証明をしてくれる重要なものです。上と併せて使うのが基本なので、届いた際には大切に保管しましょう。なお、毎年10月~11月頃に送付されるので、その時期は郵便物を必ずチェックしてください。
ただし、相手方のミスで届かないこともあり、万が一それが考えられるときには、金融機関に問い合わせしてください。
2.書き始める前に年度を確認
記入を行う前に年度について確認しましょう。実は申告書はよくみると年度が違うので、記入前に確認が必須です。なお、これは申請を行う年度分、例えば令和3年~令和13年分のものがまとめて郵送されるからです。それをしらずに適当に取ってしまうと、正しくない年度を使ってしまうことがありえます。
申請では適切な年度のものを使わないと問題になるので、間違いがないか必ず確認しましょう。
3.給与支払者の氏名住所等を記入
実際に用紙に記入を行っていきましょう。まずは簡単な以下の複数の項目を適切に記入してください。
項目 | 記入すべき内容 |
「給与支払者の名称(氏名)」 | 会社名 |
「給与支払者の所在地(住所)」 | 会社の住所 |
「あなたの氏名」「あなたの住所または居住」 | 氏名、住所 |
税務署長欄 | 会社を所轄している税務署の所長の名前、空欄でも問題はない |
給与の支払い者の法人番号 | 空欄 |
補足していくと税務署長欄は空欄でもよいですが、それほど手間も掛からないので検索して調べてください。また、法人番号はみなさんではなく、会社側で記載するルールになので、必ず空欄にしましょう。
4.住宅借入金等特別控除額の計算を記入する(特定増改築等)
ここでは、重要な控除額の計算を行っていきます。やることが多いので、しっかりと順に解説していきます。
- 「新築又は購入に係る借入金等の年末残高」を記入
- 「家屋又は土地等の取得対価額」と「家屋の総床面積は土地等の総面積のうち居住用部分の床面積又は面積の占める割合」を記入
- 「取得対価の額に係る借入金等の年末残高」を記入
- 「居住用部分の家屋又は土地等に係る借入金等の年末残高」を記入
- 「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算の基礎となる借入金等の年末残高」を記入
- 「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」を記入
- 「年間所得の見積もり」を記入
- 「連帯債務による住宅借入金等の年末残高」を記入
- 「備考欄」を記入
「新築又は購入に係る借入金等の年末残高」を記入
こちらは年末残高等証明書の12月時点の残高を記入しましょう。また、複数人でローンを組んでいる場合は、自分の負担額を記載しましょう。例えば、残高が3,000万円で50%が割合ならば、1,500万円と記入してください。なお、自身以外の残高も記載する必要があるので、最後まで目を通して記載内容を把握して、その通りにしましょう。
「家屋又は土地等の取得対価額」と「家屋の総床面積は土地等の総面積のうち居住用部分の床面積又は面積の占める割合」を記入
こちらは申告書の情報を記入すればよいです。具体的には申告書の下部にある「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」に記載されている情報を、申告書の上部にある空欄の同じ項目に転記すれば問題ありません。なお、上部の空欄にも「下のロ」、「下のホ」などと見るべき場所が記載されているので、よく確認しながら、正しい数字を適切な項目に記入しましょう。
「取得対価の額に係る借入金等の年末残高」を記入
こちらは「新築又は購入に係る借入金等の年末残高」と「家屋又は土地等の取得対価の額」のどちらかの合計金額を記載しましょう。以下の表に従って記入してください。
確認する項目 | (A)>(B)の場合 | (A)<(B)の場合 |
「新築又は購入に係る借入金等の年末残高」(A)と「家屋又は土地等の取得対価の額」(B)の「住宅及び土地等」 | (B)の金額を記入 | (A)の金額を記入 |
ポイントは少ない方を記入するという点。勘違いしないようにしながら記入しましょう。
「居住用部分の家屋又は土地等に係る借入金等の年末残高」を記入
上の金額と「家屋の総床面積は土地等の総面積のうち居住用部分の床面積又は面積の占める割合」を掛けて記入しましょう。例えば、前者が2,000万円で後者が80%であれば、1,600万円が記入されます。なお、後者が100%だった場合は、両者の項目は等しい金額になるので、確認してください。
「住宅借入金等特別控除額の計算の基礎となる借入金等の年末残高(特定増改築等)」を記入
上の金額を転記してください。つまり、上とこちらは等しくなるので、全体をチェックする際にはその点を確認しましょう。
「住宅借入金等特別控除額(特定増改築等)」を記入
上で記入した金額に1%を掛けたものを記入しましょう。なお、計算後の金額は100円未満を切り捨ててください。これで控除可能な最大金額が定まります。仮に上が2000万円だったと仮定すると、控除額は20万円になります。電卓があれば簡単に計算できるので、切り捨てを忘れないようにして、正しく記載しましょう。
「年間所得の見積もり」を記入
源泉徴収後の年間所得を記入してください。これは条件(所得が3,000万円以下)に合致しているのかを確認するものであり、前年度の源泉徴収票からおおよを記入すれば問題ないです。ただし、控除に深く関わるので、でたらめの数字や実態にそぐわないものはNGです。
「連帯債務による住宅借入金等の年末残高」を記入
連帯債務ではこちらの記載が必要なので、記載されている金額を記入しましょう。なお、2社以上利用している場合は残高の合計を記入してください。もし、連帯債務で組んでいない場合にはここと次の項目は空欄で大丈夫です。
なお、連帯債務をより深く知りたい場合には以下の記事ご覧になるのがおすすめです。

「備考欄」を記入
上の項目に記入した場合は、自分以外の情報などを備考欄で追記する必要があります。具体的には以下を記入します。
- 同意する文章の記載
- 氏名住所の記入と押印
- 給与所得者の場合は勤務先の所在地・名称を記載
イメージとしては以下のように記載しましょう。
【わかりやすい記入例】
私は連帯債務者として、右上の財託借入金等の残高〇円のうち、〇円を負担することとしています。
○○県○○市○○町△△-△ 山田太郎 印
勤務先 ○○県○○市○○町△-△ ××株式会社
借り換えて住宅ローン控除利用する際の注意点
以下に注意してください。
- 返済期間が10年を切る
- 借り換えによる控除期間の延長
- 控除対象となる金額について
これらは控除を受けられなかったり、控除額が変わってきます。しっかりと内容を理解した上で申請を行ってください。
返済期間が10年を切る場合は受けられない
返済期間が10年を切る場合は、控除を受けられません。これは返済期間が10年以上であることが適用の条件になっているからです。したがって、これに当てはまると予測されるならば、総返済額を比べて検討することがおすすめです。両者の返済額を計算し、自身にとってどちらがよいのか考えてみましょう。
借り換えによって控除期間が延長されることはない
控除は期間が定まっており、借り換えでそれが延長されることはありません。詳しくは利用した年から最長10年間と決まっています。例えば、申請(10年)を行い、3年後に借り換え、引き続き適用を受けたとしても残りは7年間です。
適用期間などにより控除があまり意味をなさなくなるケースも出てくるので、残りの期間を確認した上で、総合的に検討して実行に移すのがおすすめです。
住宅ローンの控除対象となる金額は状況により異なる
金額は借り換え前の残高と借入時の金額によって異なります。新規の借入時の金額より、当初の借り換え前の残高の方が多い、等しいときは借り入れ後の年末残高が控除額です。一方で借り換え前の残高より、新規の借入時の金額の方が多いときは、借り入れ後の年末残高×(借り換え前の残高÷借り換え後の借入時の金額)で計算して求めます。
詳しくは以下の表をご覧ください。
借り換え前の残高(A)と借入時の金額(B)との関係 | 控除額の計算方法【借り入れ後の残高(C)、控除額(D)とする】 |
A≧B | D=C |
A<B | D=C×A/B |
この作業は本来は一致するべき年末残高の数字が、借り換えで変化するため、申請時には自身で計算を行い、その上で記入する必要があります。
“参考:国税庁「No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき」”
まとめ
控除は借り換え後も利用できますが、その際には当初の返済に充てることが明らかで、控除の条件に当てはまる必要があります。また、初年度は確定申告で、2年目以降は年末調整で行えます。
必要書類を用意して解説した方法に従って記載しましょう。ただし、返済期間が10年を切ったりした場合は注意が必要です。
まずは適用条件に当てはまるか確認してみましょう。それが申請のスタートになります。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
・https://www.rosenka.nta.go.jp/
・https://www.retpc.jp/chosa/reins/
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